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東京商工リサーチ、「三菱自動車グループ国内取引状況」調査結果を発表

2016-05-03

[特別企画]
「三菱自動車グループ国内取引状況」調査
〜仕入先は1次・2次取引を含め国内6,122社総従業員数は約344万人〜


 4月20日、三菱自動車工業(株)(TSR企業コード:290569729、法人番号:7010401029044、本社・東京都港区、東証1部上場)が、軽自動車の型式認証取得で国土交通省に提出した燃費試験データに不正な操作があったことを公表した。同社は2000年と2004年にもリコール隠しの問題が発覚しており、三菱グループ各社の支援で再建中だった。そのさなかの不正発覚で、同社の企業体質が厳しく問われているが、今回の影響がどこまで広がるか不透明だ。
 そこで今回の事態を背景に、東京商工リサーチでは三菱自動車及び同グループ各社の取引状況を調査した。同グループ各社と取引があるとみられる1次仕入先は1,356社、総従業員数は41万2,876人だった。同社と直接取引のある1,356社のうち、資本金5,000万円未満の中小企業は913社(構成比67.3%)、従業員数が50人未満は808社(同59.5%)と、大半を中小企業が占めていることがわかった。
 ※三菱自動車と同社グループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引先)に分けて、企業情報サービスtsr−van2の企業相関図を活用し、業種や地区、規模などを集計、分析した。
 ※1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引を示す。
 ※三菱自動車グループ:三菱自動車工業本体と有価証券報告書に記載の国内連結子会社9社。


 *以下の資料は添付の関連資料「表資料」を参照

 ・三菱自動車工業 連結決算推移
 ・三菱自動車工業 主な国内拠点
 ・三菱自動車工業グループの状況(単体決算)


■産業別 1次仕入先は製造業、1次販売先は小売業が約4割を占める
 三菱自動車グループの1次仕入先は1,356社だった。産業別では、部品メーカーなど製造業が605社(構成比44.6%)で最多。次いで、卸売業が294社(同21.6%)、サービス業他が232社(同17.1%)、運輸業が73社(同5.3%)の順だった。
 一方、1次販売先は1,605社で、ディーラーや車両販売店などの小売業が604社(同37.6%)と最も多く、次いで、車両リースや整備業などサービス業他が566社(同35.2%)だった。

 *産業別<表>は添付の関連資料を参照


■業種別 1次仕入先は自動車部分品・附属品製造業が最多
 三菱自動車グループの1次仕入先(1,356社)の業種別では、自動車部分品・附属品製造業が142社で最多。以下、自動車部分品・附属品卸売業(65社)、その他の産業機械器具卸売業(46社)、その他の自動車整備業(43社)、一般貨物自動車運送業(40社)と続く。
 産業別で最も多かった製造業(605社)を業種別でみると、自動車部分品・附属品製造業のほか、金属用金型・部分品・附属品製造業(32社)、アルミ・同合金プレス製品製造業、金属プレス製品製造業(各18社)、機械工具製造業(17社)、金属工作機械製造業(13社)など。

 *業種別<表>は添付の関連資料を参照


■資本金別 1次仕入先は5千万円未満が約7割
 三菱自動車工業と同グループ各社の1次仕入先(1,356社)を資本金別でみると、「1千万円以上5千万円未満」が744社(構成比54.8%)と最も多かった。次いで、「1億円以上」が276社(同20.3%)、「5千万円以上1億円未満」が167社(同12.3%)と続く。
 一方、1次販売先(1,605社)では、最多が「1千万円以上5千万円未満」で779社(構成比48.5%)だった。次いで、「1百万円以上5百万円未満」が348社(同21.6%)、「5百万円以上1千万円未満」が172社(同10.7%)の順。
 資本金5千万円未満(その他含む)の1次仕入先は全体の67.3%、1次販売先では同88.4%を占め、三菱自動車工業と同グループ各社の直接取引企業の多くは中小企業で、三菱自動車工業と同グループ企業の今後の動向は注意深く見守ることが必要だ。

 *業種別<表>は添付の関連資料を参照


■従業員数別 1次仕入先は50人未満が約6割
 三菱自動車工業と同グループ各社の1次仕入先(1,356社)の総従業員数は41万2,876人、2次仕入先(4,766社)の総従業員数は303万1,398人だった。
 1次仕入先の従業員数別では、「20人以上50人未満」が249社(構成比18.3%)で最多。次いで、「5人未満」が190社(同14.0%)、「10人以上20人未満」が185社(同13.6%)、「5人以上10人未満」が184社(同13.5%)、「50人以上100人未満」が148社(同10.9%)と続く。
 一方、1次販売先(1,605社)は、「5人未満」が445社(構成比27.7%)と最多だった。以下、「5人以上10人未満」が411社(同25.6%)、「10人以上20人未満」が291社(同18.1%)、「20人以上50人未満」が203社(同12.6%)、「50人以上100人未満」が89社(同5.5%)の順。

 *従業員数別<表>は添付の関連資料を参照


■地区別 大都市圏と製造拠点の地域に集中
 三菱自動車グループの1次仕入先(1,356社)を地区別でみると、最多は関東の475社(構成比35.0%)。次いで中部372社(同27.4%)で、この2地区で6割(同62.4%)を占めた。
 1次仕入先では、生産拠点のある愛知県が278社、岡山県が156社、京都府が69社。また、関連会社のパジェロ製造がある岐阜県が46社ある。
 三菱自動車グループの取引企業には中小企業が多い。今回の燃費偽装問題が拡大し、三菱自動車工業の業績悪化につながった場合、取引先のある地元では取引縮小などで地域の景気や雇用にも大きな影響が出ることが懸念される。
 従業員数が50人未満(不明除く)の1次仕入先は808社(構成比59.5%)、1次販売先は1,350社(同84.1%)と、三菱自動車工業と同グループ各社の直接取引は、中小企業が大半を占めており、今後の動向次第では地域の雇用問題にも大きな影響が出る可能性がある。

 *地区別<表>は添付の関連資料を参照


 企業規模に問わず、現在は常にコンプライアンス(法令順守)意識が求められている。今回の三菱自動車工業の偽装問題は、過去の重大な不正行為への反省どころかコンプライアンス意識の欠如を改めて浮き彫りにしたもので、同社の企業体質への疑念は大きい。
 三菱自動車及び同グループ各社と取引のある企業の多くは中小企業が占めている。主力生産拠点の名古屋製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)、関連会社が所在する岐阜県では取引先を含めて多くの雇用を創出しており、同社の動向次第では地域経済や雇用などに大きな影響を与える可能性も危惧される。




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