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ルネサス、車載コンピューティング・プラットフォーム「R−Car H3」を発売

2015-12-08

自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォーム第3世代R−Carの第1弾製品「R−Car H3」を発売
〜コンピューティング性能の向上と自動車用機能安全規格に対応し、さらに進化するR−Car〜


 ルネサスエレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤隆雄、以下ルネサス)は、このたび車載情報システムや、安全運転支援システムに幅広く適用できる新たなソリューションとして、第3世代R−Carの第1弾SoC(System−On−Chip:システムLSI)「R−Car H3」を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始します。

 「R−Car H3」は、自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして利用できるよう、従来の「R−CarH2」を陵駕するコンピューティング性能を実現しました。今回新たに、安全運転支援システムに向けて、車載カメラなど各種センサから入力される大量の情報を、リアルタイムかつ正確に処理を行うコンピューティング(以下コグニティブ・コンピューティング)性能を強化したことにより、ユーザは障害物の検知やドライバ状態の認識、さらには危険予測や危険回避判断のような複雑な処理を実現することが可能になります。さらに、このような高度なアプリケーションによる安全運転支援システムの実用化を加速させるため、「R−Car H3」は自動車用機能安全規格ISO26262(ASIL−B)に対応しました。

 また、車載情報システムにおいても、スマートフォンやクラウドサービスなど様々なモノやサービスとの連携が必要となり、システム外部から入力される情報量が増加しています。そのため、車載情報システムでは、これら大量の情報をリアルタイムにかつ正確に処理し、ドライバに的確に通知するコンピューティング(以下HMI(注1)コンピューティング)性能が要求されます。「R−Car H3」は、このHMIコンピューティング性能を従来の「R−Car H2」からさらに強化することにより、ユーザはより高度なアプリケーションや、リッチなHMIを実現することが可能になります。
 このように、「R−Car H3」はコグニティブ・コンピューティングと、HMIコンピューティングの能力を従来の製品から大幅に向上しており、車載情報システムに加え、安全運転支援システムにも利用できる、自動運転時代に向けた車載コンピューティング・プラットフォームです。

 新製品の量産は、2018年3月から開始し、2019年3月には月産10万個を計画しています。

 新ソリューションの主な特長は以下の通りです。


(1)自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして、幅広いアプリケーションに適用可能
 自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして利用できるよう、従来製品「R−Car H2」から大幅にコンピューティング性能を向上。ARM社の64ビットアーキテクチャCPUコア「ARM(R)Cortex(R)−A57/A53コア」を採用し、40,000DMIPS(Dhrystone Million Per Second)(注2)以上の処理性能を実現。また、ドライバにとって必要な情報を的確なタイミングで通知するため、グラフィクス表現力も強化し、3Dグラフィクスコアにイマジネーションテクノロジーズ社の「PowerVR GX6650」を採用し、「R−Car H2」と比べて約3倍のシェーダー演算(注3)性能を実現。さらに、認識処理に最適な構造を持つルネサス独自の並列プログラマブルコア「IMP−X5」を搭載し、従来の「IMP−X4」と比較して4倍の認識処理性能を実現。
 「R−Car H3」は、車載向けSoCとして世界で初めて16nmプロセスを採用し、このような高性能化を実現するとともに、自動車用機能安全規格ISO26262(ASIL−B)に対応することで、車載情報システムだけでなく、安全運転支援システム等の、幅広いアプリケーションに向けた車載コンピューティング・プラットフォームとして利用が可能。


(2)豊富な車載情報システムの実績に基づき、システムレベルの性能も向上
 ルネサスは車載情報システム向けアプリケーションプロセッサで世界No.1シェア(注4)の実績を持っており、この実績から得た経験とノウハウを活かして、新製品「R−Car H3」は車載システムとして確実に動作するシステムレベルの性能も向上。特に、SoC内部のバスアーキテクチャの最適化と、DDRメモリとのバンド幅を向上し、従来製品「R−Car H2」と比べて4倍のメモリバンド幅を実現したことで、複数のアプリケーションを確実に複合動作させることが可能。また、「R−Car H2」と比べて2倍の動画処理性能を実現したルネサス独自の動画処理コアにより、動画コンテンツの高解像度化や、複数ディスプレイでの同時動画再生の要求に対応することが可能。さらに、車両の常時クラウド接続が普及するに伴い増大すると予測される外部からのアタックから車両を保護するため、「R−Car H3」ではセキュリティ機能を強化し、堅牢性を向上。このように、「R−Car H3」はシステムレベルの性能向上に加えて、今後重要となる動画処理性能やセキュリティ機能の向上も実現。これによりユーザは、将来の市場ニーズに応えることができると共に、システムレベルの性能を向上した「R−Car H3」によって、より複雑化するシステムでも安心して利用が可能。


