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東京商工リサーチ、8月の「円安」関連倒産の調査結果(速報値)を発表
〔特別企画〕
【8月速報値】
「円安」関連倒産(8月31日現在)
〜8月は今年最少の5件〜
2015年の円相場は、6月2日に東京外国為替市場で2002年12月以来12年半ぶりに一時、1ドル=125円台をつけて円安が進行した。その後は一服をみせていたが、8月になり中国経済の減速懸念から金融市場が動揺し、8月24日のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、1ドル=116円台まで円高に急騰した。
こうしたなか8月の「円安」関連倒産は、速報値ながら5件(前年同月22件)にとどまった。中国経済の減速を背景に、国際商品市場での供給過剰懸念からニューヨーク原油先物市場で原油価格が約6年半ぶりに、1バレル40ドルを割り込んだ。また、鋼材価格の下落に歯止めがかからないなど、円安が必ずしもコスト高に直結しない面もみられ、経営環境は変動している。
■8月の倒産事例
服飾資材販売のワイケイノーション(株)(TSR企業コード:400893371、愛知県)は、各種服の裏地や肩パット、ボタン、ファスナーなど様々な服飾資材の卸売を手がけ、大手商社を主体に販路を確保していた。しかし、同業他社との競合が厳しかったところに、円安による仕入価格の上昇から収益が圧迫され、支えきれなくなり破産を申請した。
メンズカジュアルウェア販売の(株)アップロード(TSR企業コード:575482320、大阪府)は、業績が伸び悩んでいたところに、中国から商品を仕入れていたため急激な円安により利益が圧迫されていた。経費削減を図り業績回復を目指していたが資金繰り悪化から破産を申請した。
■2015年1−8月の産業別、卸売業が5割増
2015年1−8月の「円安」関連倒産は109件(速報値・前年同期比41.7%減、前年同期187件)にとどまっている。産業別では、運輸業が前年同期比83.5%減(73→12件)と減少が目立ったのに対して、卸売業は同50.0%増(34→51件)と増加が目立った。今後も輸入原材料、商品などを扱う企業の動向が注目される。
※表資料・グラフ資料は添付の関連資料を参照