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富士経済、調味料など加工食品の国内市場に関する調査結果を発表
調味料、調味食品、農・畜・水産加工品、飲料、嗜好品など13カテゴリー208品目
―2010年の加工食品市場(2)―
―2010年見込―
★オリーブオイルが健康志向やメニューの広がりで前年比7.1%増の302億円
★紅茶(リキッドタイプ)が猛暑と相次ぐヒット商品の登場で前年比7.3%増の2,247億円
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、2010年8月から29カテゴリー390品目の加工食品の国内市場(輸出は含まず)について、6回に分け調査を行っている。その第4回から第6回目までの調査結果を報告書「2011年 食品マーケティング便覧 No.4、No.5、No.6」にまとめた。
報告書No.4(第4回目報告)では、調味料47品目、調味食品21品目。報告書No.5(第5回目報告)では、農産加工品22品目、畜産加工品12品目、水産加工品18品目、乳油製品14品目。報告書No.6(第6回目報告)では、果実飲料11品目、炭酸飲料8品目、乳性飲料13品目、嗜好飲料12品目、健康飲料9品目、その他飲料5品目、嗜好品16品目の国内市場動向を収載した。
<注目市場>
1.調味料
オリーブオイルが健康意識の高まりから順調に伸びている。スパイス類も洋風スパイスが家庭への浸透が進んでいる他、話題性の高いラー油の原料としてにんにくや唐辛子の需要が拡大している。また、つゆの素(白だしを含む)やぽん酢が汎用性の高さや近年の内食化を追い風に伸びている。更に、チーズ鍋やカルボナーラ鍋といった洋風の鍋つゆが若いファミリー層など新たな需要を取り込み伸びている。
※添付の関連資料を参照
オリーブオイルは2000年代前半、イタリアンブームの終焉と健康油の台頭によりマイナス成長となっていたが、値上げや特売の抑制などにより2006年に出荷額がプラスに転じ、2007年にはオリーブに含まれるオレイン酸の整腸作用が料理番組等で取り上げられたことや、他の食用油が高騰したことなどから出荷量もプラスに転じた。以降は健康性がマスコミ等で取り上げられ、内食化、参入メーカーの啓発活動によるオリーブオイル使用のメニューの広がり、健康油の失速がプラス要素となって需要が拡大している。2010年は2009年ほどの勢いはないものの、市販用で強いJ−オイルミルズ、日清オイリオグループの2強が実績増を続けており、市場は前年比7.1%増の302億円になったと見込まれる。
スパイス類は、2008年後半からの景気の低迷により価格競争が強まったが、一方で内食化が強まり市販用で洋風スパイスやこしょうなどの需要が拡大している。2010年は節約志向の高まりから、わさびやからしで廉価品に需要がシフトする傾向が見られるものの、洋風スパイスの続伸や、話題性の高いラー油の原料であるにんにくや唐辛子の需要が拡大しており、市場は前年比3.7%増の942億円になったと見込まれる。
2.調味食品
「簡便」「即食」のレトルトカレーが内食化の追い風を受け好調を維持している。弁当需要の高まりからご飯に混ぜ込むタイプのふりかけが好調であるが、お茶漬けや炒飯の素などは、夏場の酷暑で需要が縮小し前年割れになったと見込まれる。洋風ソースでは、ハンバーグソースや鶏肉煮込みソースなど、より専門性・簡便性に優れた商品が多く登場し、好調である。
<ふりかけ>
2009年:494億円
前年比:102.1%
2010年見込:501億円
前年比:101.4%
2008年は景気悪化による内食化に加えパンの値上げにより米飯回帰が起り、需要が拡大した。2009年はパンの値下げで一部がパンへ戻ったが、内食化が強まり、弁当需要も拡大するなど、前年に比べて伸び率は鈍化したもののプラス成長となった。2010年は酷暑の影響から前半苦戦を強いられたメーカーもあったが、弁当需要の拡大が続き市場は微増になったと見込まれる。特に参入各社からの投入が相次いだ混ぜ込みタイプが伸びており、市場拡大に貢献している。
3.農産加工品
漬物は、キムチが好調であるが、他が苦戦しておりマイナスが続いている。納豆は熾烈な価格競争の中で中堅企業が撤退を表明し、上位企業への集約が進んでいる。また冷凍野菜は、生鮮野菜高騰の割安感から、一部で需要が拡大している。
<キムチ>
2009年:712億円
前年比:103.3%
2010年見込:735億円
前年比:103.2%
