イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

理研、材料組織の画像解析クラウドシステムを開発

2016-11-08

材料組織の画像解析クラウドシステムを開発
−3次元画像処理と画像管理システムの運用を開始−


■要旨
 理化学研究所(理研)光量子工学研究領域 画像情報処理研究チームの山下典理男特別研究員、森田正彦特別研究員、吉澤信上級研究員、横田秀夫チームリーダーらの研究チームは、材料組織の画像解析に対して計算負荷の大きな画像処理やデータ管理ができるクラウドシステム[1]「MICC(Material Image Communication Cloud)」を開発し、試験運用を2016年10月下旬から開始しました。

 工業材料のミクロな組織構造と特性は密接な関連があります。そのため、新規材料や高機能材料を開発する上で、組織構造の解析は非常に重要です。現在、世界的に材料の組織構造の定量解析を新規材料開発につなげる試みが進められています。日本では総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的構造材料」において、マテリアルズインテグレーション(SIP−MI)として(1)材料組織の形状計測、(2)材料組織と強度等の特性との関係、(3)シミュレーションによる材料設計を目指した研究が進められています。これらの研究では、材料の特性に関わる組織の3次元形状を明らかにする手法の開発が重要とされています。材料組織の特徴を抽出するには、組織の3次元画像に対する画像処理手法や、手法の適切な組み合わせを見出すための知識と経験を蓄積する仕組みが必要です。

 研究チームは、これまでに画像データを処理・解析する画像処理システム「VCAT(Volume−Computer Aided Testing)[2]」および、VCATとクラウドを利用した画像データの新基盤システム「ICP(Image Communication Platform)[3]」を開発しました。今回、ICPを基盤に、SIP−MIに参加する複数の研究機関による材料組織の解析に特化した3次元画像解析・管理システム「MICC」を開発、試験運用を開始しました。MICCは、多拠点からユーザーが安定して解析環境を利用できるように商用システム上に構築しました。MICCは画像処理機能に加え、研究室や研究者ごとのアクセス管理機能、すべての画像処理の履歴を記録する機能を持ち、さらに一般的なパソコンで利用できます。MICCは、複数の画像処理手法の試行錯誤から、共通する適切な方法を見出すことが期待できます。

 MICCは鉄鋼を対象として解析モジュールを搭載していますが、金属、セラミック材料、高分子など、さまざまな材料を解析できます。MICCは効率的かつ高度な画像解析環境を提供できるため、新規材料開発の高速化・高度化に寄与し、材料開発分野の競争力強化に貢献すると期待できます。

 本成果は、SIP「革新的構造材料」マテリアルズインテグレーション シンポジウム2016で発表されます(11月2日)。

 本研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的構造材料(岸輝雄プログラムディレクター)」(管理法人:JST)で実施されている研究課題「マテリアルズインテグレーションシステムの開発(小関敏彦東京大学教授)」内の「特性空間分析システムの開発(井上純哉東京大学准教授)」の一環として行われました。

 ※研究チーム
  理化学研究所 光量子工学研究領域
  エクストリームフォトニクス研究グループ 画像情報処理研究チーム
  チームリーダー 横田 秀夫(よこた ひでお)
  特別研究員 山下 典理男(やました のりお)
  特別研究員 森田 正彦(もりた まさひこ)
  上級研究員 吉澤 信(よしざわ しん)

  東京大学 先端科学技術センター
  准教授 井上 純哉(いのうえ じゅんや)

  東京大学 工学系研究科
  教授 小関 敏彦(こせき としひこ)

■背景
 工業材料のミクロな組織構造と特性は密接な関連があるため、新規材料や高機能材料を開発する上で、組織構造の解析は非常に重要です。

 現在、材料組織の解析は、主に2次元の断面組織画像が利用されていますが、2次元解析では複雑な3次元形態を議論することは困難であり、3次元の組織画像を解析する必要性が高まってきています。しかし、3次元画像処理を行う環境を入手することは高いコストや専門的な知識を必要とするため必ずしも容易でありません。また、材料組織の3次元画像に対して、複雑な材料の特性を抽出するには、さまざまな画像処理手法の組み合わせが考えられ、各ユーザーが有効なものを見出すことは簡単にはできず、長年の組織観察による知識と経験を備えた専門家でなければ解析が難しいことがありました。そのため、知識や経験に頼らずに試行錯誤の中から適切な画像処理手法を組み合わせ見出すシステムが必要とされています。

 材料開発分野ではここ数年、世界的に材料の組織構造の定量解析を新規材料開発に繋げる試みが精力的に進められています。日本では総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的構造材料」において、マテリアルズインテグレーション(SIP−MI)として(1)材料組織の形状計測、(2)材料組織と強度等の特性との関係、(3)シミュレーションによる材料設計を目指した研究が進められています。

 研究チームは今回、SIP−MIに参加する複数の機関や研究者による材料組織の解析に特化した3次元画像解析・管理システムの構築を目指しました。

 *研究手法と成果などリリース詳細は添付の関連資料を参照



Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版