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中外製薬、Nemolizumabの第II相国際共同治験結果を米国皮膚科学会で報告
Nemolizumab(CIM331)の第II相国際共同治験結果を
米国皮膚科学会のLate−breaking Research Forumsで報告
−アトピー性皮膚炎患者さんにおける有効性と忍容性を確認−
中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/代表取締役会長 最高経営責任者:永山 治](以下、中外製薬)は、アトピー性皮膚炎を対象として開発中の抗IL−31 レセプターA ヒト化モノクローナル抗体nemolizumab(CIM331)の第II相国際共同治験の成績が、アメリカ・ワシントンDCにて開催中の米国皮膚科学会年次総会(The American Academy of Dermatology)において発表されたことをお知らせいたします。
発表は、3月5日(土)10:00(現地時間)からのLate−breaking Research Forumsにて行われました。
第II相国際共同治験では、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さん264名を対象に、CIM331の有効性および安全性について検討を行いました。本試験成績の解析により、12週時における有効性および忍容性が確認されました。
中外製薬取締役専務執行役員の田中 裕は、「アトピー性皮膚炎に伴うかゆみは、睡眠を妨げるなど患者さんのQOLを低下させるだけでなく、Itch−scratch cycle(かゆみとかきむしりの悪循環)による皮膚炎の悪化にもつながりうるものです。CIM331は、このItch−scratch cycleの遮断による皮膚炎の改善をコンセプトとして開発された、新しいメカニズムの新薬候補化合物です。今回CIM331の有効性と忍容性が確認され、アトピー性皮膚炎患者さんに対し、新しいコンセプトによる治療の可能性が初めて示されたことは、大変喜ばしいことだと考えています」と述べています。
【試験概要】
患者さんは、4つのCIM331群又はプラセボ群に1:1:1:1:1の比でランダムに登録されました。
・CIM331(0.1mg/kg)を4週間ごとに皮下投与
・CIM331(0.5mg/kg)を4週間ごとに皮下投与
・CIM331(2.0mg/kg)を4週間ごとに皮下投与
・CIM331(2.0mg/kg)を8週間ごとに皮下投与(参照群)
・プラセボを4週間ごとに皮下投与
【試験成績】
<有効性>
・主要評価項目である12週時のそう痒VAS変化率について、CIM331投与群でプラセボ群に対する有意な改善が認められました(いずれもp<0.01)。
そう痒VAS変化率(12週時;%)
プラセボ4週毎:−20.1
0.1mg/kg 4週毎:−41.5
0.5mg/kg 4週毎:−61.2
2.0mg/kg 4週毎:−60.5
・さらに、皮膚炎スコアであるEASI及びsIGA、睡眠の質を評価する項目として入眠潜時(覚醒状態から眠りに入るまでの所要時間)、全睡眠時間が発表されました。
<安全性>
・CIM331投与群において、忍容性が認められました。比較的多かった有害事象は、アトピー性皮膚炎、鼻咽頭炎でした。
■Late−breaking Research Forumsについて
最新の臨床・基礎研究を紹介するものであり、最新の価値ある試験結果が採択されます。新規治療、特に未承認薬あるいは未承認の適応に対する重要な試験結果が優先されます。
■Nemolizumab(CIM331)について
インターロイキン−31レセプターA(IL−31RA)を標的とした、抗IL−31レセプターAヒト化モノクローナル抗体です。IL−31は、そう痒誘発性サイトカインであり、アトピー性皮膚炎および透析患者におけるそう痒の発生に関与していることが報告されています。Nemolizumabは、IL−31とそのレセプターの結合を競合的に阻害することにより、IL−31の生物学的作用を抑制し薬効を発揮します。
■そう痒VASについて
そう痒視覚アナログ尺度の略で、そう痒の程度を10cmのスケール(0:かゆみなし、10:想像されうる最悪のかゆみ)上に線をひき、そう痒の程度を判定する評価指標です。
■EASIについて
Eczema Area and Severity Indexの略で、0−72のスコアの範囲をとり皮膚炎の重症度を表します。
■sIGAについて
static Investigator’s Global Assessmentの略で、0−5(0:なし、5:最重症)の6段階のスコアで皮膚炎の総合的な重症度を評価する尺度です。
■Itch−scratch cycleについて
皮膚にかゆみがあると、かきむしることで炎症反応が増強され、さらにかゆみの増悪をきたす悪循環のことです。Itch−scratch cycleは、皮膚炎を悪化させる増悪因子であると言われています。
以上