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NICT、自然界にある分子モジュールから人工的な分子モーターの創出に成功
自然界にある分子モジュールから人工的な分子モーターの創出に初めて成功
〜ナノメートルスケールの一方向性運動が生み出される基本原理の解明に道筋〜
【ポイント】
・自然界にある生物分子モーターに別の機能モジュールを融合し、新しい分子モーターを創出
・本来の結合相手である微小管ではなく、アクチン繊維と結合して動く新しい分子マシンを構築
・運動方向の異なるモーターも作製可能であり、新たな分子デバイスの開発につながる成果
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長代行: 黒瀬 泰平)では、生物進化の成果に学び新しい情報通信のパラダイムの創出につながるバイオICT研究を行っています。
未来ICT研究所の古田 健也 主任研究員らの研究グループは、世界で初めて、人為的な設計によって新たな生物分子モーター(*1)を創り出すことに成功しました。これは、生物分子モーターの一種であるダイニン(*2)の基本構造をベースに、自然界に存在する別の機能モジュールを融合することで実現したものです。さらに、その運動の方向性が逆転した分子モーターの作製にも成功しました。この結果は、ナノメートルスケールでは避けることができない激しい熱運動の中でも効率的に機能する人工的な分子マシンの設計原理として利用されることが期待されます。
なお、本成果は、「Nature Nanotechnology」2016年11月14日オンライン速報版(日本時間11月15日(火)午前1:00)に発表されます。
【背景】
細胞の中で働くタンパク質は、数〜数十ナノメートル程の大きさであり、周囲の分子による激しい熱運動にさらされています。この状況においても、細胞内の物質輸送を担う生物分子モーターは、高い効率で自律的に一方向の運動を行うことができます。この原理は、自律的に動く分子マシンの構築に欠かせない情報であるため、力学的な計測や分子構造の解析など、様々な方法によって精力的な研究が世界中で進められてきました。これまでに、既存の生物分子モーターを分析することによって、個々の生命活動に適した構造や機能に対する理解は大きく進みましたが、ナノメートルスケールにおける一方向性運動を生み出す本質的な要素を明らかにすることは未解決の課題でした。
※リリース詳細は添付の関連資料を参照