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JFEスチール、高施工性アーク溶接技術「J−STARR」がIHIMU呉工場の船体工作で採用

2011-04-15

高施工性アーク溶接技術『J−STARR』が造船分野で初採用
〜溶接施工性に優れた『J−STARR』用高強度溶接ワイヤを拡充〜



 当社が開発した厚鋼板溶接技術『J−STARR(JFE Spray Transfer Arc)』および『J−STARR』用溶接ワイヤが、このたび株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(以下IHIMU)呉工場における船体工作で採用されました。これは造船分野における『J−STARR』の初採用となります。

 既に製品化されていた『J−STARR』用高強度溶接ワイヤ「KC−500」に加え、今回「KC−550」、「KC−600」を新たに開発し、適用可能な鋼種を従来の490MPa級鋼から550MPaおよび590MPa級鋼へと拡大、各種船級協会の承認を取得しました(表1)。これにより船舶の大型化および高強度化のニーズへの対応が可能となり、IHIMU呉工場、株式会社IHIとの共同研究の結果今回の採用に至りました。

 『J−STARR』は当社のオンリーワン技術である炭酸ガス(Co2)アーク溶接(*1)技術です。これまで当社グループ会社で施工した鉄骨・橋梁工事での鋼管の円周溶接や角柱の角溶接において採用され、従来のCo2アーク溶接にはないメリットが実証されてきました。具体的な特長は以下の通りです。

 [1]溶接時の飛散物(スパッタ)低減(従来の約1/10、図1)、および凹凸の少ない安定した溶接ビード形状の実現による溶接精度の向上
 [2]溶接部の開先断面積削減による溶接ワイヤの低減および溶接時間の短縮
 [3]溶接アーク音の静粛化、および溶接ヒューム(*2)発生量の低減(いずれも従来の約1/2、図1)による溶接作業環境の改善
 [4]溶接表面の酸化物(スラグ)の剥離性向上による除去作業の低減
 [5]溶接入熱制限の大幅な緩和(約2倍)による溶接能率の向上(※490MPa級鋼のみ)

 既にIHIMU呉工場での船体工作において、大型石油タンカーのタンク底面や甲板部への適用が開始されており、今後、コンテナ船やばら積み船への採用も計画されています。

 今回の開発により、当社は高強度厚鋼板の新しい溶接技術としての用途拡大を推進し、厚鋼板の拡販を目指すとともに、今後もさらなるお客様のご要望にお応えすべく、新しい技術開発に努めてまいります。


※下記資料は、添付の関連資料を参照
 ・表1 『J−STARR』用溶接ワイヤ
 ・図1 溶接時のスパッタとヒュームの発生状況


(*1)炭酸ガス(Co2)アーク溶接:アーク溶接法の主流を占める安価・高能率溶接技術。アークと溶融金属を大気中の窒素から保護(シールド)するため、炭酸ガス(Co2)を使用する。

(*2)溶接ヒューム:溶接中のアークにより金属蒸気が発生し、大気によって冷却・酸化され、微細な多数の固体粒子(煙状)となって上昇するもの。

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炭酸ガス ビード

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