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NTT、止まらないビッグデータ分析で渋滞予測・信号制御の信頼性を向上

2016-04-16

止まらないビッグデータ分析で渋滞予測・信号制御の信頼性を向上
〜新サーバアーキテクチャMAGONIAにより迅速かつ低コストに、高信頼なサービスを提供〜


 日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下 NTT)は、新サーバアーキテクチャ「MAGONIA(*1)(マゴニア)」の分散処理技術を適用することにより、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(東京都江東区、代表取締役社長:岩本敏男、以下 NTTデータ)が研究開発する渋滞予測・信号制御システムの故障耐性を向上させるとともに、処理を止めずにサーバ台数を増減することを可能にしました。
 今回、共同実験を通じて渋滞予測・信号制御のような空間分析系処理へのMAGONIAの適用方法を確立し、MAGONIAが幅広いアプリケーションに有効であることを実証しました。これにより今後、信頼性やスケーラビリティが求められるより多くのサービスへMAGONIAの価値が提供できると期待されます。
 今後NTTは、交通系以外のさまざまな分野へのMAGONIA適用を推進し、信頼性やスケーラビリティを必要とするサービス事業者を支援していきます。


<背景>
 NTTは将来の通信ネットワークの技術開発コンセプトNetroSphere構想(*2)の一環として、新たなサーバアーキテクチャMAGONIAの研究開発に取り組んでいます。MAGONIAの中核を担う分散処理基盤(ミドルウェア)は大量のデータを高速に処理することや、いかなる時にもサービスを止めないこと、需要に応じて処理能力や機能を柔軟に拡張することを可能にします。これらは、さまざまなサービスに共通のニーズであり、通信系以外の分野でもMAGONIAが貢献できると考え、幅広い分野への展開を検討しています。本基盤上でサービスを開発することで、サービス事業者はサービスロジックの開発のみに集中し、迅速かつ低コストに信頼性の高いサービスを提供することが可能になります。
 これまで、賛同を得たパートナー企業と共同で、ETSI(*3)NFV ISG(*4)認定のコンセプト実証(*5)や、映像配信サービスをユースケースとしたフィールド実験等、通信分野への適用を進めてきました。今回、新たに通信分野以外のシステムへも対象を広げ、適用技術の確立に取組みました。


<共同実験の概要と成果>
 NTTデータが研究開発している渋滞予測・信号制御技術(*6)は、図1に示すように、リアルタイムに収集した大量のセンサデータを利用して、対象エリアにおける交通傾向を分析し(以下 交通シミュレーション)、この結果に基づいて信号機をコントロールします。交通シミュレーションは計算量が多いうえ、交通量の変化にともない計算量が時々刻々と変わるため、システムには高いスケーラビリティが求められます。また、決められた制限時間内に確実に分析結果を信号機へフィードバックしなければならないため、システムにはリアルタイム性高い信頼性(耐障害性)が求められます。
 そこで、システムの実用化にむけて、システムの信頼性やスケーラビリティの向上を目的に、2015年9月から2社で共同実験を行い、MAGONIAの分散処理基盤の適用手法の確立、及び適用後のシステムの信頼性の評価等を行いました。
 今回の実験では、交通シミュレーションの分析処理部を、既存のアプリケーションロジックはそのままにMAGONIAの分散処理基盤上に搭載することに成功し、これによりスケーラビリティや信頼性、リアルタイム性を向上できることが確認でき、MAGONIAが幅広いアプリケーションに有効であることを実証できました。このように、アプリケーションロジックへの影響なく、スケーラビリティや信頼性、リアルタイム性に関するシステム設計開発及び保守運用をMAGONIAの分散処理基盤が担うことで、アプリケーションの開発規模や保守運用稼働の削減によるコスト削減が期待されます。


 ※図1は添付の関連資料を参照


<今後の展望>
 NTTは、NTTデータの渋滞予測・信号制御システムの実用化をはじめ、大量のデータを高速に処理することやいかなる時にもサービスを止めないこと、需要に応じて処理能力や機能を柔軟に拡張することが求められるさまざまなサービスの事業者に、パートナーとしてMAGONIAの価値を提供し、サービス事業者の課題解決やサービスの信頼性向上に貢献していきます。


<参考:共同実験の詳細>
 渋滞予測・信号制御システム(概要:図1)における交通シミュレーションは、これまで分散処理基盤の有効性を実証してきた通信系サービスとは動作特性が異なります。図2に示すように、通信系サービスは端末からの発信等のイベントを契機に処理が起動し、この処理の単位で負荷分散されます。単位処理がもともと独立しているため、分散される処理やデータはお互いに疎な関係にあります。これに対し、交通シミュレーションはひとつの処理を複数の小さな処理(セル)に分割することから、分散される処理やデータが完全には独立しておらず、お互いに同期処理が必要になります。また、イベント契機ではなく周期的に処理を行います。
 このような処理を分散処理基盤上に搭載するのは初の試みでしたが、図3のように、アプリケーションとMAGONIAの間のアダプタとして処理分割機能とサーバ間処理同期機能を具備することで、既存の分析処理部をそのまま分散処理基盤上に搭載できました。また、同期処理が分析処理の性能に与える影響が懸念されましたが、実験の結果、決められた制限時間内に交通シミュレーションを完了できることが確認できました。さらに、交通シミュレーション中にサーバが故障しても、セル単位で複数のサーバに迅速にフェイルオーバーして分析を継続できることや、交通シミュレーション中に動的にシステムの計算能力を拡縮できることが確認できました。なお、このアーキテクチャはアプリケーションに依存しないため、類似のアプリケーションでも同様の効果が期待されます。


 ※図2・図3は添付の関連資料を参照


<用語解説>

*1 MAGONIA
 MAGONIAはNTTの登録商標です

*2 NetroSphere構想
 将来の通信ネットワークの技術開発に関するコンセプトとして提唱
 http://www.ntt.co.jp/news2015/1502/150219a.html

*3 ETSI(European Telecommunications Standards Institute)
 ヨーロッパ圏の電気通信における標準仕様を策定するために設立された標準化団体

*4 NFV ISG(Network Functions Virtualisation Industry Specification Group)
 2012年12月世界のキャリアが中心となり、ETSI内に設立したキャリア主導のネットワーク仮想化技術に関する検討を推進するグループ

*5 ETSI NFV ISGコンセプト実証
 サービスアプリケーションが求める信頼性・拡張性に応えるプラットフォーム技術がETSIのコンセプト実証として認定
 http://www.ntt.co.jp/news2014/1405/140501a.html

*6 NTTデータ:渋滞予測・信号制御技術
 NTTデータが研究開発中の技術で、中国吉林市において渋滞緩和効果を確認するなど実証実験を実施
 http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2015/012303.html




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