ＱＵＩＣＫと住友信託銀行、「債券執行評価サービス」の共同開発と商品取り扱い開始

「債券執行評価サービス」の共同開発並びに商品取扱開始について



　株式会社ＱＵＩＣＫ（代表取締役社長　鎌田真一、以下ＱＵＩＣＫ）と住友信託銀行株式会社（取締役社長　常陰均、以下住友信託銀行）は、日本国債取引の合理的な分析基準について、共同で研究を行いました。この研究結果を受け、ＱＵＩＣＫでは、運用機関に向けて初となる「債券執行評価サービス（ＴＣＡＳ債券（＊））」を３月２８日より新たに開始することになりましたのでお知らせいたします。
　日本国内における国債マーケットは、運用対象としては、最も中心的な存在となっており、各運用機関は、複数の証券会社と引合いなどを行い、最も有利な価格で取引する（最良執行）よう求められています。その一方で、債券は上場株式と違い、相対で取引されるため、約定時点の公示価格が存在しません。そこで、住友信託銀行とＱＵＩＣＫは、共同で国債取引の市場価格を客観的に推計し、取引結果を評価する合理的基準を構築することに成功しました。
　ＱＵＩＣＫは、この研究結果をもとに、国債取引の適正なコストを客観的に評価する「債券執行評価サービス」の商品化を行いました。これは、取引結果を合理的尺度で分析し、その分析結果を月次レポート形式で提供する、運用機関向けのサービスです。ＱＵＩＣＫでは、このサービスによって、より精緻な検証が可能となり、最良執行を追求する運用機関が行う、債券取引業務の質的向上を支援できると考えています。
　同サービスを導入する住友信託銀行では、この取引結果の検証により、銘柄選定や取引方法など更なる執行技術の向上を図り、計画・実行・評価・改善といった運用の一連のプロセスの強化を行います。これにより、運用パフォーマンスへの貢献、引いては顧客利益の最大化に繋がることが期待されます。
　今後、ＱＵＩＣＫと住友信託銀行は、この評価基準が債券取引におけるベンチマークとなり、資産運用業務全般の高度化につながればと期待しております。



以上



（参考資料）

　ＱＵＩＣＫが提供する「債券執行評価サービス（ＴＣＡＳ債券）」の概要は、以下となります。

　（＊）：ＴＣＡＳは株式会社ＱＵＩＣＫの登録商標です


　１．評価の対象取引
　　公社債の相対取引で多くを占める日本国債（＊１）取引が対象となります。

　　（＊１）：変動利付国債、物価連動国債を除く利付国債で、残存年数が１年以上３０年以下の銘柄

　２．評価方法／評価レポート
　　「執行コスト」を取引日前日の引値と約定価格との差と定義します。また、約定時点の債券マーケット指標（長期国債先物、または円金利Ｓｗａｐ）から、取引ごとに理論価格（ＱＵＩＣＫ理論値（＊２））を推計します。そして、ＱＵＩＣＫ理論値を用いて、投資判断から注文を出すまでに生じる「タイミングコスト」（前日引値とＱＵＩＣＫ理論値の差）と、取引価格に含まれる証券会社へのマージンなどの「引合いコスト」（取引価格とＱＵＩＣＫ理論値）に分解（＊３）する分析手法を採用しました。
　　この分析手法を用いて、運用機関での部門別、ファンド別、担当者別、あるいは取引相手別といった様々な集計が可能であり、その結果を月次のレポート形式（＊４）でご利用頂けます。

　　（＊２）：デュアルモデル値（債券先物推定モデル値、Ｓｗａｐ連動モデル値）最適選択型。
　　（＊３）：執行コストと分解のイメージ（※添付の関連資料「添付資料」を参照）
　　（＊４）：月次のレポート形式のイメージ（※添付の関連資料「添付資料」を参照）

　３．サービス利用形態
　　取引データをＱＵＩＣＫに送り、月次で評価レポートを受け取る「ポスティング形態」と、取引の守秘性に鑑み、取引データを外部に出すことなくユーザ内で分析、評価レポートが完結できる「ユーザサイト形態（＊５）」から二者択一で選択して頂きます。

　　（＊５）：ユーザサイト形態の利用イメージ（※添付の関連資料「添付資料」を参照）