帝国データバンク、関東圏の金融３グループの取引企業実態調査結果を発表

特別企画：関東圏　金融３グループの取引企業実態調査
常陽・足利銀グループ、北関東に広域基盤
〜３グループ間で取引先に特色〜


■はじめに
　２０１５年１１月２日、茨城県水戸市に本拠地を置く常陽銀行と、栃木県宇都宮市に本拠地を置く足利銀行（足利HD）が、２０１６年１０月をメドとした経営統合の基本合意を締結したと発表した。近年、関東地域ではコンコルディア・フィナンシャルグループ（FG）（横浜銀行・東日本銀行、２０１６年４月発足予定）や、東京TYフィナンシャルグループ（FG）（東京都民銀行・八千代銀行、新銀行東京が２０１６年４月に統合予定）といった、金融再編の動きが加速している。これで、東京都内、神奈川県、茨城県、栃木県での地銀再編が行われることとなり、残る関東の各県などでは、水面下で金融機関同士のせめぎあいが活発化しそうだ。
　帝国データバンクは、企業概要ファイル「COSMOS２」（１４６万社収録）の中から、常陽・足利、コンコルディアFG、東京TYFGに属する銀行をメーン行あるいはサブ行としている企業を抽出し、その実態を比較・分析した。

　※本調査はCOSMOS２収録データに基づくもので、各金融機関が実際に取引している実数とは異なる


■調査結果（要旨）
　１．常陽・足利と取引する企業は４万７９７７社、コンコルディアFGは４万１３３７社となり常陽・足利が約６０００社上回っている。東京TYFGは２万４８５７社と他グループの約半数
　２．関東１都６県別にみると、常陽・足利が北関東および「福島県」で一定の基盤を形成。コンコルディアFG、東京TYFGの取引先は自行の拠点地域にとどまる
　３．年商規模、業歴別にみると、常陽・足利の取引先は中小零細、業歴の長い企業が多く、東京TYFGは大規模企業に手薄感

　＊グラフ資料は添付の関連資料を参照


１．取引社数
　常陽銀行および足利銀行と取引のある企業は、全国に４万７９７７社あることが判明した。うち、常陽銀行をメーンバンクとする企業は１万５９４０社、足利銀行をメーンバンクとする企業は１万３５３７社あり、両行と取引関係にある企業は２２２４社。
　コンコルディアFG（横浜銀行・東日本）と取引のある企業は、全国に４万１３３７社あることが判明。両行と取引関係にある企業は８３８社。東日本銀行は、同行をメーンバンクとしている企業の割合が３１．８％と比較的低位となっている。
　東京TYFG（東京都民銀行・八千代銀行・新銀行東京）と取引のある企業は、全国に２万４８５７社あることが判明。他の２グループと比べ、取引社数は半数程度にとどまる。この中で複数行と取引がある企業は１１３８社。
　３グループを比較すると、預金残高および貸付残高ともに最も大きいのはコンコルディアFGとなるが、取引企業数で見ると常陽・足利が６０００社ほど多く、最多となっている。また、各銀行をメーンバンクとしている企業の割合（メーンバンク率）をみると、「常陽・足利」が５８．７％で最も高い。地域密着などで、より関係性の強い貸付先が多いとみられる。一方で、「東京TYFG」は３８．７％と最も低く、全体的にサブバンクとしての取引が多い。


２．地域別
　関東地域の１都６県別にみると、常陽・足利はそれぞれの銀行が本拠地を置く「茨城県」（２万６６社）と「栃木県」（１万５４２３社）で多くの取引先を有するほか、隣県である「埼玉県」および「群馬県」に３２００社超の取引先を有し、北関東を中心に統合の高い相互補完効果が期待できる。
　預金残高および貸付残高ともに最大のコンコルディアFGは、横浜銀行の基盤である「神奈川県」に２万６６８１社の取引先を有するほか、東日本銀行の拠点である「東京都」にも１万１６２５社。また、同行の創業地でもある茨城県にも１３０６社の取引先を有している。
　東京TYFGは、拠点となる「東京都」に１万８５０５社の取引先を有し、３グループでは最多。「神奈川県」にも５２５０社の取引先を有するが、北関東を中心に他県への展開は僅少にとどまっている。
　関東圏外の隣県企業との取引状況を見ると、３グループとも押し並べて展開が少ないものの、常陽・足利が「福島県」で２４３６社の取引先を有し突出している。おもに常陽銀行の取引先企業となるが、潤沢な資本を背景に、今後関東圏外への攻勢が強まる可能性がある。


　＊リリース詳細は添付の関連資料を参照