(3)外部メモリを搭載したSiPモジュールも用意したことにより、ユーザの設計工数を削減
 「R−Car H3」は、高速化する外部メモリ、特にDDRメモリを既に実装したSiPモジュールも用意。SoCとDDRメモリの接続スピードの高速化、また接続信号数の増加に伴い、接続に関する設計難易度が高まっているため、設計工数がユーザの負担として大きな課題の一つ。そこで、SoCとDDRメモリを接続したモジュールを開発、提供することにより、ユーザの設計工数の負担を軽減。本モジュールにはSoCとDDRメモリに加え、初期ブートに必要となるシリアルフラッシュメモリも搭載しているため、ブートからDDRメモリ動作までの一連の動作に関する設計工数を削減することが可能。これにより、ユーザは「R−Car H3」を使用するシステムの開発工数と期間の削減が可能。

 なお「R−Car H3」は、第2世代R−Carとしてすでに量産中の「R−Car H2」、「R−CarM2」、「R−Car E2」と高いソフトウェア互換性を持つだけでなく、今後発表される第3世代R−Carの後継品とのスケーラビリティ(拡張性)があり、ハイエンドシステムだけでなく、ミドルレンジ、エントリーレンジの開発効率化に貢献します。
さらにルネサスは、ユーザに向けたソリューションの提供を加速するために、R−Carコンソーシアムにご加入いただいている170社以上のパートナ企業と連携し、車載情報システムや、安全運転支援システムのソリューションをタイムリーに提供します。


○新製品に対するパートナ各社のコメント
 ARM社CPUグループジェネラルマネージャのジェームス・マクニヴン氏は、次のように述べています。「R−Car H3は、コネクテッドカー技術に不可欠な車両周辺の状況把握、高い電力効率と機能安全対応を備えています。このSoCには、ARM big.LITTLE構成のARM Cortex−A57とCortex−A53 コアと高性能ARM Cortex−R7リアルタイムプロセッサが搭載されています。これによりルネサスは最先端のビジョン認識や検知の実現だけではなく、安全性の維持・確保が要求される最新の車載情報機器において、高度な電力マネジメントかつ高い堅牢性を持つシステムを提供することが可能となります。」

 イマジネーションテクノロジーズ社エグゼクティブ・バイス・プレジデントのトニー・キング=スミス氏は、次のように述べています。「イマジネーション社はR−CarH3とそれに搭載される非常に高性能なPowerVR GX6650グラフィックス・コアの紹介に立ち会うことができ、とても喜ばしく思います。GX6650コアは非常に高いグラフィックスパフォーマンスと未来のコクピット体験をもたらす上に、広範囲にわたって適用可能なGPGPU(General−Purpose Computing on Graphics Processing units)機能を提供しています。」

 BlackBerryの子会社でQNXソフトウェアシステムズ社シニア・バイス・プレジデントでヘッドのジョン・ウォール氏は、次のように述べています。「私たちは、ルネサスのパートナとして新しいSoCのR−Car H3に対してQNX(R)ソフトウェアサポートを提供することを光栄に思います。この協業を通して、ルネサスのR−Car H3の性能とQNX OS技術の確固たる信頼性とスケーラビリティにより、次世代の車載情報システムやADASシステムの提供を加速させることができます。」

 GreenHills Software社アドバンスドプロダクトのバイス・プレジデント、ティム・リード氏は、次のように述べています。「次世代車載エレクトロニクスでは、セキュリティとセーフティを最優先に設計される必要があります。Green Hills Softwareの実績のあるリアルタイムOSであるINTEGRITY(R)と、Secure VirtualizationソリューションのMultivisorを、安全で高信頼な技術をもつR−Carを組み合わせて提供することにより、自動車のOEMメーカやTier 1メーカはこの設計目標の達成を確かなものとすることが出来ます。」


新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

 ・別紙・参考画像は添付の関連資料を参照


以上


 (注1)Human Machine Interfaceの略で、人間と機械の間で情報をやりとりするためのインタフェース
 (注2)DMIPS(Dhrystone Million Per Second)とは、Dhrystoneベンチマークプログラムを実行して算出した、コンピュータの性能指標の一つ。
 (注3)シェーダー演算とは、座標計算や色計算などグラフィクス描画に必要な演算。
 (注4)Strategy Analytics社調べ、2014年実績、金額ベース

 *ARM、Cortexは、ARM Limitedの登録商標または商標です。
 *PowerVRは、Imagination Technologies Limitedの登録商標または商標です。
 *QNXおよびBlackBerryは、BlackBerry Limitedの商標であり、特定の地域で登録および/または使用され、また、QNX Software Systems Limitedの許諾のもと使用されます。
 *Green Hills SoftwareおよびINTEGRITYは、米国、およびその他の国におけるGreen Hills Software,Inc.の商標または登録商標です。
 *本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する登録証用または商標です。



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