縮小が続いていたキムチ市場は、中国産食材に対する不信感から中国産の低迷が続いているが、韓国産が徐々に回復してきており、国産も内食化などで需要が拡大したため2007年以降プラス成長に転じている。2009年は、トップブランドの東海漬物の「こくうま」が続伸し、美山が夏に発売した大手流通グループのPB商品やピックルスコーポレーションが10月に発売した「ご飯がススム こうちゃんのキムチ!!」がヒットしたことで市場拡大した。但し、競合の激化により低価格化が進んだため、販売量の伸ほど販売額の伸びは大きくない。2010年の市場は、韓国の天候不順によって輸入キムチが苦戦したものの、大手流通グループPB商品、「ご飯がススム キムチ」(相田幸二氏との契約切れのため秋に名称変更)の実績が通年で寄与し、美山が秋に発売した「川越達也イチオシキムチ」がヒットしていることなどから引き続き拡大したと見込まれる。
4.農産加工品
ハム類やソーセージ類はPB商品の台頭と価格競争の激化により低価格化が進み、ソーセージ類は内食化や弁当需要の増加で出荷量・額ともに伸びたが、ハム類は出荷量が増えたにも拘らず、出荷額はマイナスになったと見込まれる。食肉加工品缶詰は、ランチョンミートの「SPAM」が伸びている。
<チキン加工品>
2009年:1,420億円
前年比:101.1%
2010年見込:1,455億円
前年比:102.5%
ここでは冷凍やチルドのからあげ、チキンナゲット、ローストチキン、フライドチキンなど、鶏肉を使った加工品を対象としているが、焼き鳥などの串物やチキンカツなどのフライ類は含まない。
2009年は減少が続いていた冷凍からあげが内食化や弁当需要の拡大で回復に向かったほか、チキンナゲットが畜肉メーカーの販売強化や弁当需要の拡大で伸びた。2010年は引き続き冷凍からあげが回復に向かっているほか、チキンナゲットも前年より伸びている。
5.乳油製品
業務・加工用チーズは、2009年に輸入、国産ともに単価が下落した。2010年には内食、中食需要の拡大を受けCVSデリカ向けのスライスや製菓・製パン向けのソフトなどが伸びた。市販用チーズは、2009年に大手各社の主力商品が軒並み好調であった。2010年には大手2社が値下げを実施したことで、全体的に単価が下落傾向にある。生クリームは、CVS洋生菓子の需要拡大により伸びているが、コーヒー用クリーム類は縮小が続いており、消費者の健康志向に合わせた低脂肪タイプで市場の活性化を狙っている。
<生クリーム>
2009年:1,091億円
前年比:102.3%
2010年見込:1,117億円
前年比:102.4%
生クリーム市場は、2005年に微減となったが、2006年以降は微増で推移している。2010年は猛暑の影響もあったが、洋菓子需要が堅調であり前年比2.4%増になったと見込まれる。CVSなどではロールケーキやチルドデザートでは生クリームをふんだんに使用した商品が数多くヒットした。また、デパ地下や一般のスイーツ店、製パンや製菓店でも生クリームを使用しコクや美味しさをアピールした商品が好調である。一方で、コーヒー用途や家庭でのホイップ用途は低迷を続けている。
6.嗜好飲料
嗜好飲料は猛暑の恩恵を受け、無糖茶系飲料が止渇需要を取り込んで市場の縮小幅が小さくなったほか、リキッドコーヒー、紅茶、麦茶、その他ティードリンクはプラス成長になったと見込まれる。
<紅茶(リキッドタイプ)>
2009年:2,095億円
前年比:101.6%
2010年見込:2,247億円
前年比:107.3%
2010年は猛暑の恩恵を受けたほか、キリンビバレッジが紅茶では珍しい190g缶を採用した「午後の紅茶 エスプレッソティー」を2月に発売し、缶コーヒーユーザーの需要も取り込んでヒットした。また、伊藤園が2009年に発売した「TEAS’ TEA」の続伸、アサヒ飲料が5月に新発売した「ティオ」がヒットするなど、市場は前年比7.3%増になったと見込まれる。
7.嗜好品
嗜好品は、インスタントコーヒー、インスタントティー、緑茶ティーバッグ、ココア、麦茶など、消費者の節約志向を追い風に伸びた品目が数多く見られる。特にプレミックスインスタントコーヒーは夏場需要を新たに掘り起こし、インスタントティーは上位企業による商品へのてこ入れが奏功して伸びたと見込まれる。
以 上
<調査対象>
*添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献、社内データベースを併用
<調査期間>
2010年10月〜2011年2月
資料タイトル :「2011年 食品マーケティング便覧 No.4、No.5、No.6」
体 裁 :No.4 A4判 263頁、No.5 A4判 295頁、No.6 A4判 355頁
価 格 :各95,000円 (税込み99,750円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第一事業部
TEL:03−3664−5831 FAX:03−3661−9778
発 行 所 :株式会社 富士経済
〒103−0001 東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
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