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東北大、広く見てからひとつを選ぶ注意の働きを解明
広く見てからひとつを選ぶ注意の働き
階層的な注意機構の発見
【概要】
東北大学電気通信研究所の塩入諭教授の研究グループは,視覚の注意の広がりを脳波によって客観的に計測する手法を開発し,その手法を利用することで注意を向けることがその対象部分の選択であると同時に、注意を向けた対象の周囲における処理の促進であることを明らかにしました。この結果は注意の周りの情報について促進と抑制という,相反する効果が脳内に同時に存在することを示します。つまり注意は複数の異なる機能の組み合わせであって,注意を向けるということはまず広く見てそして必要なものを選ぶことだともいえます。これまでの研究は,注意の効果が注意を向けた位置の周辺へ広がることを示す実験結果と,注意位置の周りには抑制的な効果が生じるとの実験結果が混在し,いずれが正しいのか明らかではありませんでしたが,本研究により,このような二つの結果が混在する理由を説明することに成功しました。
※参考画像は添付の関連資料を参照
【研究の背景】
外部から与えられる刺激に変化がなくても,注意の向け方によって見ているものがよく見えたりそうでなかったりします。これは脳の中で網膜から与えられた信号を強めたり弱めたりすることで説明できます。注意の研究は外からみることができない脳内の現象をさぐる研究であり,注意の効果をいかに計測しそのメカニズムを理解するかがその目的になります。注意の効果を調べるためには,刺激に対する反応時間を計測するなどの心理計測,脳波や fMRI による脳活動計測があります。前者は実際に見やすいなどの注意効果を確認するために必要ですが,後者は客観的指標として重要です。いずれにおいても注意によって人間の情報処理が大きく変容ことが明らかにされ,その詳細なメカニズムの解明に向けた研究が活発に行われています。特に注意がどのように広がるかは注意機能を考える上で重要です。注意は視線位置に向けられることが多いですが、視線と違って、範囲持っています。顔の中心に視線が向けられたとき、鼻を見ているのか、顔全体をみているのか、あるいは上半身を見ているのかは、どの範囲に注意を向けるかによって決まるといえます。これまでの研究は,注意の効果が注意を向けた位置の周辺へ広がることを示す実験結果と,注意位置の周りには抑制的な効果が生じるとの実験結果が混在し,いずれが正しいのか明らかではありませんでした。
※リリース詳細は添付の関連資料を参照