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新日鉄、コンクリート中詰め合成セグメントが大阪府寝屋川北部地下河川に本格採用

2011-04-15

コンクリート中詰め合成セグメント(HCCP(R))の適用拡大

〜共同溝に初採用、大阪府寝屋川北部地下河川に本格採用〜


 新日本製鉄株式会社(社長:宗岡正二)は、高い耐力を有し重荷重が作用するシールドトンネルの覆工に適したセグメントとして「コンクリート中詰め合成セグメント(HCCP(R))」の技術開発並びに市場開拓を推進してきましたが、国土交通省中部地方整備局愛知国道事務所が事業主管として建設を進める「平成20年度302号緑地共同溝工事」に採用されました。これまで鉄道トンネル、地下河川、道路トンネル向けに採用されてきましたが、共同溝向けに初採用となりました。
 また、このほど大阪府が進める寝屋川北部地下河川の北島調節池に採用されたHCCP(R)の坑内組立が完了し、続いて上流側の門真調節池に採用されたHCCP(R)の製造を進めている等、地下河川・鉄道・道路・共同溝等のシールド工事への適用が本格化しています。


【コンクリート中詰め合成セグメント(HCCP(R))の特徴】
 コンクリート中詰め合成セグメント(HCCP(R):Hybrid & Composite Concrete Packed Segment)は、鋼殻内部に配した特殊縦リブと鉄筋を介して鋼殻と中詰めコンクリートを一体化した鋼・コンクリート合成構造セグメントで、特殊リブの形状と鉄筋の配置や本数を変えることにより必要耐力に応じた自由度の高い設計が可能です。強度別に2種類のタイプ(−NS:Normal Strength、−SS:Super Strength)をラインアップしており、トンネル使用条件に最適な構造を選択することができます。HCCP−NSは、縦リブを「く」の字形状に曲げ加工して鋼殻と中詰めコンクリートとを機械的に噛み合わせて一体構造とした一般重荷重部対応のセグメントです。また、HCCP−SSは、縦リブに開孔を設けその孔に鉄筋を挿通して合成構造体とした超重荷重対応のセグメントです。【図1:HCCPセグメントの概要図】
 セグメント厚さが同じRCセグメントと曲げ耐力を比較すると、NSタイプは1.5〜2倍、SSタイプは2〜3倍の耐力を有します。この高い耐力を活かした薄壁化により、トンネル径の縮小や掘削土量の抑制が可能です。このような特徴から、標準的なコンクリート系セグメントでは対応が困難な重荷重区間や近接施工区間等、高い耐力を必要とし、かつ施工空間に制約がある条件下で、特に効果を発揮します。また、地震時の激しい地盤変形に対しても、合成構造セグメントが耐力を低下させることなく変形追随する耐震性に優れた製品です。さらに、鋼殻で5 面を覆う構造になっていることから、施工時衝撃荷重によるコンクリートの割れ・欠けを防止でき、大深度高水圧に対しても高い止水性能を確保でき、高い耐久性を有するトンネル覆工を提供します。


【平成20年度302号緑地共同溝の概要】
 中部地方整備局愛知国道事務所では、名古屋環状2号線の道路整備と併せて、道路下にライフライン(電気・ガス・電話・上下水道など)を収容する共同溝の整備を進めています。緑地共同溝は、延長約950mをシールド工法で構築する外径5950mmのトンネル共同溝です。シールド工事全区間のセグメント厚さを250mmに抑制することにより、総セグメント費、掘削費の削減を図るべく、名古屋第二環状自動車道高架基礎杭直下および新幹線横断部の重荷重部202mに高耐力で薄壁化が可能なHCCP−SSセグメントが採用されました。2月25日に掘進を開始し、現在、HCCPを用いて順調に掘進中です。【写真1:緑地共同溝のHCCP−SSセグメント】

 <緑地共同溝に採用されたHCCP の概要>
  ・工事名:平成20年度302号緑地共同溝工事
  ・施主:国土交通省 中部地方整備局 愛知国道事務所
  ・施工:飛島建設株式会社
  ・ト ンネル延長:約950mうちHCCP採用区間202m
  ・セグメント仕様:HCCP−SSセグメント 外径5,950×桁高250×幅1,200(mm)
  ・掘進施工期間:平成23年2月〜8月


【寝屋川北部地下河川北島調節池および門真調節池の概要】
 寝屋川流域の地域住民の暮らしを洪水から守るため、平成2年に「寝屋川流域整備計画」が、平成14年には「淀川水系寝屋川ブロック河川整備計画」が策定され、大阪府は、これら寝屋川流域総合治水対策の一環として、寝屋川北部地下河川整備を推進しています。
 寝屋川北部地下河川は、上流側から門真調節池、北島調節池が並び、これらシールドトンネルは、土被り30〜40mの軟弱地盤中を通過することから大きな土水圧が作用し、また洪水時にはトンネル内側から大きな内水圧が作用し、さらに生駒断層の影響を受けることから高い耐震性が要求されるという特徴があり、超重荷重用のHCCP−SSセグメントの高い強度性能・止水性能・耐震性能が評価され、採用されました。北島調節池では平成22年3月にセグメントの坑内組立が完了し、門真調節池は平成23年度の発進に向けてセグメント製作中です。完成後には、下流側で供用中の古川調節池(*1)も含めて、延長約6.6kmの洪水対策シールドトンネルが合成構造セグメント覆工で連結される予定です。【写真2:北島調節池の坑内写真】

 <北島調節池に採用されたHCCPの概要>
  ・工事名:寝屋川北部地下河川 北島調節池築造工事
  ・施主:大阪府寝屋川水系改修工営所
  ・施工:ロッテ・志眞・太田特定共同企業体
  ・トンネル延長:1,664m(全区間HCCPが採用)
  ・セグメント仕様:HCCP−SSセグメント 外径5,900×桁高250×幅1,200(mm)
  ・掘進施工期間:平成21年4月〜平成22年3月

 <門真調節池に採用されたHCCPの概要>
  ・工事名:寝屋川北部地下河川 門真調節池築造工事
  ・施主:大阪府寝屋川水系改修工営所
  ・施工:オリエンタル白石・みらい・久本特定共同企業体
  ・トンネル延長:2,859m(全区間HCCPが採用)
  ・セグメント仕様:HCCP−SSセグメント 外径5,900×桁高250×幅1,200(mm)
  ・掘進施工期間:13か月間

*1:平成14年に供用開始した外径8.24m、延長2kmの嵌合方式合成セグメント(NMセグメント)覆工のシールドトンネル。


NETIS登録と今後の展開】
 HCCP(R)は地下河川・雨水幹線のみならず、鉄道・道路・共同溝と、種々のトンネル用途に対し実績(施工済み:3件、製造中:3件)が増えています。また、このほど、本セグメントの採用実績を背景に国土交通省の進めるNETIS(新技術情報提供システム)に登録されました。
 最近のシールドトンネルは、掘進長距離化や設計施工条件の多様化に伴って、重荷重部・特殊部が増加する傾向にあり、多種類のセグメントを適材適所に配置することによりトータル工事費を縮減できる機会が、益々増えてくるものと推測されます。
 当社は、このたびのHCCP(R)のNETIS登録を1つの契機に、多種多様な荷重条件に対し多種類のセグメントを組合せて構造の最適化を図る等の技術提案を行いながら、適用分野および需要の拡大を一層推進していきます。


※以下の資料は、添付の関連資料を参照
 図1 HCCPセグメントの概要図
 写真1 緑地共同溝のHCCP−SSセグメント製品
 写真2 北島調節池の坑内写真


以 上

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