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中部電力と東京ガスなど、「ハイブリッド式過熱水蒸気発生器」を共同開発
電気&ガスのハイブリッド式過熱水蒸気発生器
“ハイブリッドSHS”の開発について
〜消費電力の削減と精密な温度制御を両立〜
中部電力株式会社(代表取締役社長:勝野哲、所在地:愛知県名古屋市)、東京ガス株式会社(代表取締役社長:広瀬道明、所在地:東京都港区)および直本工業株式会社(代表取締役社長:直本行雄、所在地:大阪府大阪市、以下「直本工業」)は、工場の生産ラインにおいて加熱や乾燥等に用いられる、電気とガス双方の特長を活かした「ハイブリッド式過熱水蒸気発生器」(商品名:ハイブリッドSHS)を共同で開発しました。
本開発品は、食品工場や自動車工場等を対象に、オーブン等の工業用の加熱装置に組み込み、2015年11月から直本工業より発売します。
過熱水蒸気とは、100℃以上の高温の水蒸気のことで、加熱調理時に無酸素状態で食品のうま味を閉じ込めることによる風味向上効果や、金属や樹脂・セラミック等の非金属を短時間で加熱できるといった特長があり、工場や家庭のオーブン等で利用が拡大されています。
工業用途で用いる過熱水蒸気発生器は主に電気式とガス燃焼式があり、電気式の場合は精密な温度制御が可能ですが、消費電力が大きくなることが課題となります。一方で、ガス燃焼式の場合はランニングコストが小さくなりますが、温度制御性が課題となります。
本開発品は、電気の優れた温度制御性とガス燃焼の高効率な加熱の特長を活かし、ハイブリッド方式とすることにより、従来は困難であった消費電力の抑制と精密な温度制御の両立を実現しました。
<「電気&ガス・ハイブリッド式過熱水蒸気発生器」の主な特長>
(1)消費電力の削減
ガスバーナと電気ヒータを併用することにより、消費電力を抑えることができます。
(2)優れた温度制御性
電気とガスの負荷分担の割合を最適化することにより、消費電力を抑えつつ、設定温度(最高温度400℃)に対し±5℃の十分な精度の温度制御が可能となります。
(3)省エネルギー性の向上
一次エネルギー消費量が電気式の過熱水蒸気発生器に比べて約35%低減できます。
(4)コンパクト化
コンパクトな設計により、オーブンや乾燥装置等への組み込みが容易になります。
■電気&ガスのハイブリッド式過熱水蒸気発生器の開発概要
1 開発体制
中部電力株式会社
所在地:愛知県名古屋市東区東新町1 代表取締役社長:勝野 哲
東京ガス株式会社
所在地:東京都港区1−5−20 代表取締役社長:広瀬 道明
直本工業株式会社
所在地:大阪府大阪市天王寺区石ケ辻町19番8号 代表取締役社長:直本 行雄
2 本開発品の仕様
※図1・表1は添付の関連資料を参照
3 開発のポイント
(1)開発技術
[1]ガスユニットの開発
・メタルニットバーナ(*)を採用し、効率的に燃焼排ガスと飽和水蒸気(**)が熱交換できるようバーナ形状を新たに考案。
・ガスユニット内の蒸気配管を二重らせん構造にすることで、伝熱面積を確保しつつコンパクト化を実現。
[2]制御システムの開発
・低負荷運転時は電気ヒータで単独運転し、中負荷・高負荷運転時はガスバーナと電気ヒータを併用で運転する等、設定温度に合わせ最適な運転割合で高精度温度制御と消費電力削減を両立する制御を実現。
※図2は添付の関連資料を参照
*燃焼面が耐熱金属繊維の織布で構成される高効率な表面燃焼ガスバーナ。被加熱物に応じて最適な形状に加工でき、また、火炎長が短いため燃焼室をコンパクトにできます。
**水の沸騰により発生する蒸気のうち、気体(水蒸気)と液体(水)が共存している状態の蒸気。一定の圧力のもとでは、飽和温度(沸点)と等しくなり、大気圧下では100℃の蒸気となります。
(2)産業用の利用用途の一例
[1]食品の加工 … 食品のうま味を閉じ込めることで、風味が格段に向上します。
[2]金属の加熱 … 従来式に比べて、加熱時間を大幅に短縮できます。
※図3・4は添付の関連資料を参照
以上