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東北大など、極微細蛍光内視鏡イメージングシステムを商品化

2016-07-22

極微細蛍光内視鏡イメージングシステムを商品化
‐低侵襲で脳深部神経活動を可視化する‐


【概要】
 東北大学大学院医学系研究科小山内 実(おさないまこと) 准教授を中心とした研究グループと株式会社ルシールが共同で研究・開発した「極微細蛍光内視鏡イメージングシステム(Ultra−thin Fluorescence Endoscope Imaging System:U−FEIS)」(特許出願中:特願2016−071769)がこのほど商品化され、株式会社ルシールより販売されます。
 U−FEISは低侵襲で実験動物の脳の神経活動を簡便に可視化できるシステムであり、従来の顕微鏡では見ることができなかった脳深部のイメージングを低コストで行うことができるシステムです。また、in vivo(生体内)研究および臨床での利用場面を想定し、小型化による可搬性を重視した設計となっており、今後脳の活動における神経細胞のはたらきの解明、及び単一細胞レベルでのがん細胞の観察等に大きく貢献することが期待されています。
 このU−FEISは、平成28年7月20日から開催される「第39回日本神経科学大会」の企業ブースで展示され、主に大学等研究機関を中心に株式会社ルシールより販売される予定です。
 本研究・開発は、科学技術振興機構日本医療研究開発機構日本学術振興会(科研費)、の支援を受けて行われました。

【詳細な説明】
 東北大学大学院医学系研究科小山内 実(おさないまこと) 准教授を中心とした研究グループと株式会社ルシールが共同で研究・開発した「極微細蛍光内視鏡イメージングシステム(Ultra−thin Fluorescence Endoscope Imaging System:U−FEIS)」(特許出願中:特願2016−071769)がこのほど商品化され、株式会社ルシールより販売されます。
 U−FEISは低侵襲の極微細内視鏡部と専用小型イメージングシステム、画像取得用カメラ、蛍光色素励起用レーザーとで構成されております。内視鏡部分は、外径350μmの極微細レンズと、1万画素数のイメージファイバにより構成され、細胞の活動を十分に認識する2μmレベルの空間分解能を持っており、低侵襲と高空間分解能を両立させたこれまでにない内視鏡です。専用小型イメージングシステムは約30cm四方程度の大きさであるため、実験動物のすぐ横に運ぶことができるため、場所にとらわれずどこでもイメージングをすることが可能です。これらの装置群をイメージングシステムとしてパッケージ化し、光伝送効率を最大限に追求した結果、微弱な蛍光を発する個々の細胞を見分けることができ、脳深部での神経活動の多細胞イメージングが可能となりました。
 更にシステムとしての一体性と操作性を追求した結果、高度な専門知識や技術が不要で、かつ再現性の高いデータを簡便に取得することが可能となりました。in vivo(生体内)研究および臨床での利用場面を想定し、小型化による可搬性を重視した設計となっており、今後脳の活動における神経細胞のはたらきの解明や、単一細胞レベルでのがん細胞の観察等に、大きく貢献することが期待されています。
 このU−FEISは、平成28年7月20日から開催される「第39回日本神経科学大会」の企業ブースで展示され、主に大学等研究機関を中心に株式会社ルシールより販売される予定です。
 本研究・開発は、科学技術振興機構日本医療研究開発機構日本学術振興会(科研費)の支援を受けて行われました。

【U−FEISの特長】
<性能とコストの両立>
 近年、生物科学研究、特に神経科学研究のための様々な光学的機能分子プローブが開発され、in vivoで使える新たな光学計測技術が実用化されてきています。しかし、細胞レベルの空間分解能で脳深部の機能イメージングを行うためには、従来、極めて高価な多光子励起蛍光顕微鏡を用いる必要がありました。また、この多光子励起蛍光顕微鏡は1mmより浅い領域のイメージングにしか適用することができないため、げっ歯類など小型動物の大脳皮質の研究等、用途が限定されるものでした。
 U−FEISを構成する極微細蛍光内視鏡は、直径350μmの極微の微小光学レンズと、同径の1万画素数のイメージファイバで構成されています。
 U−FEISでは、この極微細蛍光内視鏡を専用の光学顕微鏡とシームレスに連携させ、その結合の効率を最大限に追及した結果、細胞の発する微弱な蛍光変化を捕捉する技術を確立しました。これによって、従来は高額の多光子励起蛍光顕微鏡を導入しないと不可能であった脳深部の細胞イメージングが、手軽に導入できるようになります。

<可搬性と操作性の向上>
 U−FEISでは、in vivo試験での使用環境を考慮し、極微細蛍光内視鏡、蛍光顕微鏡、画像取得用CCDカメラ、蛍光励起光源レーザーを含めたトータルのイメージングシステムとして小型化、パッケージ化を行いました。大きさは30cm四方と小型であり、光ファイバー経由で励起光源を取り付けることができるため、設置場所や移設の自由度が高いことに加えて、蛍光色素励起波長、蛍光波長を自由に選べるなどオプションも豊富です。
 トータルシステムとして設計されていることから、操作が容易であり、専門技術がない方でも再現性の高いデータを簡便に取得することが可能となりました。

<臨床応用への期待>
 U−FEISによって、脳や神経の深部でどのような細胞状態の変化が起こっているかに関する研究が更に広まり、脳の記憶メカニズム、神経の情報伝達メカニズムの解明が進むことが予想されます。これにより、依然有効な治療方法が確立されていない、アルツハイマー病や脊髄損傷等の治療薬や治療方法の開発にも、新たな発見が加わることが期待されます。
 また近年、がん細胞に特異的に蛍光色素を取り込ませる技術が進んできており、U−FEISに搭載された極微細内視鏡技術や、細胞の発する微弱な蛍光変化の捕捉技術によって、より精緻なレベルでがん細胞の可視化が進むことが見込まれます。このような、がんの原因究明や治療薬の開発はもとより、その操作性や可搬性の高さから、臨床現場での即効的ながん診断への展開も考えられるほか、工業的な非破壊検査等、広範囲な応用が可能です。
 本製品は現在、文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』」先端技術基盤支援プログラム「先端モデル動物支援プラットフォーム」において、研究者に支援提供される研究項目として採用されています。

【特許について】
 本システムは、現在特許出願中です。(特願2016−071769)

【参考文献】
 Osanai M,Suzuki T,Tamura A,Yonemura T,Mori I,Yanagawa Y,Yawo H,Mushiake H.Development of a micro−imaging probe for functional brain imaging.Neuroscience Research 75:46−52,2013.

 ※図1〜4は添付の関連資料を参照



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