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富士キメラ総研、エレクトロニクス35製品などの生産市場調査結果を発表

2011-05-12

生産・需要ともに重要性を増す中国、EMS生産委託を加速する日本など

世界の注目エレクトロニクス35製品とその部品の生産市場を調査

―2016年の世界生産予測と10年比―

 ●タブレットPC 2億3,800万台 12.5倍 中国・アジアが生産独占、需要更に上振れか
 ●スマートフォン/携帯電話(UMTS方式)11億8,300万台 2.6倍 中国・アジアの生産90%
 ●デジタル一眼レフカメラ* 2,970万台 2.2倍 ミラーレス人気上昇と日本メーカー生産独占
  *デジタル一眼レフカメラにミラーレス一眼カメラも含めて集計。


 マーケティング&コンサルテーションの(株)富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志03−3664−5839)は、11年1〜3月に、エレクトロニクス市場の日本、海外メーカーおよび地元メーカーによる生産を詳細に調査分析した。その結果を調査報告書「2011 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」にまとめた。調査の対象は、AV機器14種、家電製品6種、情報通信機器15種の合わせて35品目とし、関連ユニット製品・部品13品目、それにエネルギー関連の太陽電池セル2品目も調査した。
 

<注目される製品の世界市場>
 タブレットPCとスマートフォンはデータ処理機能では共存が見られ、通話機能では利用シーンや用途が若干異なるため競合しない可能性が高い。また、10インチサイズのタブレットPCとノートブックPCも利用、用途の違いから共存すると見る。


●タブレットPC

             2010年     2011年予測     2016年予測     10年比

  タブレットPC   1,900万台   6,500万台     2億3,800万台   12.5倍

 10年は AppleのiPadと韓国サムソン電子のGalaxyTabが市場の大半を占めた。iPadはFOXCONN(台湾)の深?工場で、GalaxyTabは韓国で自社生産している。11年から参入しているほとんどの欧米系ブランドが台湾EMS(電子機器製造受託サービス)メーカーに生産を委託しており生産地域は中国が中心である。10インチと7インチタイプに2極化し10インチが主流を形成すると予測する。

 16年の生産規模は、10年比12倍以上の2億3,800万台と予測する。法人や個人需要の伸び次第では、更に上振れする可能性がある。タブレットPCの市場では、Androidアプリケーションの増加や法人需要の開拓が急速に進みつつあることから、Netbookのような一過性のブームで終息することはないと予測する。


●携帯電話/スマートフォン(UMTS方式)

            2010年        2011年予測      2016年予測     10年比

  携帯電話/スマートフォン
            4億4,900万台   5億9,500万台    11億8,300万台   2.6倍

 10年には、スマートフォンメーカーおよび生産委託を受けたEMSメーカーが躍進した。特にiPhoneを全量委託されているFOXCONN、RIM(カナダ)の生産を受託したELCOTEQ(フィンランド)などが挙げられる。全世界的スマートフォンの急拡大、中南米地域を中心に低価格帯の3G端末が立ち上がったことなどを要因にUMTS方式の生産は09年比133.2%の4億4,900万台となった。全方式を合わせた10年の携帯電話/スマートフォン端末市場は前年比14.3%増の13億1,970万台であった。

 スマートフォンは、フラッグシップから低価格帯にまで製品を展開して旧来機や3Gフィーチャーフォン市場を取り込んで行き、15年には全体の半数以上を占めるまでに成長すると見られる。

 次世代通信規格のLTE(Long Term Evolution)はすでにデータカードベースのデータ通信サービスが開始されているが、音声端末ベースでは11年末〜12年初めの市場投入を予定している。音声端末ベースの製品展開はアメリカと日本が先行して中国や欧州が続く形で世界的に広がると見られる。

 中国を含むアジアで90%近くを生産しているが10年はより信頼性や、熟練度の高い地域で生産を目指して生産ウエイトを韓国へ移す動きが垣間見られ、中国を除くアジアのウエイトが拡大した。引き続き中国/韓国地域で生産量の90%弱を占める。サムソン電子とLG Elの韓国2社がUMTS方式中心にラインを再整備して韓国の生産が増加している。今後は地産地消の流れから、中南米や東南アジアのウエイトが上昇する可能性がある。


デジタル一眼レフカメラ(デジタルミラーレス一眼カメラを含む)

