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東北大、バイオ工学による天然ゴムの試験管内合成に成功

2016-11-18

バイオ工学による天然ゴムの試験管内合成に成功
天然ゴムの安定供給や新たな分子構造の天然ゴムの開発に貢献


【概要】
 東北大学大学院工学研究科の高橋征司准教授、山下哲助教(注1)、中山亨教授(バイオ工学専攻応用生命化学講座)らは、住友ゴム工業株式会社、埼玉大学との共同研究により、天然ゴムの生合成に必要なタンパク質を発見し、それらを再構成する手法を開発しました。これにより、天然ゴムに匹敵する分子量のポリイソプレンを試験管内で合成することに成功しました。この研究成果により、長年にわたり未解明であった天然ゴム生合成メカニズムの全解明や、天然ゴム高生産植物の育種、代替生物でのゴム生産など、多様な分野での貢献が期待されます。
 この共同研究の成果は、10月28日付で生命科学・生物医学分野のオープンアクセス誌であるeLifeに掲載されました。
 (注1)現所属:金沢大学理工研究域物質化学系(准教授)

【背景】
 天然ゴムは、化石燃料から合成される合成ゴムでは再現不可能な優れた物性を有するため、現在においてもタイヤなどのゴム工業製品には必要不可欠な天然ポリマーです。特に、近年のモータリゼーションの加速に伴いタイヤ製造に必要となる天然ゴムの需要が年々伸び続けており、世界の年間需給規模は1200万トンを超えています。現在、産業的に利用される天然ゴムの大半は、熱帯から亜熱帯地域のプランテーションで栽培されるパラゴムノキ(1)より採取されるラテックス(2)より生産されています。ラテックス中では、天然ゴムの分子はリン脂質一重膜で覆われたゴム粒子として存在しています。世界的な需要の上昇に対応するため、パラゴムノキを中心とした植物における天然ゴム生産量の向上が強く求められており、天然ゴム高生産品種の分子育種や代替生物による生産などの方法が提案されてきました。そのためには、まず天然ゴムの生合成メカニズムの解明が不可欠でしたが、分子量106以上にも及ぶポリマーがどの様に酵素で生合成されるかは未解明でした。
 天然ゴムの構造は、cis−1,4−ポリイソプレン(図1)を主骨格として持つことは知られていましたので、全生物が普遍的に持っている、イソプレン単位(イソペンテニル二リン酸)(3)の重合酵素「シス型プレニル鎖延長酵素(4)」の一種が天然ゴムの生合成を触媒すると予想されていました。東北大学らの研究グループは、2003年に世界に先駆けパラゴムノキよりシス型プレニル鎖延長酵素HRT1を同定しましたが、それらの酵素は単独で天然ゴムを生合成できませんでした。この報告に追随し、様々な植物からシス型プレニル鎖延長酵素が単離されてきましたが、試験管内で天然ゴム生合成活性の実証に成功した例は皆無でした

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照



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