NEC、４K高精細映像のリアルタイム処理が可能な超低遅延コーデックを発売

NEC、４K高精細映像のリアルタイム処理が可能なH．２６５対応の超低遅延コーデックを発売
〜約９９ミリ秒の超低遅延処理を実現〜


　NECは４K（注１）映像のリアルタイム処理を実現するコーデックの新製品として、エンコーダ「VC−９７００」並びにデコーダ「VD−９７００」を２０１６年７月に発売します。

　４K高精細映像はデータ量が多いため、映像や音声を伝送するために、より圧縮率の高いコーデックが求められます。新製品は、４K高精細映像の約５００分の１までの圧縮処理に対応するとともに、約９９ミリ秒という超低遅延での圧縮・伸長処理を可能にします。
また、色域や輝度の幅を拡大する技術であるBT．２０２０（注２）やHDR（注３）にも対応し、高画質で臨場感あふれる４K映像を実現します。

　NECは、社会ソリューション事業に注力しており、新製品を提供することで、放送事業者の安全で安心な放送サービスの実現、２０２０年とその先を見据えた映像ソリューションの高度化に貢献していきます。

　※製品画像は添付の関連資料を参照


■背景
　日本では総務省が放送サービスの高度化を推進しており、BS／CS放送やケーブルテレビ放送においては、４K放送のインフラが整備されつつあります。それに伴い国内では、２０１５年から一部の放送事業者で４K映像の商用放送が開始され、BS／CS放送やケーブルテレビ放送、IP放送（注４）などを運用している放送事業者では、４K放送サービスの導入に対するニーズが高まっています。
　また、NECはこれまで４K・８Kといった高度な放送サービスの普及・推進に寄与するため、４K放送の実験や８K対応コーデックの開発など様々な取組みを行ってきました。（注５）
　今回の新製品は、４K高精細映像の圧縮技術と超低遅延技術をもとに、放送事業者による４K放送サービスの実現と運用性の向上に貢献します。


■出荷開始日および販売目標
　・出荷開始日：２０１６年１０月〜
　・販売目標：今後３年間で５００台


■新製品の特長
　１．　臨場感あふれる４K映像を実現
　新製品は、高い圧縮効率を実現する映像符号化方式「H．２６５／HEVC（注６）」を採用し、大容量である４K映像データを約５００分の１まで圧縮処理可能なため、伝送するデータの帯域を大きく削減できます。
　また映像の符号化には、NECが地上波デジタル放送開始以前から培ってきた高画質アルゴリズムを適用し、色域や輝度の幅をそれぞれ拡大する技術であるBT．２０２０やHDRに対応します。
　これらにより放送事業者は、映像伝送ネットワークへの投資を抑えるとともに、高画質で臨場感あふれる高精細映像を実現できます。

　２．　４K映像の超低遅延処理を実現
　新製品は、これまで培ってきた超低遅延技術を活用することにより、約９９ミリ秒という超低遅延で４K映像の圧縮・伸長処理を実現しました。また、音声データについては、低遅延圧縮を実現するMPEG−４　AAC　ELD規格（注７）に対応することで、従来製品よりも音声圧縮に割り当てるビットレートを削減し、映像圧縮により多くのビットレートを割り当てることが可能です。
　これらにより、スポーツイベントなど遠隔地からの生中継や、送られてくる映像を見ながら可動式カメラを遠隔制御する場合など、リアルタイム性が求められるシーンにおいても、高品質な映像伝送を実現します。

　３．優れた可搬性・運用性を実現
　新製品は、１Uハーフラック（幅２１０mm×奥行４００mm×高さ４４mm）という小型サイズのため、可搬性に優れます。
　また、４K映像に加え、HD／SD映像の圧縮・伸長処理も可能です。映像符号化方式として、エンコーダは「H．２６４（注８）」に対応（オプション機能）し、デコーダは「H．２６４」と「MPEG−２（注９）」にも対応します。これにより、既存システムとの互換性を確保し、併用運転が可能な効率の良い運用も実現します。
　さらに、映像や音声信号を暗号化する「スクランブル方式」や、ネットワークでの安定したデータ伝送を実現する「誤り訂正方式」に対応し、衛星やIPネットワークによる伝送が可能です。

　製品の仕様については、別紙をご参照ください。

　NECは新製品を含む最新の放送・映像ソリューションを、アメリカ・ラスベガスで開催される世界最大級の放送機器展示会「NAB　SHOW　２０１６」（会期：４／１６（土）〜２１（木）、会場：Las　Vegas　Convention　Center）にて、展示します。

　NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。

　※別紙は添付の関連資料を参照


以上


　（注１）テレビなどの映像の画質・解像度の水準を表し、画素数が概ね３，８４０×２，１６０ピクセル前後のものを指す。
　（注２）ITU−R　BT．２０２０で定義されている色域。現行地上波デジタル放送で採用されている色域よりも広い色域をカバーしている。
　（注３）High　Dynamic　Range。表示する映像の輝度（明るさ）の範囲を拡大する方式。
　（注４）インターネットのIP技術を用いて動画や音声を配信するサービス。
　（注５）NEC、チリ民放最大手テレビ局と４K地上波ライブ実験放送を実施
　　http://jpn.nec.com/press/201504/20150415_01.html
　　NEC、８K放送サービスの実現に向けて８K／６０p超高精細映像対応のH．２６５／HEVCコーデックを発売
　　http://jpn.nec.com/press/201603/20160322_01.html
　（注６）映像符号化に関する国際標準規格。ISO／IECおよびITU−Tにおいて、それぞれISO／IEC　２３００８−２　High　Efficiency　Video　Coding　（HEVC）およびITU−T　Rec．　H．２６５として、国際標準規格化済。
　（注７）ISO／IEC　１４４９６−３（MPEG−４　Audio）　AAC　ELDプロファイル。
　（注８）ISO／IECおよびITU−Tにおいて、それぞれISO／IEC１４４９６−１０およびITU−T　Rec．H．２６４として、国際標準規格化済。
　（注９）ISO／IECおよびITU−Tにおいて、それぞれISO／IEC１３８１８−２およびITU−T　Rec．H．２６２として、国際標準規格化済。


◆本件に関するお客様からのお問い合わせ先
　NEC　放送・メディア事業部
　TEL：０３−３７９８−６３６６