            2010年        2011年予測      2016年予測      10年比

  デジタル一眼レフカメラ
            1,350万台      1,600万台      2,970万台       2.2倍

 10年の生産市場は、前年比46.7%増の1,350万台。コンパクトDSCからの買い替え需要で先進国を中心にデジタル一眼レフカメラの伸びが期待され、11年以降も年10%超で成長すると予測する。キャノンとニコンが市場の約70%を占めるが、09年から登場したミラーレス一眼カメラがコンパクトDSCからの買い替えで09年比10倍を超える218万台まで増加した。ソニーは、タイのコンパクトDSCの製造を大幅に強化するためデジタル一眼レフカメラ(ミラーレス一眼カメラを中心に)は国内生産のウエイトを高める見通しである。11年には韓国メーカーも自社生産のデジタル一眼レフカメラをすべてミラーレスタイプに切り替える。

 欧州ではミラーレス一眼カメラの需要が拡大しており、今後は同地域が需要の中心となっていく見通しである。16年には欧州のデジタル一眼レフカメラ需要は10年比2倍以上の1,060万台に成長し、世界の35.7%を占めると予測する。ミラーレス一眼カメラ市場は、現在ソニー、パナソニック、オリンパス、サムソン電子(韓国)など4社であるが12年までにニコンやキャノンも製品を投入する可能性が高い。


<調査結果の概要>

1.AV機器 (14種)

           2010年          2011年予測        2016年予測       10年比
  生産規模   9億2,872万台      9億 5,290万台    9億8,430万台     106.0%

 AV機器では、需要の伸びている新興国向け低価格製品や地域別仕様の製品が要求され始めている。先進国でのLCD−TVの成長は10年でほぼ終った。今後はBRICsを始めとする新興国を中心にCRT−TVからの買い替え需要の見通しから、低価格製品が要求される。その為徐々にコストパフォーマンスの高いEMSの採用比率が上昇する。一方、デジタル一眼レフカメラは順調であり、今後の見込みも年率10%近い伸びが続く。DVC市場は、動画機能を標準装備したコンパクトDSCや安価なポケットムービーも登場して、徐々に縮小していく見通しである。ポータブルメディアプレーヤ、ポータブルゲーム機は、その機能を統合するスマートフォンに徐々に市場を譲り台数が減ると予測する。

                     日本    中国    アジア    北米    中南米   欧州    その他
 地域別生産シェア(2010年)  4.5%  66.6%  15.0%   1.2%  5.6%   6.0%   1.3% 

 10年にLCD−TVは、ブランド各社のEMS採用比率が大幅に拡大したことと、中国が世界需要のトップ市場となったことで、中国生産のウエイトは49%に上がっている。今後もEMS比率が上昇して、中国生産の伸びに加え需要地のASEANや南米、インドなどの生産が増える見込みである。日本メーカーのシェアが高いデジタル一眼レフカメラは国内生産ウエイトがおよそ50%弱となっているが、ニコンやソニーはタイでEMS生産も行っている。

2.家電製品 (6種)

            2010年      2011年予測    2016年予測     10年比

  生産規模    5億7,024万台  6億148万台   7億1,210万台    124.9%

 家電製品は新興国を中心に冷蔵庫、洗濯機、掃除機などが安定的に伸長している。またルームエアコンもASEANや中東を中心に冷房専用タイプの需要が非常に好調である。これらの家電市場は、年率3〜5%程度で成長していく見込みである。冷蔵庫と洗濯機は、需要地生産が多く、各地域の伸びが期待出来る。電子レンジは、今後中国メーカーの非常に安価な製品がシェアを伸ばし、生産委託率も上昇していくと見る。先進国の白物家電市場では「省エネ」がキーワードとなっており、日本のエコポイント制度や欧州向け「省エネ」モデルが受け入れられ、日本や韓国メーカーが力を入れている。特にルームエアコンの「省エネ」化が重要視されており、日本に続いて欧州を始め中国でもインバータ化が進んでいる。その為価格メリットが大きい中国メーカーの製品より、「インバータ」化技術に優れる日本メーカーのシェアが依然として高い。パナソニックや韓国のサムソン電子、LG Elなど様々なメーカーがインドでの生産・開発の強化を計画・実行している。


                      日本   中国     アジア    北米    中南米   欧州    その他
  地域別生産シェア(2010年)  3.0%  63.0%  18.7%   3.7%  3.1%   7.1%  1.5% 

 冷蔵庫、洗濯機、掃除機や大型白物家電は、地産地消で地元メーカーの比率が高く、それぞれの地域で生産が行われている。電子レンジは価格が非常に安い中国メーカーのシェアが高く、生産地である中国のウエイトが77.9%と非常に大きい。日本、韓国、欧州メーカーなども中国に生産拠点を持つEMSメーカーを採用する。

