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キヤノン、グローバルシャッター機能を搭載したCMOSセンサーを開発
新駆動方式の採用により広いダイナミックレンジを実現
グローバルシャッター機能を搭載したCMOSセンサーを開発
キヤノンは、グローバルシャッター機能を搭載したCMOSセンサーを新たに開発しました。信号読み出しの新駆動方式と新たな画素構造により、広いダイナミックレンジを実現することで、高画質な映像撮影に寄与します。
※製品画像は添付の関連資料を参照
新たに開発したCMOSセンサーは、全画素を同時に露光するグローバルシャッター機能を搭載し、高速で動く被写体を撮影する場合にも、ゆがみなく、形状を正確に撮像することが可能です。
飽和信号量の大幅な拡大とノイズの低減により、広いダイナミックレンジを実現しています。
■高速に変化する被写体をゆがみなく撮像可能
一般的なCMOSセンサーは、画素行ごとに順次露光を行うローリングシャッター方式が用いられており、画素によって信号読み出しにわずかながら時間差が生じるため、高速に動く被写体がゆがんで撮像されることや、撮影中にフラッシュを使うと上下で画像の明るさが異なるフラッシュバンド現象が発生することがあります。新たに開発したCMOSセンサーは、全画素を同時に露光するグローバルシャッター機能を搭載し、回転するプロペラや高速移動する電車など、高速に動く被写体を撮影する場合にも、ゆがみなく、正確な形状を撮像することが可能です。被写体の形状を高い精度で認識できるため、検査用カメラなど産業用途への活用・応用が期待されます。
■独自の新駆動方式と画素構造で広いダイナミックレンジを実現
新たに開発したCMOSセンサーは、光を電気信号に変換し、信号電荷をメモリーに蓄積する際に新駆動方式を採用することで、飽和信号量を大幅に拡大しています。さらに、光を効率的に取り込む構造を採用し、各画素内の配置を最適化することで、高感度化とノイズ低減が可能です。新駆動方式による飽和信号量の拡大と新たな画素構造による大幅なノイズ低減により、広いダイナミックレンジを実現し、輝度差の大きい撮影シーンにおいても、高画質で高精細な映像の撮影を可能にします。
キヤノンは新開発のCMOSセンサーについて、今後、産業用・計測用分野への活用・応用をはじめ、映像制作機器など映像分野への展開を検討していきます。
<デジタル撮影機器による画像記録のしくみ>
デジタルカメラやビデオカメラなどのデジタル撮影機器では、CMOSセンサーなどの撮像素子を用いて画像を記録します。撮像素子の表面には受光素子という目に見えないほどの細かな画素が並び、この受光素子にレンズから入った光が当たる(露光)と、それぞれの光の強弱に応じて電荷ができます。この電荷を読み出すことで画像情報を取得します。
<ローリングシャッター>
一般的にCMOSセンサーでは、1行ごとに順に露光を行うローリングシャッター(順次露光)を用いています。この場合、順々に露光・読み出しを行うため、最初に露光する行と最後に露光する行では、わずかながら時間差が生じ、1枚の画像にすると、高速に動く被写体がゆがんで撮像されることや、撮影中にフラッシュを使うと上下で画像の明るさが異なるフラッシュバンド現象が発生することがあります。
<グローバルシャッター>
グローバルシャッター(同時露光)は、CMOSセンサーの画素内にメモリーを設けることで、全ての画素で同時に露光することが可能です。全ての画素を同じタイミングで露光するため、ゆがみのない画像情報を取得できます。
※イメージ図は添付の関連資料を参照
<ダイナミックレンジ>
画像センサーが撮像できる明るさの範囲をダイナミックレンジといい、広いほど、輝度差がある撮影シーンでも白とびや黒つぶれのない高画質な映像撮影が可能になります。画像センサーの1画素が取り扱うことができる最大の光信号量を飽和信号量といい、飽和信号量が多いほど、ダイナミックレンジは広くなります。