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帝国データバンク、2015年度の主要上場建設会社60社の受注・業績動向調査結果を発表
特別企画:2015年度 主要上場建設会社60社の受注・業績動向調査
工事受注高、5年ぶりの減少
ー官需の伸び率減少へ、民需は伸長続くー
■はじめに
上場建設会社の2015年度決算が出揃った。2015年12月に実施した前回調査(2015年度第2四半期業績)では、中間期時点の受注高が前年同期比で7.4%減少。特に、官公庁向けの受注は同30.4%の大幅減となったこともあって、自民党政権発足以来の公共工事による建設好況に変調の兆しが見られ、年度通期での失速が予想されていた。
帝国データバンクは、全国の主要上場建設会社の2015年度(2015年4月〜2016年3月、12月決算企業は2015年1月〜12月)の決算短信から、単体ベースの受注高とその官民比率、および連結ベースの売上高、売上総利益率について調査・分析した。調査対象は、主要な上場建設会社60社で、受注高については前年度との比較が可能な50社。
※前回調査は2015年12月24日、前々回調査は2015年6月23日。
※なお、(株)竹中工務店<未上場>は、売上規模を勘案し分析対象に加えている。
■調査結果要旨
1. 主要な上場建設会社60社のうち、個別受注高の判明している50社の2015年度の受注高は、前年度比4.5%減の13兆1610億2400万円。半数以上が受注減となり、全体でも5年ぶりの減少に転じた
2. 受注高の内訳(官・民)が判明している35社では、官公庁工事の受注高が前年度比18.3%減の2兆8069億3200万円。実に6割超の企業で受注が減少した。
一方、民間工事の受注高は同6.2%増の6兆9646億5800万円。
これまでとは一転、民需が支える状況となった
3. 売上総利益率は11.9%と上昇傾向にあり、近時の労務・資材関連費用の安定化で収益性が高まる
*グラフ資料は添付の関連資料を参照
1.受注高動向〜前年度比4.5%減、5年ぶりの減少に転じる
*表資料は添付の関連資料「表資料(1)」を参照
主要上場建設会社60社のうち、個別受注高の判明している50社の2015年度の受注高は、前年度比4.5%減の13兆1610億2400万円となった。公共投資の減少に伴い、2011年度以降続いていた受注高の上昇傾向から、5年ぶりに減少へと転じている。
受注高の伸び率で第1位となったのは、旺盛な民間受注を取り込んだほか、東南アジアなどの大型案件を伸ばした「東洋建設」で、前年度比27.7%増。次いで、官公庁からの受注が大幅に伸長した「森組」の同20.1%増、「イチケン」の同18.9%増と続く。2割以上の受注増を記録したのは2社にとどまり、2014年度の7社と比較しても受注動向の失速感が顕著となった。
一方、減少率がもっとも大きかったのは、競合の激化を受けて前年度比52.7%減となった「金下建設」。続いて、大型陸上工事を複数受注した前年度からの反動減となった「五洋建設」が同38.6%減、建築部門で受注が半減した「常磐開発」の29.1%減となっている。
受注増は50社中23社(前年度は51社中39社)にとどまり、半数超が受注減となった。
*表資料は添付の関連資料「表資料(2)」を参照
*リリース詳細は添付の関連資料を参照