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塩野義製薬、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬「ナルデメジン」の良好な試験結果を公表
末梢性μオピオイド受容体拮抗薬「ナルデメジン」のオピオイド誘発性の
便秘症患者を対象とした第3相臨床試験(COMPOSE I)について
−米国疼痛医学会(AAPM2016)にて良好な試験結果を公表−
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、塩野義製薬が自社創製品として初めて日・米・欧3極同時に開発を進めている末梢性μオピオイド受容体拮抗薬「ナルデメジン(一般名、塩野義製薬 開発番号:S−297995)」の第3相臨床試験(COMPOSE I)の良好な試験結果を、米国パームスプリングスで開催された第32回米国疼痛医学会(AAPM 2016)において公表しましたので、お知らせいたします。
ナルデメジンは消化管に存在するμオピオイド受容体に結合し、オピオイドの末梢性作用に拮抗することにより消化管でのオピオイドの副作用を緩和する、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(Peripherally Acting Mu−Opioid Receptor Antagonist:PAMORA)です。塩野義製薬は今年度の目標であるナルデメジンの日米同時製造販売承認申請の実施に向け、全社を挙げて準備を進めております。
ナルデメジンの一連の第3相臨床試験(COMPOSEプログラム)のうち、1つめのグローバル試験であるCOMPOSE Iは、非がん性慢性疼痛の治療のためにオピオイド鎮痛薬を服用中で、「オピオイド誘発性の便秘症(opioid−induced constipation:OIC)」を呈する患者さまを対象に、ナルデメジンの有効性・安全性についてプラセボとの比較を行ったものです。本試験の良好な成績は、今後ナルデメジンがOICを緩和する有望な治療選択肢となり、オピオイド鎮痛薬による疼痛管理に大きく貢献する期待が高まったことを意味します。
塩野義製薬は、これまで国内で販売しているオピオイド鎮痛薬などの疼痛治療薬の適正使用の推進に向け、情報提供の充実に取り組んでまいりました。また研究開発活動においても疼痛領域を中期経営計画『SGS2020』で経営資源を集中するコア疾患領域のひとつに選択し、疼痛治療に関する諸課題を解決する革新的新薬の創製に注力しております。引き続き疼痛領域に対する取り組みを強化し、さまざまな痛みや疼痛治療薬による副作用でお困りの患者さまのQOL(quality of life)向上に貢献してまいります。
なお、公表された試験結果の概要は次の通りです。
■主要評価項目
1週間あたりの自発的排便(頓用緩下薬投与後24時間以内の排便を除く排便)回数が3回以上かつ排便回数のベースラインからの変化量が1回以上を満たす週が、治療期12週間のうち9週間、かつ最終4週間のうち3週間を占める被験者の割合(レスポンダー率)は、ナルデメジン群で47.6%とプラセボ群の34.6%を有意に上回りました(P=0.002)。
■副次評価項目および忍容性・安全性
治療期(12週間)最後の2週間における1週間あたりの残便感を伴わない自発的排便回数やいきみを伴わない自発的排便回数のベースラインからの変化量など、すべての副次的評価項目において、ナルデメジン群はプラセボ群を有意に上回りました。
ナルデメジンの忍容性は概ね良好であり、5%を超える有害事象は腹痛(ナルデメジン群6.3%に対してプラセボ群1.8%)と下痢(同6.6%、2.9%)の消化器症状のみでした。なお、ナルデメジンの投与によって、オピオイドの鎮痛効果への影響は認められませんでした。
以上
■オピオイド誘発性の便秘症(OIC)について
オピオイド鎮痛薬は脳内のオピオイド受容体に作用して強い鎮痛作用を示す一方で、腸管のμオピオイド受容体に作用することで腸の活動を低下させ、OICを引き起こします。OICは患者さまのQOLを低下させるだけではなく、オピオイド鎮痛薬治療の中断につながるなど、疼痛管理の阻害要因にもなる症状です。
■COMPOSE プログラムについて
COMPOSE プログラムは、3つの有効性試験と4つの長期安全性試験で構成されるナルデメジンのグローバル第3相臨床試験プログラムです。7つの試験は、オピオイド鎮痛薬治療により誘発される便秘症状を呈する非がん性慢性疼痛患者またはがん患者を対象に実施されました。