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帝国データバンク、7月の全国企業倒産集計を発表

2016-08-16

全国企業倒産集計


<2016年 7月報>
 倒産件数は708件、5カ月連続の前年同月比減少
 負債総額は1278億9700万円、7カ月ぶりの前年同月比増加

 倒産件数:708件
 前年同月比:▲7.5%
 前年同月:765件
 前月比:▲5.2%
 前月:747件

 負債総額:1278億9700万円
 前年同月比:+3.0%
 前年同月:1241億5700万円
 前月比:+25.0%
 前月:1023億3000万円

 〔件数・負債総額の推移〕

 ※添付の関連資料を参照

【主要ポイント】
 ■倒産件数は708件で、前月比では5.2%の減少、前年同月比でも7.5%の減少となり、5カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は1278億9700万円で、前月比25.0%の増加、前年同月比でも3.0%の増加となり、7カ月ぶりに前年同月を上回った。7月としては、倒産件数、負債総額ともに2000年以降3番目の低水準となった
 ■業種別に見ると、7業種すべてで前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業と建設業は前年同月比2ケタの大幅減少。また、製造業は7カ月連続、卸売業は6カ月連続、建設業とサービス業は2カ月連続の前年同月比減少となった
 ■主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は578件(前年同月比10.5%減)
 ■規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産が414件(前年同月比4.4%減)、構成比は58.5%(同1.9ポイント増)を占め、5カ月連続の前年同月比減少となった。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の倒産合計が420件(同4.8%減)で構成比59.3%を占めた
 ■地域別に見ると、四国(8件、前年同月比33.3%減)、北海道(23件、同25.8%減)、近畿(159件、同18.9%減)、関東(261件、同13.9%減)の4地域で前年同月を下回った
 ■上場企業の倒産は発生しなかった
 ■負債トップは、公益財団法人山梨県林業公社(山梨県、民事再生法)の260億4400万円となった。以下、浜通り旅客運送(株)(旧:常磐交通自動車(株)、福島県、特別清算)の68億9000万円、埼玉県厚生農業協同組合連合会(埼玉県、破産)の65億3300万円と続く

【調査結果】
■件数・負債総額
 ・ポイント 倒産件数は708件、5カ月連続の前年同月比減少
倒産件数は708件で、前月比では5.2%の減少、前年同月比でも7.5%の減少となり、5カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は1278億9700万円で、前月比25.0%の増加、前年同月比でも3.0%の増加となり、7カ月ぶりに前年同月を上回った。7月としては、倒産件数、負債総額ともに2000年以降3番目の低水準となった。
 ・要因・背景
件数…業種別では全7業種で、地域別では近畿、関東など4地域で前年同月比減
負債総額…負債5000万円未満の倒産が58.5%と、小規模倒産が多数を占める傾向が続いた

■業種別
 ・ポイント 7業種すべてで前年同月比減少
業種別に見ると、7業種すべてで前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(22件、前年同月比31.3%減)と建設業(133件、同14.2%減)は前年同月比2ケタの大幅減少。また、製造業(102件、同1.0%減)は7カ月連続で、卸売業(110件、同6.8%減)は6カ月連続で、建設業とサービス業(157件、同3.7%減)は2カ月連続の前年同月比減少となった。
 ・要因・背景
1.建設業では、総合工事業(57件、前年同月比3.6%増)が前年同月を上回ったものの、職別工事業(44件、同32.3%減)、設備工事業(32件、同8.6%減)は前年同月比減少
2.運輸・通信業は、運輸業(20件、前年同月比31.0%減)が前年同月比2ケタの大幅減少となり、2カ月ぶりに前年同月を下回った

■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」は578件、5カ月連続で前年同月を下回る
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は578件(前年同月比10.5%減)となり、5カ月連続の前年同月比減少。構成比は81.6%(同2.8ポイント減)を占めた。
倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
 ・要因・背景
  1. 「チャイナリスク関連倒産」は7件(前年同月比36.4%減)、7カ月ぶりの前年同月比減少。
  2. 「円高関連倒産」は6件、「円安関連倒産」は4件判明。2013年9月以来、2年10カ月ぶりに円高関連倒産の件数が円安関連倒産の件数を上回った
  3. 「返済猶予後倒産」は36件(前年同月比2.7%減)、2カ月連続の前年同月比減少
  4. 「熊本地震関連倒産」は4件判明。2016年4月以降の累計は5件判明

