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ヤクルト、「エルプラット」の胃癌術後補助化学療法に対する効能・効果追加の承認取得
抗悪性腫瘍剤「エルプラット」
胃癌における術後補助化学療法に対する効能・効果の追加に係る承認取得について
株式会社ヤクルト本社(代表取締役社長 根岸 孝成)は、白金錯体系抗悪性腫瘍剤オキサリプラチン−販売名「エルプラット(R)点滴静注液 50mg」、「エルプラット(R)点滴静注液 100mg」、および「エルプラット(R)点滴静注液 200mg」(以下、「エルプラット」)について、胃癌の術後補助化学療法に対する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項の一部変更承認を本日取得しましたので、お知らせします。なお、効能・効果は2015年3月に承認された「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」と本承認内容を合わせ「胃癌」となりました。
今回の承認は、胃癌の術後補助化学療法として抗悪性腫瘍剤カペシタビンと「エルプラット」の併用療法の有用性を検証するために海外で実施された第III相試験(CLASSIC試験)および当社と中外製薬株式会社(代表取締役会長 最高経営責任者 永山 治)が共同で実施した国内第II相試験の成績等に基づいています。
胃癌は、日本では最も患者数の多いがんであり、2011年の年間新規罹患患者数として、132,033人(※1)が推計されています。
当社は、「エルプラット」の適正使用の推進に真摯に取り組むとともに、今後とも患者さんおよび医療従事者に新たな治療選択肢を提供できるよう努めていきます。
※1 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
1.「エルプラット」について
「エルプラット」は、当社が1997年にDebiopharm International社(スイス)から日本における開発・販売権を取得した白金錯体系抗悪性腫瘍剤です。「エルプラット」は、2005年3月に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で承認され、同年4月より販売を開始しました。また、2009年8月に「結腸癌における術後補助化学療法」の効能・効果が承認されました。
さらに、2009年9月には「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する用法・用量の追加、2011年11月に「結腸癌における術後補助化学療法」に対する用法・用量の追加が承認されました。その後、2013年12月に「治癒切除不能な膵癌」の効能・効果、2015年3月に「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」の効能・効果ならびに用法・用量の追加承認も取得しています。
2.カペシタビンについて
カペシタビンは、日本ロシュ株式会社(現、中外製薬株式会社)で創製され、海外では1998年に初めて米国、スイス、カナダで、2001年に欧州で承認され、これまでに世界100カ国以上で承認されている抗悪性腫瘍剤です(販売名:「ゼローダ」)。
ゼローダは、国内でも、2003年に「手術不能又は再発乳癌」、2007年に「結腸癌における術後補助化学療法」、2009年に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」、および2011年に「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として承認されています。
3.CLASSIC試験について(※2)
CLASSIC試験は、胃癌の術後補助化学療法としてカペシタビンと「エルプラット」の併用療法の有用性を検証するために韓国、中国および台湾で実施されたオープンラベル無作為化比較第III相試験です。主要評価項目の3年無病生存率は、併用群で74%、手術単独群で59%であり、併用群において有意に優れた有効性が確認されております。また、5年全生存率は併用群で78%、手術単独群で69%であり、有意に併用群が優れていました。
※2 Lancet 2012;379:315−21,Lancet Oncology 2014;15:1389−96
4.国内第II相試験について(※3)
国内第II相試験では、カペシタビンと「エルプラット」の併用療法についてDose Intensity(実際に投与された各薬剤の累積投与量/休薬・減量を実施せずに8サイクル完遂した場合の累積計画投与量)を主要評価項目として検討を行いました。その結果、Dose Intensityの平均値はカペシタビンで67.2%、「エルプラット」で73.4%であり、プロトコールで事前に規定した閾値を両剤とも上回ったことから、日本人における忍容性が確認されました。
※3 第87回日本胃癌学会総会 W1−3
以上