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帝国データバンク、旅館・ホテル経営業者の倒産動向調査の結果を発表
[特別企画 旅館・ホテル経営業者の倒産動向調査]
震災以来4年ぶりに増加に転じる
〜インバウンド需要で再生型が件数押上げ〜
■はじめに
日本政府観光局の発表によると、2015年の訪日外客数は前年比47.1%増の約1973万人で、統計開始以来最大の伸び率を記録。円安による割安感や原油安による航空運賃の低下などから、過去最高となった。一方で、施設の老朽化や過去からの過剰債務など、厳しい経営環境に身をおく旅館・ホテルも少なくない。
そうした状況を踏まえて、旅館・ホテル経営業者の倒産動向(※)について、調査・分析した。
※負債額1000万円以上、法的整理のみを対象。
<調査結果(概要)>
1. 2015年の旅館・ホテル経営業者の倒産件数は、前年比8.9%増の86件となり、東日本大震災が発生した2011年以来、4年ぶりに増加に転じた
2. 倒産態様別にみると、「特別清算」の構成比が23.3%と上昇傾向に。新会社に事業を譲渡して特別清算する“事実上の再生型”が目立った
3. 地域別に見ると、「北海道」「関東」「北陸」「中部」で倒産件数が増加した一方、「近畿」「中国」「四国」「九州」では減少した
4. 2015年の旅館・ホテル経営業者の休廃業・解散件数は、前年比14.9%増の131件となり、3年ぶりに増加した
・旅館・ホテルの倒産件数推移
*グラフ資料は添付の関連資料を参照
1. 倒産件数の推移 〜震災以降4年ぶりの増加〜
2015年の旅館・ホテル経営業者の倒産件数は、前年比8.9%増の86件となり、東日本大震災の影響から大幅に増加した2011年以来、4年ぶりに前年を上回った。
負債総額は499億8800万円で、同28.5%増と大幅に増加しているが、2006年と比べると3分の1以下の水準となっている。
*表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照
2. 業歴別倒産動向 〜半数以上が業歴「30年以上」〜
業歴別にみると、2015年は「30年以上」が構成比55.8%と最も高く、以下、「20〜30年未満」(構成比22.1%)、「5〜10年未満」(同7.0%)となった。
倒産した主な旅館・ホテル経営業者の倒産要因をみると、設備の老朽化や改修に伴う借入負担などの理由が目立っており、業歴の長い業者は設備の老朽化などから競争力が低下しているものとみられる。
*表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照
3. 倒産態様別動向 〜再生型「特別清算」が増加〜
倒産態様別にみると、2015年は「破産」が構成比67.4%と最も高かったが減少傾向、逆に「特別清算」が同23.3%と増加した。旅館・ホテル経営業者を含む全国全業種では「特別清算」の構成比は3.3%で、旅館・ホテル経営業者がいかに高いかがわかる。
過去の景気低迷による業績の悪化、設備資金などの借入負担により経営が悪化している企業が新会社を設立して事業を譲渡、解散後に特別清算するケースが目立った。ファンドなど外部資本を入れて新会社を設立する動きもあり、実質的な"再生型"の「特別清算」といえる。「民事再生」の構成比も上昇しており、インバウンド需要の高まりを背景に財務が悪化した業者が再生型の法的整理を選択するケースが増加したことが倒産件数を押し上げた。
*表資料は添付の関連資料「表資料3」を参照
4. 地域別倒産動向 〜近畿以西は倒産減少傾向〜
地域別に旅館・ホテル経営業者の倒産動向をみると、「北海道」「関東」「北陸」「中部」で倒産件数が増加した。逆に、京都や大阪など人気の観光地を抱える「近畿」をはじめ「中国」「四国」「九州」では倒産が減少した。
国・地域別にみて訪日旅行者数が多い韓国や中国、台湾、香港などでは地理的な背景もあって「中国」「四国」「九州」などの地域の人気が高い。こうした地域では航空路線の拡充やクルーズ船寄港の増加などもあり、インバウンド増加の恩恵を受けていると見られる。
県別の倒産件数では、特に北海道(4件→9件)や東京都(1件→8件)での増加が目立つ。いずれも観光地としては人気だが、外資や異業種からの進出などにより競合が激化している可能性もある。
*リリース詳細は添付の関連資料を参照