■規模別
 ・ポイント 負債5000万円未満の構成比は58.5%
  規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産が414件(前年同月比4.4%減)、構成比は58.5%(同1.9ポイント増)となり、小規模倒産が半数以上を占めた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満の倒産合計が420件(同4.8%減)で構成比59.3%を占めた。
 ・要因・背景
  1. 負債5000万円未満の倒産では、運輸・通信業(10件、前年同月比41.2%減)、建設業(65件、同9.7%減)、小売業(105件、同6.3%減)など4業種で前年同月比減少
  2. 負債10億円以上の倒産は17件で、5カ月連続の前年同月比減。2カ月ぶりに負債100億円以上の倒産が発生したものの、依然として大型倒産は低水準が続く

■地域別
 ・ポイント 9地域中4地域で前年同月比減少
  地域別に見ると、四国(8件、前年同月比33.3%減)、北海道(23件、同25.8%減)、近畿(159件、同18.9%減)、関東(261件、同13.9%減)と、9地域中4地域で前年同月を下回った。
 ・要因・背景
  1. 近畿は、公共工事が増加傾向にあるほか、新名神高速道路における発注が進んだことから、建設業(26件、前年同月41件)が5カ月連続で前年同月を下回った
  2. 東京都(130件、前年同月179件)、大阪府(91件、同113件)、愛知県(40件、同49件)などの大都市圏が前年同月を下回り、全体の件数の押し下げ要因となった

■上場企業倒産
 上場企業の倒産は発生しなかった。
 上場企業の倒産は、企業業績の改善などを背景に2015年9月の第一中央汽船(株)(民事再生法、東証1部)以降10カ月連続で発生していない。

■主な倒産企業
 負債トップは、公益財団法人山梨県林業公社(山梨県、民事再生法)の260億4400万円となった。以下、浜通り旅客運送(株)(旧:常磐交通自動車(株)、福島県、特別清算)の68億9000万円、埼玉県厚生農業協同組合連合会(埼玉県、破産)の65億3300万円と続く。

景気動向指数(景気DI)
 ・景気DIは42.4、国内景気は悪化傾向が一服
  2016年7月の景気DIは前月比1.1ポイント増の42.4となり4カ月ぶりに改善した。
  7月は、熊本地震や大手自動車メーカーの燃費データ不正問題、イギリスのEU離脱ショックの影響が徐々に落ち着きつつあり、景況感の回復につながった。公共工事が増加したほか、ガソリンや軽油価格の低下でコスト負担が一部で和らいだことが、景況感を改善させる要因となった。マイナス金利政策は住宅関連業種で好影響を及ぼしている一方、金融機関で設備投資への慎重姿勢が強まるなど、導入の効果は業種間でバラツキがみられる。消費関連では『小売』が3カ月ぶりに改善したが、消費者の節約志向が高まってきているなかで、インバウンド消費における高額品から低額品への移行が懸念される。他方、熊本地震で落ち込んだ景況感から底を脱する兆しを見せていた『九州』は2カ月連続で改善した。国内景気は、前月までのマイナスショックの影響が徐々に和らぎ、悪化傾向が一服した。
 ・今後の国内景気は一進一退を続けながら、横ばい状態で推移
  7月末に決定された日本銀行による追加金融緩和策とともに、財政の前倒し支出や事業規模28.1兆円の経済対策など、財政政策と金融政策の両輪による効果が期待される。また、個人消費は低所得者向けの現金給付や最低賃金の引き上げなど、所得面での底上げが図られる見通しである。しかし、最低賃金の引き上げは企業負担の増加で設備投資などに後ろ向きの影響を与える可能性もあり、消費の回復には業績改善にともなう賃金上昇が不可欠といえよう。海外では、米国の雇用状況が好調だった一方、中国など新興国や資源国経済の景気減速は懸念材料である。今後の景気は、拡張的な経済政策がプラス材料となる一方、海外経済に懸念材料も多く、一進一退を続けながら横ばい状態で推移すると見込まれる。

