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東京商工リサーチ、2015年度上半期「チャイナリスク」関連倒産調査結果(速報値)を発表

2015-10-07

[特別企画]
チャイナリスク」関連倒産調査(速報値)
〜2015年度上半期は40件発生、前年同期比で約1.3倍のペース〜


 世界第2位の経済大国に成長した中国。潜在的な市場が魅力だが、景気減速や商習慣の違いなど「チャイナリスク」が高まっている。2015年度上半期(4−9月)に「チャイナリスク」を要因とする企業倒産は40件(前年同期30件)発生し、前年同期に比べ1.3倍増だった。
 また、倒産には集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は9件(同0件)。両者を合算したチャイナリスク関連破綻は上半期49件(同30件)と大幅に増加した。
 倒産企業は卸売業が25件と全体の62.5%を占めた。また、負債額別では10億円以上が10件(同1件)と急増、チャイナリスクは中堅規模に影響が広がっていることがわかった。


<「チャイナリスク」関連の集計基準>
 「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の6項目のどれかに該当するものを集計している。
  1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
  2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
  3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
  4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
  5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
  6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
  ※「チャイナリスク]関連の経営破綻は、下記の「倒産の定義」のいずれかに該当するケースを「倒産」として集計。「事業停止」や「破産申請の準備中」などは、倒産とは区別し「実質破綻」としている。


<倒産の定義>(対象:負債額1,000万円以上の法人および個人企業)
 A)会社更生法民事再生法、破産、特別清算を裁判所に申請した企業(法的倒産)
 B)手形決済などで6カ月間に2回の不渡りを出し、銀行取引停止処分を受けた企業(私的倒産)
 C)企業が経営破綻により事業継続を断念したが、法的手続きを採らず弁護士などに事後を一任して私的整理
  (内整理)を明らかにした企業(私的倒産)
 ※2015年9月は確定前のため速報値。


●年度上半期「チャイナリスク」関連倒産4月以降に急増
 2015年上半期にチャイナリスクが影響した倒産は40件(前年同期30件)発生した。2015年1−3月は9件にとどまり、4月以降の急増が目立つ。経営破綻(倒産+実質破綻)は49件(前年同期30件)で、企業経営に深刻な影響を及ぼしつつある。

 *参考資料は添付の関連資料「参考資料1」を参照


●倒産要因別:コスト高が大幅に増加
 最多はコスト高が30件で、全体の75.0%を占めた。中国市場は安価な製造コストと豊富な労働力が魅力だったが、コスト高の倒産が前年同期の17件から倍増した。労使問題、売掛金回収難、中国景気減速は各1件の増加。前年同期に6件発生した反日問題の発生はなかった。

 *参考資料は添付の関連資料「参考資料2」を参照


【事例】
○コスト高
 岩崎(◇)(株)(TSR企業コード:290013828、台東区、皮革小物製造販売)
 長野県飯田市のほか、ベトナムに製造子会社、中国に合弁企業の製造工場を開設し生産体制を確立、ピークの2007年11月期は売上高24億6,602万円をあげていた。しかし、リーマン・ショック後の消費不振に加え、中国の現地法人への工場の投資負担が重荷となって財務内容が弱体化。さらに原皮価格の高騰や海外工場の人件費上昇で収益環境が悪化し、2015年4月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 ◇会社名の正式表記は添付の関連資料を参照


○品質問題
 エルイーエル(株)(TSR企業コード:292926464、練馬区、特殊照明機器開発・販売)
 製造を中国の協力会社に外注し、テレビ局などに取引基盤を築いていた。多くの特許を持ち技術力や製造ノウハウへの評価は高く、2003年5月期は売上高2億1,500万円をあげていた。
 しかし、放送業界の設備投資の一巡で受注が伸び悩んでいたところに、2014年5月期に中国の外注工場に発注した製品トラブルで、納期遅延なども発生。資金繰りに支障をきたし、2015年7月に再度の資金ショートを引き起こした。


○売掛金回収難
 江守グループホールディングス(株)(TSR企業コード:600000702、福井市、持株会社)
 2014年4月に江守グループホールディングス(株)へ改称して持株会社へ移行。グループの戦略的機能を担い、傘下に国内外24社(うち中国5社)の事業会社を持っていた。中国向けは順調に売上を伸ばしたが、中国の金融引き締め等の影響から売掛金の回収難が発生。大幅な債務超過に陥り、2015年4月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。


○中国景気減速
 (株)マルヒロ(TSR企業コード:882105205、北九州市、鉄・非鉄金属などの加工処理)
 スクラップ相場や景気動向に左右されやすく、2012年9月期の売上高は9億円を割り込み、ピーク時の2008年9月期から売上高は半減していた。エンドユーザーの一部が中国に所在していた関係で、中国の景気減速の影響を受けて輸出向けスクラップ販売が急減。2015年9月に事業を停止し、破産準備に入った(実質破綻)。

 第一中央汽船(株)(TSR企業コード:291084648、中央区、海運業)
 リーマン・ショック以降、海運市況の悪化で船腹過剰に陥り需給不均衡から業績が悪化。
 原油価格の高騰もあり2009年3月期以降、2011年3月期を除き赤字決算が続いていた。さらに中国の景気減速に伴うばら積み貨物の需要減少で運賃と傭船料の逆ザヤが拡大し、2015年9月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。


 *リリース詳細は添付の関連資料を参照



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