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電気化学工業、独バイオ医薬品研究開発企業「アイコン社」を買収
独バイオ医薬品研究開発企業 Icon Genetics GmbHの
株式取得(子会社化)に関するお知らせ
電気化学工業株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:吉高紳介(◇)、以下「デンカ」)は、バイオ医薬品研究開発企業であるIcon Genetics GmbH(本社:ドイツ ザクセン=アンハルト州ハレ市、CEO:Prof.Dr.Yuri Gleba、以下「アイコン社」)の全株式を2段階にわたって取得すること(以下「本買収」)について、アイコン社の親会社である Nomad Bioscience GmbH(本社:ドイツミュンヘン市、CEO:Prof.Dr.Yuri Gleba、以下「ノマッド社」)と合意し、平成27年8月6日付でノマッド社と株式譲渡契約を締結しましたので、お知らせいたします。
◇社長名の正式表記は添付の関連資料を参照
1.本買収の目的
デンカグループは、健康・医療分野において、独自の培養法により製造する高分子ヒアルロン酸製剤の事業と、主要グループ会社のデンカ生研株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:前田哲郎、以下「デンカ生研」)が開発、製造する各種ワクチンと検査試薬の事業を手掛けております。デンカが取り組む経営計画「Denka100」の新成長戦略では、「成長ドライバーへの資源集中と次世代製品開発」として、健康・医療分野への経営資源の集中を掲げており、そのなかでもデンカ生研の手掛けるワクチン、検査試薬の事業展開は、最重要テーマとなっております。
アイコン社が保有する技術プラットフォーム、「magnICON(R)」は、植物における遺伝子組換え技術を用いて、抗体やワクチン抗原等の高分子タンパク質を産生する技術で、微生物培養や昆虫・哺乳動物の細胞培養に比べて、高分子タンパク質を、安全に、低コストかつ短時間で、大量生産することを可能とする画期的なプラットフォームであり、第三者の専門的機関からも、同様な植物由来の技術に比べ、収率や生産コストの点で優位性があるとの評価を受けております。
デンカグループは本買収によって、これまで手掛けていないノロウィルスワクチン等の新規ワクチン開発に取り組むとともに、デンカ生研が手掛ける季節性インフルエンザワクチンに関しても、従来法に代わる新たな生産技術、さらには検査試薬に使われる抗体製造技術を獲得できます。デンカグループは既存の製品・事業を強化するとともに、次世代、次々世代製品の研究開発を加速させて、次の100年に向けた事業拡大に取り組んでまいります。
2.本買収の概要
デンカは、ノマッド社よりアイコン社の株式のうち51%を取得し(以下「第1段階」)、アイコン社を子会社としたのち、第1段階の実行から2年後に、残りの49%の株式を取得し、デンカの完全子会社とします。ノマッド社との合意に基づき、本買収後、アイコン社はワクチン分野及び診断薬分野(以下「対象分野」)における研究開発を行うこととなります。
なお、第1段階の実行は、本買収に必要な手続き等を経た後、平成27年8月20日を予定しております。
(1)対象会社と対象分野:
アイコン社、(ワクチン分野及び診断薬分野)
上記以外の分野での事業化権利はノマッド社へ移管
(2)研究開発拠点:ドイツ連邦共和国 ザクセン=アンハルト州 ハレ市
(3)従業員数:14名(平成27年7月末現在)
(4)買収金額:最大で総額75百万ユーロ(約100億円135円/ユーロ)
(注)買収金額は現時点での想定額を記載しており、株式譲渡契約に定める価格調整により変動することが見込まれます。
3.アイコン社の概要
(1)名称:Icon Genetics GmbH
(2)所在地:ドイツ ザクセン=アンハルト州ハレ市(登記はミュンヘン市)
(3)代表者の役職・氏名:CEO,Prof.Dr.Yuri Gleba
(4)事業内容:バイオ医薬品の研究開発、研究受託、サービスの提供
(5)資本金:25千ユーロ
(6)設立年:1999年
(7)大株主及び持株比率:ノマッド社 100%
(8)デンカとアイコン社との間の関係:
デンカは、平成27年3月にCRP抗体及びノロウィルス抗原の開発、製造、使用、販売の専用実施権をアイコン社より取得
(9)総資産:約995千ユーロ(2014年度)
(10)売上高:約1,915千ユーロ(2014年度)
4.ノマッド社の概要
(1)名称:Nomad Bioscience GmbH
(2)所在地:ドイツ バイエルン州ミュンヘン市
(3)代表者の役職・氏名:CEO,Prof.Dr.Yuri Gleba
(4)事業内容:エネルギー、食品安全、バイオ材料、農業形質に関する研究開発、サービスの提供
(5)設立年:2008年
(6)デンカとノマッド社との間の関係:
デンカとノマッド社との間には、特筆すべき関係はありません
5.今後の見通し
本買収に伴うデンカグループの平成28年3月期の連結業績に与える影響は軽微であり、現時点では当該期の連結業績予想の変更はありません。
6.ご参考
[1]magnICON(R)とは
magnICON(R)は植物を利用した遺伝子組換え技術の一つです。
目的の遺伝子を運ぶ役割のベクター(※)に、タンパクを産生する遺伝子を挿入し、アグロバクテリウム(植物に感染するバクテリア)に導入します。このアグロバクテリウムを培養して増殖させ、栽培した植物をアグロバクテリウム溶液に浸漬・感染させた後、栽培して目的のタンパク質を産生します。magnICON(R)では、タンパクを産生する遺伝子をベクターに取り入れることでタンパク質の産生能力を向上しています。
※ベクター:発現したい目的タンパク質の遺伝子を宿主細胞に運ぶことができる入れ物のこと
*参考資料は添付の関連資料を参照
[2]遺伝子組換えとは
遺伝子組換えとは、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることをいいます。
[3]安全性について
従来のタンパク質製造には、動物や動物細胞、昆虫細胞を使用しています。また、製造工程でも動物由来成分を含む原料を用いることが多くありました。
第三者の専門的機関の調査によれば、植物由来のタンパク質は動物由来のそれに比べ、ヒトに対し影響を与える病原体の混入に関して、安全性が極めて高いことが確認されております。
以上