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東芝、ハードディスクの高密度化を実現する多層磁気記録に関する新技術を実証

2015-07-11

ハードディスクの高密度化を実現する多層磁気記録に関する新技術を実証


■概要
 当社は、マイクロ波磁界を用いることによって、多層の磁性体の磁化の向きを、層を選択して反転させる新技術を実証しました。今回開発した磁化反転技術は、ハードディスクの大容量化を実現するために記録層を多層化(3次元構造)した高記録密度の磁気記録への応用が期待されます。
なお、この研究開発は、国立行政法人 科学技術振興機構(JST)における研究成果展開事業「戦略的イノベーション創出推進プログラム(S−イノベ)」の一環としておこなわれ、2015年7月8日にスペインバルセロナで開催される国際学会(ICM2015)において発表されます。


■開発の背景
 インターネットの普及に伴い、世界で作り出され飛び交う情報は、日々飛躍的に増え続けています。それらの情報を記録し蓄積する基盤である大容量ストレージ技術の分野において、磁気記録技術は大量の情報を安価に蓄積する技術として主流を担っています。
磁気記録では、これまで記録ビット(磁石)を微細化することで単位面積あたりに蓄積できる情報量を高めてきました。しかし、微細化による高密度化では記録密度の技術的な限界に達しつつあり、新たな高密度化技術が求められています。一方、固体ストレージメモリであるNANDにおいては、メモリセルの微細化に加えて多層化して高密度化する技術の開発が行われています。磁気記録においても記録層を多層化する技術が模索されてきましたが、微細化による高密度化の限界を超えた10テラビット/インチ2の記録密度に達することができる記録原理の技術がこれまでは存在していませんでした。


■本技術の特徴
 当社は、次世代技術として開発されているマイクロ波磁界を印加する記録方式を用いて、多層の磁性体の磁化の向きを、層を選択して反転させる新技術を実証しました。

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料(1)」を参照


 異なる強磁性共鳴周波数を有する磁性体層を積層し、強磁性共鳴周波数に応じた周波数のマイクロ波磁界を印加すると、特定の磁性体層のみに磁化振動を励起することができます。磁化振動が励起された層は、磁化反転に必要なエネルギーが低減されるため(マイクロ波アシスト効果)、層を選択した磁化反転が可能になります。この技術はこれまでシミュレーションで予測されてきましたが、今回の実験で初めて実証することができました。今回、当社が実証した磁化反転技術は、磁気記録に応用できる基本的な技術であり、記録層を多層化(3次元構造)したハードディスクや磁気メモリ、磁気テープなど高密度磁気記録製品への応用が期待されます。

 ※参考資料は添付の関連資料「参考資料(2)」を参照


■今後の展望
 今後は微細な記録ビットを書き換えるため、局所的なマイクロ波磁界印加が可能なスピントルク発振素子の開発を進め、スピントルク発振素子を搭載可能な磁気ヘッドの開発を行っていきます。また、多層記録に最適化した記録媒体の開発を行い、2025年頃を目標に3次元磁気記録の実現を目指します。





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