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東京商工リサーチ、2016年1−10月「上場企業の不動産取得」調査結果を発表

2016-11-12

〔特別記事〕
2016年1−10月「上場企業の不動産取得」調査
〜不動産取得の公表は43社にとどまる、4年ぶりの前年割れへ〜


 アベノミクスによる景気の先行き期待から、上場企業の不動産取得は一時より活発の動きを見せている。だが、2016年1−10月に国内不動産の取得、工場・社屋の新設などを公表した上場企業は43社にとどまり、4年ぶりに前年割れになる見通しが強まった。
 これは円高やデフレ脱却の遅れなど、景気の先行き不透明感の広がりを背景に、投資マインドの様子見傾向を反映したものとみられる。
 ※本調査は、上場企業不動産投資法人を除く)を対象に、2016年1−10月に国内不動産(固定資産)の取得(建物の新設等を含む)を決議、公表した企業を調べた。資料は『会社情報に関する適時開示資料』に基づく。

■取得企業数、4年ぶりの前年割れへ
 会社情報の適時開示ベースで2016年1−10月に国内不動産(固定資産)の取得、工場や社屋などの建設を決議、公表した上場企業数は43社だった。このペースで推移すると、年間(1−12月)では前年の56社を下回る公算が高まっている。
 過去調査の年間推移は、2008年が56社、09年28社、10年41社、11年36社、12年22社と大局的には減少トレンドをたどっていたが、2013年は56社と一気に増加に転じた。ただ、2014年、15年は同社数で推移し、前年実績が壁の「足踏み」状況が続いていた。

■取得した土地総面積、公表分で71万1,945平方メートル
 2016年1−10月の不動産取得で、取得した土地の面積を公表した29社の合計は、71万1,945平方メートルにのぼった。非公表の会社もあり単純比較はできないが、前年(1−12月)は33社で合計77万1,291平方メートルだった。

■取得土地面積トップ、テーマパーク開設用地取得のフィンテックグローバル
 公表取得土地面積のトップは、埼玉県飯能市に新たなテーマパーク「ムーミン谷(メッツァ)」を開設するための土地を取得したフィンテックグローバルの18万7,000平方メートル。
 次いで、新しい生産拠点を建設するため埼玉県入間市の土地を取得する、中村屋の8万3,000平方メートル。関東地区における物流拠点の再編・拡充を目的として、埼玉県幸手市に新倉庫を建設するため、5万5,700平方メートルの土地を取得した日本トランスシティと続く。

 *グラフ資料は添付の関連資料を参照

■取得(投資)総額、38社合計で1,191億円
 取得(投資)額の総額は、公表した38社合計で1,191億9,900万円に達した。
 投資額トップは、シャープの172億1,400万円。2016年3月に大阪市阿倍野区の旧本社に隣接する田辺ビルを譲渡していたが、最先端技術の開発などの中核拠点としての活用を目的に、138億9,700万円で買い戻した。さらに、スマートフォン向け電子部品事業での協力工場(三重県)が使用中の土地、建物なども33億1,700万円で取得した。
 2位は日本トランスシティの140億円。関東地区の物流拠点の再編・拡充を目的に、埼玉県幸手市に新倉庫を建設する。
 3位のマルサンアイは、需要拡大に向けた安定供給を目的に豆乳、飲料等の製造工場建設に77億円を投じ、鳥取県内の工業団地に進出する。
 4位のドウシシャは、グループの東日本の物流拠点として、千葉県木更津市に76億5,525万円を投じて物流センターを建設する。

■業種別、サービス業、卸売、食料品が最多の5社
 業種別社数では、サービス業・卸売・食料品が各5社で最多。次いで、機械とその他製品が各4社、化学が3社と続く。
 業種別の取得(投資)金額で、最も大きかったのはシャープの取得金額が押し上げた電気機器の195億3,400万円。次いで、食料品の194億4,000万円、卸売業の147億4,700万円、倉庫・運輸関連業の140億円、サービス業の78億8,000万円、その他製品の71億8,000万円と続く。

■取得理由、「事業拡大」型が最多
 取得理由では、新工場や新社屋の用地取得や建設などの「事業拡大」型が36社で最多だった。
 次いで、賃貸物件を自社所有にする「経営安定」型が5社、賃貸用ビル、土地建物などを取得する「事業用収益物件の取得」型が1件、売電事業などの「新規事業」型が1件だった。

 2016年に不動産を取得した上場企業数(適時開示ベース)は、10月末で43社にとどまった。このペースで推移すると4年ぶりに前年を下回る見通しが強まった。
 これまで円安による割安感も手伝って外資系法人を中心とした不動産取引が活気をみせてきたが、ここにきて建築費上昇に加え、円高進行で不動産物件に対する割高感が高まってきた。
 さらに、日銀のマイナス金利の導入など状況の変化もあり、投資マインドに様子見の傾向が強まり、不動産取得企業の減少に作用したとみられる。このように上場企業の先行投資動向は景気の先行きを見るバロメーターにもなるが、国内不動産の取得、工場・社屋の新設が4年ぶりに前年割れの可能性が出ており、今後の動きには注意が必要だ。

 *表資料は添付の関連資料を参照



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