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大同特殊鋼、日産自からスリムバッチ真空浸炭炉「シンクロサーモ」を受注
日産自動車(株)から真空浸炭炉「シンクロサーモ(R)」を受注
〜「低歪み化」、「リードタイム短縮」を実現〜
大同特殊鋼株式会社(社長:嶋尾 正)は、日産自動車株式会社からスリムバッチ(*1)真空浸炭(*2)炉「シンクロサーモ(R)」を受注しました。シンクロサーモ(R)はギヤなどの浸炭処理品を1枚トレイの上に平面的に並べ、1バッチを構成することで、加熱時間の短縮、優れた均熱性が得られると同時に浸炭終了後の均一な高圧ガス冷却により、従来なし得なかった浸炭処理品の低歪み(*3)化を実現します。受注した設備は栃木工場(栃木県河内郡上三川町)に2016年春頃の納入を予定しています。シンクロサーモ(R)は設備規模が小さく段階投資に適することから、今後新しい真空浸炭工程の形態として導入が進むものと予想しています。
※シンクロサーモ(R)/SyncroTherm(R)は当社およびドイツALD社の登録商標です。
*1 スリムバッチ 1バッチの構成はギヤ個数で10〜30個、重量で最大50kg。当社モジュールサーモ比約1/10。
*2 真空浸炭 真空中で鋼材表面に炭素を浸透させ部品の表面に炭素濃度の高い層を形成してから、急速冷却(焼入れ)することで耐摩耗性、耐疲労性、硬さを向上させる熱処理。従来工法のガス浸炭炉と比較すると、不純物が?なく、高温かつ爆発性の潜在的リスクがほとんどなく取扱性に優れる。
*3 歪み(ひずみ) 炭素鋼や肌焼鋼等を加熱後に急速冷却する際、冷却速度の不均一により生ずる変形。
1.背景
シンクロサーモ(R)の特徴である、小ロット生産、低歪み処理は、日産自動車株式会社から高い評価をいただいています。今回、栃木工場の設備更新にあたり、量産設備の受注に至ったものです。
2.シンクロサーモ(R)の主な特徴
1バッチの処理品積載量を?量化することでリードタイム短縮を実現し、高圧ガス冷却の採用により低歪み化と同時に後洗浄の省略や冷却油槽用ピットが不要となる等、多くのメリットを提供します。さらに、モジュールサーモ(*4)で好評のレシピ(熱処理条件)計算ソフト「浸炭くん」などのスキルフリー化機能を継承し、作業者の負担を大幅に削減しました。また、当社滝春テクノセンター(名古屋市南区)に設置した実証炉(実機と同一仕様)で事前に条件出しを行なうことができるため、量産設備のスムーズな立上げに貢献します。
*4 モジュールサーモ 当社が2004年に販売を開始した真空浸炭炉。
3.今後の展開
当社は、大容量タイプのモジュールサーモに、スリムバッチタイプのシンクロサーモ(R)を加えた、真空浸炭炉の充実したラインアップで、今後、日本国内で大量に発生するガス浸炭炉の更新需要に応えていきます。加えて、当社鋼材部門と連携し、シンクロサーモ(R)を活用した材料開発やプロセス開発を通した新たなソリューションを提案してまいります。
以上
【参考資料】
1.シンクロサーモ(R)
2.1バッチ(浸炭処理品を1枚トレイ上に平面的に並べたもの)
◆添付の関連資料を参照