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奥村組、シールド工事における「テールクリアランス自動計測装置」を開発

2016-05-20

シールド工事における「テールクリアランス自動計測装置」を開発
−安定的なリアルタイム計測を実現−


 株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、社長:奥村太加典)は、地下にトンネル構造物を構築するシールド工事において、シールド機テール部内のテールクリアランス(※1)の安定的なリアルタイム計測を可能とする「テールクリアランス自動計測装置」を開発し(特許出願済)、この度、和歌山市建設局発注の下水道シールド工事への適用機会を得て、その有用性を実証しました。

 ※1 テールクリアランス:シールド機テール部(後部)の鋼殻(スキンプレート)内面とセグメント外面との隙間


【背景】
 鉄道や下水道などの地下トンネル構造物を構築するシールド工事では、シールド機テール部内でトンネル構造物の外壁部材となるセグメントをリング状に組み立て、これを反力としてシールド機を押し出しながら前方の土砂を削り取ることで掘進し、後方に一連のトンネル構造物を構築します。一般的に、シールド機とセグメントが同一線形を描きながら掘進する条件であれば、テールクリアランスはほぼ均一に保たれますが、シールド機が先行して方向を変える曲線部など、互いの線形にずれが生じる場合にはテールクリアランスをバランスよく確保することが困難となり、セグメントとシールド機テール部のスキンプレートが接触して変形や損傷に繋がる可能性が高くなります。このため、テールクリアランスの変化を適切に把握して互いの線形のずれが大きくなる前にシールド機やセグメントの軌道を補正する必要がありますが、従来の人力による計測では掘進にともない刻々と変化するテールクリアランスをリアルタイムで把握することが困難で、また近年開発が進んできたレーザー光やカメラを用いた非接触式の自動計測装置でも裏込め注入材の残滓や洗い水などに阻害されて計測不能となるケースも散見することから、常時計測を安定的に行える手法が求められてきました。


【概要・特長】
 今回開発した「テールクリアランス自動計測装置」は、ねじりばねで起立するアーム、アーム先端に取り付けたローラータイプの接触子およびアームの回転角度を感知するセンサーで構成され(図−1)、シールド機テール部のスキンプレート内面の切欠き部に装備します。テールクリアランス量の計測はセグメント外面に押し当てたアームの回転角度から自動で割り出す方式を採用しており、汚れや水などが散在する環境でも安定的な常時計測を可能とします。計測結果は、シールド機運転室や地上のモニターなどからリアルタイムに確認することができます。


【実工事への適用】
 本装置を和歌山市建設局発注の公共下水道和田川排水区2号雨水幹線工事その1(シールド機外径:φ5,240mm、掘進距離:1,229m)に適用しました(図−2〜3、写真−1)。掘進中のテールクリアランスの変化を常時計測し、これをシールド機の掘進やセグメントの組み立ての補正に早期に反映することで、すべてのセグメントの真円度(設計内径に対する鉛直または水平方向の偏差量)を±10mm以内に収め、高品質な管路を構築することができました。

 今後は、本装置をシールド工法により築造する管路の品質向上に資する施工管理技術として、全国のシールド工事に積極的に適用・展開していきます。


 *図1〜3・写真1は添付の関連資料を参照



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阿倍野区 和歌山市 奥村組 下水道 大阪市 特許

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