【今後の見通し】
■7月の倒産件数は708件、「建設業」「運輸・通信業」が大幅に減少
 2016年7月の企業倒産件数は708件と、前年同月(765件)を7.5%下回り5カ月連続で減少した。業種別では、「建設業」(前年同月比14.2%減)と「運輸・通信業」(同31.3%減)が2ケタの大幅減少となるなど、7業種すべてで前年同月を下回った。
 負債総額は1278億9700万円で、7カ月ぶりに前年同月(1241億5700万円)を3.0%上回った。7月は負債100億円以上の倒産が2カ月ぶりに発生したものの、負債5000万円未満の倒産が58.5%を占めており、小規模倒産が多数を占める状況が続いた。

■大手婦人靴卸「シンエイ」が民事再生法申請、アパレル業界の商取引見直しなるか
 7月28日、「Riz」や「Marie」などの自社ブランドを展開していた大手婦人靴卸のシンエイ(東京都台東区)が民事再生法の適用を申請した。同社はパンプスやブーツ、サンダル等を主体に、全国の百貨店において売場を確保するなど、業界トップクラスの規模を誇っていた。しかし、主要販路である百貨店業界の業績が厳しさを増すなか、売上高もピークの1993年1月期と比べて半分以下に落ち込んでいた。
 婦人靴や婦人服業界にとって販売ルートの柱の1つである百貨店において、売上高の減少が続いている。アパレル業界に対しては、6月に経済産業省が商取引慣行の見直しを含めたサプライチェーンの再構築を促すなど、業界構造の改革が進む可能性がある。2015年度のアパレル関連業者の倒産は4年ぶりに300件を超えていた(帝国データバンク「アパレル関連業者の倒産動向調査」)。こうした環境のもと、アパレル業界は百貨店との取引における委託販売や在庫管理などが大きく変化する時代に対応した仕入販売体制の構築が重要となる。そのようななかで、製織・ニット・染色加工などの素材メーカーのなかには、国内のアパレル企業に見切りをつけて海外の有力ブランドとの取引や、自動車などの産業資材に重点を移した企業も少なくない。このような市場環境において、旧来型の商取引慣行からの見直しが業界全体に迫られているといえよう。

■経済対策の投入が景気を下支えするなかで、円高が再び懸念材料に浮上
 経済政策では、7月29日に日本銀行が追加金融緩和を決定した。その内容は、ETF(上場投資信託)買入れ額の増額、および企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置を柱としている。また、政府は8月2日、事業規模で28.1兆円にのぼる「未来への投資を実現する経済対策」を閣議決定した。今後はこれら拡張的な財政政策や金融政策が両輪となり景気を下支えする役割を果たすとみられる。ここで注目すべきは日本銀行が実施するとした金融緩和の政策効果に対する「総括的な検証」であろう。検証作業は9月までに行われるが、その結果によっては政策が転換される可能性もある。その場合、“異次元緩和”政策で影響を受けた建設や不動産、金融などの業界では、業績が検証結果に基づいた政策に左右されることになろう。
 また、ここにきて再び為替レートが円高に振れていることは懸念材料である。為替変動の影響を受けた7月の倒産は「円安」関連で4件、「円高」関連で6件発生しており、2013年9月以来2年10カ月ぶりに円高関連が円安関連を上回った。「円高」関連倒産は、直近の円高による倒産も発生し始めているものの、現時点では2008年から2012年まで続いた円の急上昇局面の影響を受けて倒産に至るケースが依然として多く、じわじわと企業経営を圧迫するのが特徴だ。日銀短観によると、主要企業は事業計画の前提となる為替レートを111円台と想定しており、現在の円ドル相場の水準で推移した場合の影響が懸念される。
 国内景気は、熊本地震からの復旧・復興が進みつつあるほか、燃費データ不正問題や英国のEU離脱問題の影響は徐々に落ち着きつつある。また、金融機関では中小企業の貸付条件の変更等に応じるなど、倒産を抑制する状況が続いている。しかし、消費は依然として弱含みで推移しており、景気を押し上げる力は弱い。さらに、中国など新興国や資源国の景気減速を背景に、海外経済の不透明感が高まっており、こうした不確実性の高まりが企業や家計の心理を冷やしていく懸念がある。海外経済や政策転換のリスクを抱えながらも、当面は倒産抑制策の継続で実態と合致しない倒産動向が続いていくとみられる。

 詳細は資料をご覧ください。

 ※詳細は添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照



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