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大塚製薬、抗精神病薬「エビリファイ」の小児期の自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果を追加申請

2015-12-11

大塚製薬 抗精神病薬「エビリファイ
「小児期の自閉性障害に伴う興奮性」の効能を追加するため国内販売承認申請


 当社の100%子会社である大塚製薬株式会社が、2015年12月7日、抗精神病薬「エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)」の小児期の自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果追加申請、および「エビリファイ錠1mg」の剤形追加申請を国内にて行いましたのでお知らせします。
 なお、当社の2015年度の連結業績予想には織込み済みであり、業績予想に変更はありません。

 ・「エビリファイ」は、2006年より国内で使用されている抗精神病薬で、小児期の自閉症の興奮性に対する治療薬としての承認申請となる
 ・自閉症は10,000人に対して2〜20人の有病率で、日本の患者数は約21,000人と報告されている。その中の2割にみられる興奮性に対する治療薬がほとんどなく、安全に使用できる薬が望まれている
 ・「エビリファイ」が米国で2009年に自閉性障害に伴う興奮性の承認を受けたことから、日本でも、2011年に自閉症に関わる日本の3学会より医療上の必要性の高い薬として開発が要望されていた

 大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」)は、抗精神病薬「エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)」の小児期の自閉性障害に伴う興奮性に対する効能・効果追加申請、および「エビリファイ錠1mg」の剤形追加申請を国内にて行いました。

 「エビリファイ(以下、本剤)」は、大塚製薬が創製し開発したドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を有する非定型抗精神病薬(※)です。本剤はドパミン活性が過剰である場合はその状態を抑制し、逆にドパミン活性が低下している場合にはその活性を増加させるという作用を持っています。
 自閉性障害の原因は脳の機能障害に関係があると言われています。また、病気に伴う行動障害にはいくつかの神経伝達物質が関与しており、興奮性の行動障害にはドパミン神経系の関与があることがわかっています(*1)。抗ドパミン作用を持つ抗精神病薬が興奮性に対し有効であることが観察されており(*2)、本剤の作用機序から興奮性に対する効果が期待できます。
 大塚製薬は、米国で2009年11月に「自閉性障害に伴う興奮性:Irritability associated with autistic disorder」の効能・効果で小児患者さん(6〜17歳)に対して本剤の承認を取得しました。日本では、2011年に日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会、日本小児神経学会の3学会より医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に自閉性障害に伴う興奮性に対する開発要望が出され、2012年には厚生労働省より開発要請の通知を受けました。
 これを受けて承認申請に関する日本での臨床試験は、自閉性障害と診断され行動障害(かんしゃく、攻撃性、自傷行為、またはこれらの複合行為)のある興奮性を伴う自閉性障害の患者さん(6〜17歳)を対象に実施され、本剤の有効性及び安全性が証明されました。

 大塚製薬は、現在、中枢領域、がん領域、循環器領域などに注力し薬剤ポートフォリオを拡充しています。このたびは精神神経領域において新しい治療薬の研究開発を展開していく中で、今後も未だ治療の課題を抱えた患者さんや家族のために貢献できる治療の価値の最大化を目指して活動していきます。


【参考資料】
・自閉症について
 自閉性障害は発達障害の1つとして位置づけられており、社会性の発達の障害、コミュニケーションの障害、活動と興味の偏りといった症状が3歳未満に現れる先天性の疾患です(*3)。また、これらの主な症状に加えて、攻撃性や自傷行為などの興奮性、常同行動、強迫行動など様々な行動障害を伴うことが知られています。なかでも中等度から重度の興奮性は患者の20%程度にみられるとの報告があり、患者さん本人及び家族に重大な影響をもたらす場合もあります(*4)。有病率は10,000人に対して2〜20人であり(*5)、日本での患者数は21,000人と報告されています(*6)。
 自閉性障害の原因は特定されておらず主な症状に対する薬物治療は存在しませんが、興奮性に対しては世界中で抗ドパミン作用を主体とした抗精神病薬が経験的に頻用されています。米国では自閉性障害に伴う興奮性に対して2006年に初めて非定型抗精神病薬(※)が承認され、2009年には「エビリファイ」が同適応症の承認を取得しています。一方、日本では1982年に定型抗精神病薬(※)が自閉性障害の異常行動などに対して承認されましたが、副作用が多いことから小児の患者さんに使用するうえで安全性の問題を抱えており、定型抗精神病薬に比べ忍容性の高い非定型抗精神病薬の早期の適応取得が望まれています。

 ※最近新しく開発された新規抗精神病薬は、錐体外路症状(手が震える、体が硬くなる等)の副作用が少ないという特徴があります。新規抗精神病薬は従来型抗精神病薬と異なっている点が多いので、新規抗精神病薬を非定型抗精神病薬、従来型精神病薬を定型抗精神病薬と呼ぶこともあります。
 (引用:すまいるナビゲーターhttp://www.smilenavigator.jp/tougou/medicine/explanation/exp02_03.html


 *1 森健治.自閉症スペクトラムへの対応−児の将来を念頭に医療的対応.脳と発達.2010;42:199−203.(資料番号5.4−03)
 *2 鈴木勝昭,杉山登志郎自閉症スペクトラムと脳.BRAIN MEDICAL.2012;24(4):309−16.(資料番号5.4−07)
 *3 Lord C,Bailey A.自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders).In:Rutter M,Taylor E,編.長尾圭造,宮本信也監訳.日本小児精神医学研究会訳.児童青年精神医学.初版.東京:明石書店;2007.p.739−69.(資料番号5.4−01)
 *4 岡田俊.児童・青年期精神疾患患者におけるaripiprazoleの有効性と安全性.臨床精神薬理.2014;17:1035−55.(資料番号5.4−02)
 *5 高橋三郎,大野裕,染矢俊幸訳.DSM−IV−TR精神疾患の診断・統計マニュアル新訂版.東京:医学書院;2004.p.82−7.(資料番号5.4−04)
 *6 厚生労働省大臣官房統計情報部.平成23年患者調査(傷病分類編).2011.傷病別年次推移表;p.40.(資料番号5.4−05)


・「エビリファイ」の日本での承認状況
 「エビリファイ」は、日本では経口剤として2006年1月に統合失調症の効能で承認を取得し、追加効能として双極性障害における躁症状の改善が2012年1月に、うつ病・うつ状態が2013年6月に承認を取得しています。更に、2015年5月から4週間に1回投与の持続性水懸筋注製剤を統合失調症の効能・効果で販売しています。


以上



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