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東京商工リサーチ、「日産・三菱自動車国内取引状況」調査結果を発表

2016-05-18

[特別企画]
「日産・三菱自動車国内取引状況」調査
〜2社の共通の1次仕入先は277社〜


 5月12日、燃費試験データの偽装問題で揺れている三菱自動車工業(株)(TSR企業コード:290569729、法人番号:7010401029044、本社:港区、東証1部、以下三菱自)は、日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、法人番号:9020001031109、本社:横浜市、東証1部、以下日産)と業務提携に向けた基本合意書を締結し、日産を割当とする第三者割当増資をすることを発表した。
 今回の発表を受け、東京商工リサーチは日産と三菱自の取引状況の緊急調査を実施した。その結果、直接取引がある1次仕入先は日産1,520社、三菱自1,068社で、2社と取引している先(重複取引)は277社だった。産業別の1次仕入先は、日産、三菱自ともに製造業が最も多かった。資本金別でみると、1次仕入先では資本金5千万円未満(その他含む)が日産では構成比59.8%(909社)、三菱自で同62.7%(670社)となり、三菱自の仕入先の中小企業は日産より2.9ポイント高かった。
 日産の主導による再建が進んでいくが、業務提携による影響が取引先にどのように波及していくかが注目される。
 ※本調査は、日産と三菱自(ともに単体)の仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分けて、企業情報サービス「tsr−van2」の企業相関図を活用し、業種や地区などで集計、分析した。
 ※1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引を示す。


■産業別仕入先は2社ともに製造業が最多
 日産の1次仕入先は1,520社。外注など下請が多く占める製造業が691社(構成比45.4%)で最多だった。以下、卸売業307社(同20.2%)、サービス業他278社(同18.2%)、情報通信業125社(同8.2%)、建設業46社(同3.0%)と続く。1次販売先は366社で、販売店(ディーラー)向けを指す小売業が160社(同43.7%)と最も多かった。
 三菱自の1次仕入先は1,068社だった。日産と同様に製造業が最多で544社(同50.9%)と過半数を占めた。次いで、卸売業232社(同21.7%)、サービス業他138社(同12.9%)、運輸業48社(同4.4%)の順。1次販売先は305社で、小売業が126社(同41.3%)と最も多かった。

 *表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照


■重複取引先(産業別) 1次仕入先は277社
 日産、三菱自の2社と取引している先(重複取引先)は、1次仕入先が277社だった。このうち、製造業がの78社(構成比64.2%)が最多で、卸売業63社(同22.7%)、サービス業他17社(同6.1%)の順だった。日産の1次仕入先(1,520社)に占める重複取引先の比率は18.2%、三菱自(1,068社)は同25.9%となった。

 *表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照


■地区別(1次) 三菱自は中部や中国地区の企業との取引比率が高い
 地区別の1次仕入先では、日産は関東が1,141社(構成比75.0%)と関東に本社を置く企業との取引比率が7割を超えた。次いで中部の158社(同10.3%)だった。一方、三菱自は関東が374社(同35.0%)で最多だったが、名古屋製作所がある中部は298社(同27.9%)、水島製作所がある中国は175社(同16.3%)と製造拠点がある地区に本社のある企業との取引比率が高く、日産との違いが表れた。

 *表資料は添付の関連資料「表資料3」を参照


■地区別(2次) 三菱自は中部の比率が高い
 日産の2次仕入先は、1次と同様に関東が最も多く2,870社(構成比56.5%)だった。次いで中部859社(同16.9%)、近畿740社(同14.5%)の順。
 三菱自の2次仕入先は、関東が1,610社(同39.0%)で最多で、中部1,112社(同26.9%)と続く。中部は、日産では1次、2次仕入先ともに10%台であったのに対して、三菱自では3割近くに及んでおり、中部経済への影響が注目される。

 *表資料は添付の関連資料「表資料4」を参照


■資本金別三菱自の1次仕入先は中小企業が多い
 1次仕入先の資本金別では、日産は資本金5千万円未満(その他含む)は1次全体の59.8%(909社)を占めた。三菱自では62.7%(670社)となり、三菱自が日産よりも中小企業との取引割合が多いことがわかった。

 *表資料は添付の関連資料「表資料5」を参照


 三菱自は不正の公表後、軽自動車を生産する水島製作所(岡山県倉敷市)で一部生産を休止しており、同社の仕入先も工場の操業を一部停止するといった影響が出ている。消費者の不信感も増大し、三菱自の販売店の売上が落ち込んでいるほか、日産も軽自動車の供給を受けている関係で、日産の販売店にも影響を及ぼしている。
 三菱自の仕入先や販売店の不安が高まるなか、日産の出資を含めた業務提携が発表された。今後、日産主導で再建が進められていくことになるが、三菱自は度重なる不祥事より低下した信用を取り戻すまでに相当の時間が必要だろう。
 自動車は使用する部品点数が多いため、多くの協力業者との取引が必要で、雇用面などで地域経済に大きく貢献している。今回の調査で、三菱自は生産拠点がある中部や中国地区に多くの仕入先を抱えていることがわかった。また、三菱自は日産よりも中小企業との取引比率が高いこともわかった。日産主導の再建により、三菱自の車種が絞られた場合、三菱自への売上依存度の高い中小企業の経営に大きな影響を及ぼす可能性があり、再建プランを注意深く見守る必要がある。



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