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タカラバイオ、たけだ診療所が行うがん免疫細胞療法に細胞加工技術支援を開始
たけだ診療所が行うがん免疫細胞療法に対して
当社が細胞加工技術支援を開始
タカラバイオ株式会社と武田病院グループのたけだ診療所(京都市)とは、たけだ診療所が行うがん免疫細胞療法に対して、当社が細胞加工技術支援を行うための契約を締結しました。本年4月14日よりたけだ診療所にて行われるがん免疫細胞療法に対して、当社が細胞加工技術支援サービスを提供します。
がん治療の現状は、外科手術、放射線治療、化学療法などが併用されていますが、一般的にはがん患者のQOL(生活の質)が大きく損なわれることが多いと考えられています。この問題を解決するために、副作用の少ない、がん免疫細胞療法が世界的に広まりつつあります。当社は、活性化リンパ球療法のための細胞加工技術やレトロネクチン(R)拡大培養法の技術開発を行ってきました。レトロネクチン(R)拡大培養法では、効率よくリンパ球の拡大培養(細胞を増やす)を行うことができるだけでなく、その増殖した細胞中にはナイーブT細胞が多く含まれているという特長があります。
当社と京都府公立大学法人京都府立医科大学 吉川敏一学長・消化器内科 古倉聡准教授のグループとは、レトロネクチン(R)拡大培養法を用いたがん免疫細胞療法である「レトロネクチン(R)誘導Tリンパ球療法」の臨床研究を2010年春に終了しています。
当社がレトロネクチン(R)誘導Tリンパ球療法の細胞加工技術支援を行うのはたけだ診療所で2施設目となります。当社は、京都府立医科大学消化器内科と共同で、レトロネクチン(R)誘導Tリンパ球療法のエビデンス強化のための臨床研究を引き続き実施しつつ、医療機関への技術支援サービスを行ってまいります。
【武田病院グループの概要】
理事長:武田 隆久
概要:京都市内を中心に10病院や多数の介護保険施設を運営
ホームページ: http://www.takedahp.or.jp/
【たけだ診療所の概要】
所在地:京都市下京区木津屋橋通新町西入東塩小路町606−3−2
三旺京都駅前ビル1階
電話番号:075−351−8282
院長:管理者 武田厚子
概要:平成9年よりがん免疫治療に取り組み、本年4月に現地に移転
ホームページ: http://www.takedahp.or.jp/GROUP/MEDICAL/CLI_MENEKI/index.html
<参考資料>
【語句説明】
◇がん免疫細胞療法
がん免疫細胞療法は、患者自身のリンパ球を、自身のがん細胞を攻撃できるように体外で活性化し、その細胞数を増やしてから、患者の体内に再び戻し、がん細胞を破壊に導くというものです。外科手術、放射線治療、化学療法などと比較して、一般的に副作用が少ないと言われています。
◇活性化リンパ球療法
がん免疫細胞療法の中の一つです。採血した患者自身のリンパ球を、体外でインターロイキン2及び抗CD3モノクローナル抗体を用いて活性化し、その数を増やした後に、患者に輸注するものです。
◇レトロネクチン(R)
レトロネクチン(R)は、当社が開発したヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質です。レトロネクチン(R)を用いたレトロウイルスベクターによる遺伝子導入法は、レトロネクチン法として知られており、レトロウイルスベクターによる遺伝子治療の臨床研究のスタンダードとなっています。さらに、当社はレトロネクチン(R)の新たな機能として、リンパ球の培養を増強する効果を発見し、レトロネクチン(R)の臨床応用を進めています。
◇ナイーブT細胞
特異的な抗原により刺激を受け活性化されたことがない未分化T細胞で、血液中を循環し、2次リンパ組織において抗原提示細胞により抗原の提示を受け、細胞傷害性T細胞やヘルパーT細胞などに分化する能力を有しているとされています。