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太平洋セメント、3Dプリンターで積層造形できる鋳型向け無機材料を開発

2016-06-29

3Dプリンタで積層造形できる鋳型向け無機材料の開発に成功


太平洋セメント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:福田修二)はこの度、北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 工業試験場(以下、道総研工業試験場)の協力のもと、三次元造形装置(以下、3Dプリンタ)による積層造形が可能で、高い耐熱性を兼ね備えた鋳型向け無機材料の開発に成功しました。

 道総研工業試験場ではこれまで、3Dプリンタを用いた鋳型製造の検討を行っており、耐熱性に優れるセメント系材料の適用性が高いことを見出していました。一方で、溶湯温度が1200℃を超える金属の鋳造では、鋳型材料の成分に起因したガスの発生によるブローホール欠陥(写真〔1〕)や、球状黒鉛鋳鉄における黒鉛球状化の阻害に伴う表層欠陥といった課題があり、実用化する上での大きなハードルとなっていました。
 太平洋セメントでは、三次元造形技術を将来性のある先端分野と捉え、当社が培ってきたセメントをはじめとする無機材料の設計・製造技術を駆使することで、上記課題の解決に貢献できると考えました。無機材料の特性や反応性に関する知見を応用し、新たな視点から成分や構成を鋭意検討した結果、3Dプリンタ造形に適する抗折強度を発現するとともに、材料に由来する不具合の発生を抑制する画期的な無機粉末の開発に至りました。開発した無機粉末を用いて3Dプリンタで鋳型を作製し(写真〔2〕)、約1600℃まで溶湯温度を高めた鋳鉄溶湯を鋳込んだところ、ガスによる欠陥を生じることなく、表面が滑らかな鋳物となり、実用レベルにあることが検証されました(写真〔3〕)。得られた成果については、今年9月に高知市で行われる日本鋳造工学会全国講演大会において、道総研工業試験場との連名で発表する予定です。
 開発した無機粉末と3Dプリンタの組み合わせ技術により、溶湯温度の高い金属鋳造用の鋳型をはじめ、複雑な形状を有する特殊な鋳型等への広範な利用が期待されます。今後は、サンプル提供を行いながら、道総研工業試験場と共同で無機粉末の更なる性能向上と最適化を図り、早期の上市を目指します。

(用語解説)
鋳造(ちゅうぞう):金属を高い温度で熱し、液体にして型に流し込み、冷やして固体に戻し目的の形状を得る加工方法のこと
鋳物(いもの)  :鋳造(プロセス)によってできた金属製品のこと
・鋳型(いがた)  :鋳造に使用する耐熱性の高い材料で製作された型のこと
・鋳込み(いこみ) :溶かした金属を鋳型に流し入れること
・溶湯(ようとう)温度:溶かした金属の温度のこと
・鋳鉄(ちゅうてつ):鉄を主成分とし、炭素を2%以上含有する合金のこと
・球状黒鉛鋳鉄(きゅうじょうこくえんちゅうてつ):組織中の黒鉛の形を球状にして、強度や延性を改良した鋳鉄のこと
・抗折強度(こうせつきょうど):材料の力学的性質を表す値のひとつであり、曲げ試験において試験片が折れる時の力から求められる応力度のこと

 ※参考画像は添付の関連資料を参照

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