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エプシロンと東北大など、種子島で地域密着型バイオ燃料生産システムの実証を開始

2016-11-02

種子島で地域密着型バイオ燃料生産システムの実証を開始へ
―小規模分散型燃料製造装置と集中型樹脂再生設備を開発―


 NEDOプロジェクトにおいて、(株)エプシロンと東北大学は、種子島の西之表市で小規模分散型燃料製造装置と集中型樹脂再生設備を開発し、地産地消に適したバイオディーゼル製造システムを確立しました。
 今後は、この地域密着型バイオ燃料生産システムの本格的な実証を開始します。

1.概要
 現行の多くのアルカリ触媒(※1)を用いたバイオディーゼル製造現場では、1)回収した廃食用油の半分弱が低品質(酸価3以上)で燃料の原料として利用できない、2)製品燃料品質が不安定、3)副生石鹸除去のための水洗浄(4、5回)で生じる排水の処理が必要、4)残留アルカリ混入グリセリン(※2)の処理、などの課題を抱えています。国立大学法人東北大学で開発されたイオン交換樹脂触媒法(※3)はこれらの問題を一挙に解決できるものの、定期的な樹脂再生(※4)が必要なため装置導入コストが高く、実用化のボトルネックとなっていました。
 そこで、NEDOプロジェクト(※5)において、株式会社エプシロン、国立大学法人東北大学特定非営利活動法人こすもは、小規模な分散型燃料製造装置(※6)と集中型樹脂再生設備(※7)を開発し、地産地消に適した新たなバイオディーゼル燃料生産システムを確立しました(図1)。

 *図1は添付の関連資料を参照

 当該プロジェクトにおいて、株式会社エプシロン、国立大学法人東北大学は、廃熱利用可能、かつカラムの軽量化を進めた改良型の燃料製造装置を新たに1台製作し、西之表市内に設置することで、離島モデルとして島内2ヵ所の分散型燃料製造装置と1ヵ所の集中型樹脂再生設備からなる地域密着型バイオ燃料生産システム(図2)の試験を行っていく予定です。

 *図2は添付の関連資料を参照

2.今回の成果
 図3に示すように、イオン交換樹脂法を用いたバイオディーゼル燃料製造装置は、酸触媒の機能を持つ陽イオン交換樹脂(※8)を充填したカラム(※9)と、アルカリ触媒の機能を持つ陰イオン交換樹脂(※10)を充填した2塔のカラムを直列に連結した構成となっています。
 従来のアルカリ触媒法では、遊離脂肪酸(※11)を含む酸価が高い油を原料利用すると石鹸が副生し、精製工程の負荷や燃料品質が著しく低下することが問題でした。イオン交換樹脂触媒法では、まず1つ目の陽イオン交換樹脂を充填したカラムで、石鹸のもととなる遊離脂肪酸が目的の燃料に転化率ほぼ100%で変換され、副生する水はイオン交換樹脂内に吸着、溶液中から除去されます。続いて、2つ目の陰イオン交換樹脂を充填したカラムで、主成分の油脂が燃料に転化率ほぼ100%で変換され、副生するグリセリンはイオン交換樹脂内に吸着、溶液中から除去されます。その結果、従来法で変換率を高めるために必要だった転化率をメタノールの過剰添加なしに遊離脂肪酸と油脂がいずれも燃料に完全に変換され、副生物全てが完全に除去されるため、カラムから流出する溶液はバイオディーゼルとなる脂肪酸エステル(※12)と微量のメタノールとなります。つまり、樹脂充填カラムに原料を通過させるだけの簡便な操作で、製品となる高純度脂肪酸エステルを製造することができるため、1回の製造に必要となる原料をタンクに投入し、ポンプのスイッチを入れるだけで、製品タンクから取り出した燃料をそのまま車輌で利用することができます。

 *図3は添付の関連資料を参照

3.今後の予定
 今後、装置製造や樹脂再生ビジネスの事業化スキームを確立することで、「地産地消に適したバイオディーゼル燃料生産事業の新たな分散型システムの確立」を目指しています。そして、この離島型バイオ燃料生産システムの経済性を検証し、燃料製造装置と樹脂再生装置の事業化に向けて他島へのシステム導入を図ります。

【用語解説】

 *添付の関連資料を参照



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