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不動産経済研究所など、「全国住宅・マンション供給調査―2017年版」を発表
2015年度の戸建(含アパート)は34.1万戸 大東建託が首位堅持
マンションは供給7.08万戸 トップは野村不動産
株式会社不動産経済研究所と株式会社市場経済研究所は7月27日、「全国住宅・マンション供給調査―2017年版」をまとめた。
この調査は今回が17回目で、2015年度の建築実績と2016年度の販売計画について、全国の戸建てとマンションの主要企業に調査票を送り、4月下旬から5月下旬にかけてアンケート方式で実施した。有効回答企業数は戸建関連が201社、マンション関連が116社となっている。
※なお、この調査は不動産経済研究所が毎月発表している『首都圏のマンション・建売市場動向』、『近畿圏のマンション市場動向』、あるいは2月に発表している『全国マンション市場動向』の事業主別供給戸数ランキングとは違い、各社の決算報告に沿った完工・引渡し戸数、計画戸数を年度単位で、アンケートによってヒアリングしたものである。
■戸建編(含アパート)
[1]2015年度の供給戸数は前年度比1.8%減の34万1,068戸であった。
施工費アップに伴う価格上昇が需要のブレーキになった。
[2]2016年度の供給計画戸数は178社合計で5.2%増の25万2,090戸となった。
<2015年度全国戸建供給ランキング上位10社と2016年度計画>
*添付の関連資料を参照
【意識調査の結果】
1. 住宅着工の活性化に効果がある施策(複数回答):「住宅ローン控除の強化」が21.0%で、前年の調査(21.2%)に続いてトップ。住宅ローン控除さえ続けば購入希望者は多いとハウスメーカーは見ているようだ。2位は「雇用不安の解消」の19.0%。雇用情勢の改善を受け、ここ数年は年々減少しており、今回も前年より0.6ポイント減った。3位は「魅力ある商品の開発」(14.8%)で同1.9ポイント増加した。
2. 今後重視される住宅(複数回答):最も多かったのが「省エネ住宅」と「耐震性能住宅」で、ともに31.9%。「省エネ住宅」はこれで4年連続トップを維持したが、前回調査(33.7%)、前々回調査(37.7%)をかなり下回った。一方、「耐震性能住宅」は前回の18.1%(3位)から一気に13.8ポイント増えてトップに並んだ。東日本大震災後に注目を集めたあと年々数字が低下していたが、今年は熊本の大地震があり、再び目が向けられるようになった。長い間2位を続けた「エコ住宅」は20.5%で、前回調査(31.9%)より11.4ポイント減らして3位に後退した。だが、切っても切り離せない関係にある「省エネ住宅」(31.9%)と合わせると52%強を占め、エネルギーの節約・自然環境重視の傾向が続いていることに変わりはない。
■マンション編
[1]有効回答116社の2015年度の供給戸数は合計7万783戸。前年度実績に比べ2.6%の減少となった。
労務費アップや円安による資材高などから施工費が跳ね上がりマンション価格が高騰、需要が後退したことが響いた。
[2]ランキング1〜10位の企業(10社)の合計:3万3,322戸。
前年度比0.1%の増加。全体に占める供給シェアは47.1%。
[3]2016年度の供給計画戸数は103社合計で2.6%減の6万851戸となった。
<2015年度全国マンション供給ランキング上位10社と2016年度計画>
*添付の関連資料を参照
1. 需要の妨げとなっていたマンション価格高騰には一服感が出ているものの、価格高止まりの状態がしばらく続くとみられ、引き続き需要のブレーキとなりそう。
※5月下旬にかけて行った本調査では、2017年4月から実施が予定されていた消費税増税前の駆け込み需要への期待が大きかった。その後、増税実施時期の延期が決まったことから、2016年度の実際の供給戸数は落ち込み幅がさらに拡大する公算が大きい。
2. 供給計画戸数上位10社の合計:2万9,860戸。前年度実績(2万9,538戸)に比べ1.1%の増加。全体に占めるシェアは49.1%。
なお、本資料の詳細は『2017年版 全国住宅・マンション供給調査 企業別ランキング』として7月31日発刊、定価は30,000円(税別)。