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ノークリサーチ、2016年中堅・中小企業のIT活用における注目ポイントと展望を発表
2016年中堅・中小企業のIT活用における注目ポイントと展望(業務システム編)
株式会社ノークリサーチ(〒120−0034 東京都足立区千住1−4−1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03−5244−6691 URL:http://www.norkresearch.co.jp/)は業務システムに関する2016年の中堅・中小企業におけるIT活用の注目ポイントと展望を発表した。本リリースは2015年の調査結果を振り返り、そこから読み取れる2016年の年頭所感をまとめたものである。
<業務システム導入の提案タイミングは業種毎の制度や動向を踏まえることが大切>
■卸売/小売/サービス:軽減税率対応だけでなく売上分析などの攻めのIT活用提案も重要
■製造:「原産地規則」「繊維ビジョン」「地理的表示保護制度」はIT活用提案の新たな契機
■流通業(運輸業)、建設業:人材不足が大きな課題、初期投資を抑えたIT活用提案が必要
■ワークスタイル改革は「情報や空間のシェア」から「ヒトが担う作業の自動化」へと進化する
■卸売/小売/サービス:軽減税率対応だけでなく売上分析などの攻めのIT活用提案も重要
本リリースでは業種別に見た時の業務システムに関する注目ポイントと展望について述べる。以下のグラフは卸売/小売/サービス業の中堅・中小企業(年商500億円未満)のうち「2015年10月以降のIT投資額が前四半期と比べて減少する」と回答した企業にその理由を尋ねた結果のうち、回答割合の高い項目をプロットしたものだ。
「売上が低迷し、IT投資費用を捻出できない」や「景気が本当に回復するかをもう少し見極めたい」が比較的多く挙げられる一方、「製造設備や店舗などIT以外の投資を優先したい」の回答割合は低い。したがって、売上や景気への懸念からIT以外を含む投資全般に慎重になっている状況がうかがえる。2017年4月からの消費税率改正と軽減税率導入はこうした傾向をさらに強める可能性がある。卸売/小売/サービス業にとっては増税が消費に与える影響に加え、仕入/売上における税額算出への対応が少なからぬ負担となってくる。2017年4月の時点では税率区分毎に金額を明記しておくことで現行の算出方法を概ね適用できる「区分記載請求書等保存方式」が採用される。だが、2021年4月以降は「適格請求書等保存方式」が導入される。この方式では仕入税額の算出対象として、登録番号を交付された課税事業者が発行する適格請求書を用いなければならない。つまり課税対象でない事業者からの仕入れに対し、税額を上乗せして算出することを厳密に禁止する方向となる。さらにいずれの方式においても課税売上高などに応じた一定期間の特例が設けられており、実業務の上では数年に渡って仕入/売上の税額算出の方法が細かく変化していくことになる。
上記に述べた税額算出方式の変化は卸売/小売/サービス業に限ったことではないが、税率の異なる商材やサービスを取り扱うことになるこれらの業種においては特に大きな影響を及ぼす要素となる。中小企業向け支援として軽減税率対策予算が組まれていることもあり、ITソリューションを提供する側には軽減税率導入を商機と捉える見方もある。だが、数年間に及ぶ業務負担増に絡めた形で販売管理システム更新の提案を行うことはユーザ企業のIT活用意欲を減退させる可能性もある。消費税率改正に伴う「不可避のIT投資」と売上分析などによる「攻めのIT投資」を明確に切り分け、業績改善につながる販売管理システム提案にも並行して取り組むことが重要と考えられる。
※グラフ資料・リリース詳細は添付の関連資料を参照