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東京商工リサーチ、2015年1−4月の「老人福祉・介護事業」の倒産状況を発表

2015-06-02

[特別企画]
2015年1−4月「老人福祉・介護事業」の倒産状況
〜前年同期より6割増、2000年以降では過去最多ペース〜


 2015年1−4月の「老人福祉・介護事業」の倒産は、前年同期より6割増の31件(前年同期19件)にのぼり、介護保険法が施行された2000年以降では過去最多のペースで推移している。
 介護関連事業は、慢性的な人手不足に加え、他産業からの新規参入も加わり競争が激化している。このため、資本力の脆弱な小規模事業者を中心に過当競争から息切れするケースが増えているとみられる。さらに、2015年度の介護報酬改定が9年ぶりに引き下げとなったことで、経営への打撃が大きく、今後の動向が注目される。
 ※調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。


■2015年1−4月の倒産が6割増の31件
 全体の企業倒産が低水準に抑制されるなか、2015年1−4月の老人福祉・介護事業の倒産は31件(前年同期比63.1%増、前年同期19件)にのぼり、著しい増加をみせた。
 また、負債総額も34億3,300万円(同21.3%増、同28億2,900万円)と前年同期を上回っている。ただし、負債10億円以上の大型倒産がゼロ(前年同期ゼロ)だったのに対し、負債5千万円未満が21件(前年同期比110.0%増、前年同期10件)と倍増し、小規模企業が目立った。


■「訪問介護事業」と「通所・短期入所介護事業」が増勢
 2015年1−4月の老人福祉・介護事業倒産の内訳をみると、「訪問介護事業」が12件(前年同期比50.0%増、前年同期8件)で最も多く、次いで施設系のデイサービスセンターなどを含む「通所・短期入所介護事業」が11件(同120.0%増、同5件)と続き、いずれも増勢している。


■設立5年以内の事業者の倒産が6割
 従業員数別では、5人未満が21件(前年同期比133.3%増、前年同期9件)で、小規模事業所の倒産が全体の約7割(構成比67.7%)を占めた。
 また、2010年以降に設立した事業所が19件(構成比61.2%)と6割を占め、設立から5年以内の新規事業者の倒産が多かった。このように小規模かつ新規事業者が倒産増加の中心になっていることを浮き彫りにした。


■原因別、販売不振(業績不振)が最多
 原因別では、最多が販売不振(業績不振)の11件(前年同期比37.5%増、前年同期8件)。次いで、事業上の失敗が10件、他社倒産の余波が4件の順だった。
 形態別では、事業所の解体・消滅である破産が30件(前年同期比76.4%増、前年同期17件)と全体の9割(構成比96.7%)を占めた。この一方で、再建型の民事再生法は1件(前年同期ゼロ)にとどまり、業績不振の事業所の再建が難しいことを物語った。


 2015年度の介護報酬改定は、全体で2.27%の大幅引き下げで、9年ぶりのマイナス改定になった。今回の改定では、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応強化と、介護職員の処遇改善が拡充された一方で、ほとんどの関連サービスの基本報酬が減額された。
 特に小規模型のデイサービス事業は約1割も引き下げられるなど、今回の介護報酬のマイナス改定は、小規模事業者には厳しい内容が多いため、今後の経営にも大きな影響が及ぶことが懸念される。

 ・表資料は添付の関連資料を参照



この記事に関連するキーワード

有料老人ホーム 民事再生法 訪問介護 資本力 認知症 福祉

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