 電気炊飯器も、中国での生産ウエイトが90.7%と高い。外資系/ローカルメーカーはほとんどOEMで調達している。日本メーカーは国内生産をメインとしつつ中国でも生産を行ない、日本へ持ち帰り第3国へ輸出する。日本メーカーは高機能IH炊飯器を国内生産し、中国やタイでマイコン式炊飯器を生産する。ルームエアコンも中国メーカーが強く、同地域の生産ウエイトが高い。日本や韓国のメーカーは、インバータエアコンで差別化を図り、自国、中国、ASEANの3地域で生産している。


3.情報通信機器 (15種)

          2010年        2011年予測         2016年予測      10年比
  生産規模  21億8,848万台   23億6,773万台     31億3,986万台    143.5%

 10年に新たな市場を確立したのが、「iPad」に代表されるタブレットPCである。1,900万台であった市場は、11年には6,500万台、15年には2億台以上に成長すると予測する。また、電子書籍専用端末も近年大きく伸びた。競合製品も多いが年率20〜30%の成長を見込んでいる。デスクトップPCは微減が続くが、その分、ノートブックPCが年10%程度で成長する。携帯電話はスマートフォンが大きく伸長している。前年比2倍近い10年の2億5,000万台から、11年には4億4,000万、15年には8億7,000万台まで市場は伸びていく予測である。通信方式は11年以降GSMやCDMAが減少し、UMTS(第3世代移動通信方式)が伸長していく。FAXやプリンタ、複合機などのOA機器市場は2〜3%と安定した成長が見込まれる。カーナビは欧米では純正品の搭載率が向上し成長が見込まれ、中国や新興国でもアフターマーケットで安価な製品の需要が大きく伸び、その影響からPNDは微減が続くと予測する。

                      日本    中国     アジア    北米    中南米    欧州    その他
  地域別生産シェア(2010年)  1.6%   64.1%  25.2%   0.9%   3.0%   4.6%   0.6% 

 ノートブックやタブレットPCは、中国に生産拠点を持つ台湾系EMSメーカーでほとんどが生産されており、今後も変化は無いが、賃金の上昇や、労働者の職場放棄問題が表面化しており、早急な対処が必要とされている。また需要地として期待できるインドや南米でもデスクトップやノートブックPCの生産が検討され始めている。OA機器の外資系メーカーは中国に生産拠点を持つEMSメーカーへの生産委託率が上昇している。キヤノンやエプソンを始めとする日本メーカーは、高賃金化する中国からASEANを生産拠点の中心と位置付け始めている。スマートフォンへの注力度が高い携帯電話大手メーカーは、EMSメーカーの生産拠点である中国に加えて、需要地として期待の高いインドや南米、アフリカの生産量が増やすと見られる。


以上


<調査対象> 
 ●AV機器(14種):CRT−TV、PDP−TV、LCD−TV、STB、コンパクトDSC、デジタル一眼レフデジタルフォトフレーム、DVC、ポータブルメディアプレーヤ、DVDレコーダ/Blu−rayレコーダ、DVDプレーヤ/Blu−rayプレーヤ、カーオーディオ、据置型ゲーム機、ポータブルゲーム機

 ●家電製品(6種):電子レンジ、ルームエアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電気炊飯器

 ●情報通信機器(15種):デスクトップPC、ノートブックPC、タブレットPC、電子書籍専用端末、LCDモニタ、ファクシミリ、複写機/複合機、ページプリンタ、インクジェットプリンタ、携帯電話(GSM他)、携帯電話(CDMA)、携帯電話(UMTS)、コードレス電話、カーナビゲーションシステム、PND

 ●エネルギー関連部品(2種):結晶系太陽電池セル、薄膜系太陽電池セル

 ●ユニット製品/部品(13品目):大型TFT、中小型TFT、静電容量式タッチパネル、有機EL、キーボード、マザーボード、HDD、DVD−ROM/±R/±RW/RAM、Blu−rayドライブ、光ピックアップ、白色LED、スイッチング電源、リチウムイオン2次電池セル

<対象地域>
 日本、アジア(中国/香港、台湾、韓国、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、その他)、北米、欧州(東欧、ロシアを含む)、中南米、その他(アフリカ、オセアニア、
中近東など)

<調査方法>
 富士キメラ総研専門調査員による国内および海外取材・分析、各国公式データ収集

<調査期間>
 2011年1月〜3月

 
資料タイトル :「2011 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」
 体裁:A4判 429頁
 価格:97,000円 (税込み101,850円)
 CD−ROM付価格:117,000円(税込み122,850円)
 調査・編集:株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
 TEL:03−3664−5815  FAX:03−3661−5134
 発行所:株式会社 富士キメラ総研
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL03−3664−5839(代) FAX 03−3661−1414  e−mail:info@fcr.co.jp
 この情報はホームページでもご覧いただけます。
 URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
 URL:http://www.fcr.co.jp/


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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