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早大と大阪府立大、分子由来の光応答を1億倍以上に増強する原理を解明

2016-09-22

2ステップで作製可能な「複合ナノ構造」で分子由来の光応答が1億倍以上に増強
規則正しく並んだ昆虫の複眼と稲妻が集まる避雷針の自然現象がヒントに


 早稲田大学理工学術院井村考平(いむらこうへい)教授(先進理工学部)、大阪府立大学大学院理学系研究科飯田琢也(いいだたくや)准教授らの研究チームは、3個セットの金ナノ粒子と、昆虫の複眼のように規則正しく並んだマイクロ粒子の「複合ナノ構造体」を2ステップで簡単に作製できる技術を構築し、分子由来の光応答を1億倍以上に増強する原理を解明しました。

 私たちの身の回りにある金や銀は、金色や銀色をしていますが、これを小さくしていくと赤色、青色とさまざまな色に変化します。金のナノ粒子が赤色を示すのは、光をあてると金の中の電子が一斉に運動するためです。光はたくさん電子にまとわりつくので、金のナノ粒子の近くでは、光の密度が局所的に高くなります。このような状態のところに、分子があると分子の光に対する応答も大きくなります。これを利用すると分子の種類やその濃度を判定する化学センサーを作ることができ、1個の分子の種類を区別しながら検出することができれば、究極の超高感度化学センサーになります。現在、金ナノ粒子が2つ3つくっついた状態がもっとも感度が高いと考えられています。

 今回の研究では、自然界の高性能な受光素子の1つである昆虫の複眼と、効率的に光を集める方法として稲妻が避雷針に集まる現象をヒントに、金ナノ薄膜でコートしたマイクロ粒子の周期構造のくぼみに金ナノ粒子を3個ずつ載せた「複合ナノ構造体」を作製しました。この「複合ナノ構造体」は、基板に滴下した液滴中の微小な粒子が乾燥の過程で自然に配列する現象を使って、(1)マイクロ粒子の分散液を基板上に滴下・乾燥して金ナノ薄膜でコートし、(2)金ナノ粒子の分散液を滴下・乾燥するという2ステップで簡便かつ低コストに作製可能です。「複合ナノ構造体」は、可視から近赤外域に渡って非常に強い光応答を示し、さらに、複合ナノ構造体の表面に小さな色素分子をばらまくと、その色素分子内部の振動に伴って発生する散乱光が1億倍以上に増強されることが分かりました。

 本研究成果は、太陽光エネルギーの高効率変換や、ナノメートルオーダーの大きさの分子を表面に吸着して光で高感度に検出するタイプの化学センサーへの応用が期待できます。持続可能な社会実現のためのグリーン・イノベーション技術や、予防医療による健康長寿のためのライフ・イノベーション技術などの基礎となる成果と言えます。

 今回の研究成果は、米国化学会の科学論文雑誌『Journal of Physical Chemistry Letters』に、9月6日(現地時間)に掲載されました。
 論文URL:http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jpclett.6b01493

 ※リリース詳細は添付の関連資料を参照





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