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富士経済、一般用医薬品の国内市場の調査結果を発表
一般用医薬品の国内市場を調査
―2014年市場―
■救急絆創膏 前年比3.7%増167億円 液体絆創膏がインバウンド需要で伸び
■鼻炎治療剤(内服) 同1.7%減169億円 新製品浸透で微減にとどまる。15年は二桁増見込
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03−3664−5811)は、一般用医薬品(市販薬・OTC)市場を調査した。
その調査結果を報告書「一般用医薬品データブック 2015 No.1、No.2」にまとめた。
この報告書では、一般用医薬品を17分野73薬効に分類しその動向を捉えており、No.1で、ドリンク剤、疲労対策、女性関連、フットケア、美容関連用薬、肩こり・関節痛関連、小児用薬、その他外用薬、環境衛生用薬の9分野を、No.2で、感冒関連用薬、花粉症関連、生活習慣病関連、生活改善薬、胃腸・消化器官用薬、オーラルケア、感覚器官用薬、漢方薬の8分野を対象とした。
2014年は、一般用医薬品市場に大きな影響を与える出来事や制度変更が相次いだ。具体的には、1:消費税率の引き上げ、2:要指導医薬品を除くインターネット販売解禁、3:消費税の免税制度変更による中国人観光客を中心とした訪日外国人のインバウンド需要の活性化、が挙げられる。インターネット販売解禁やインバウンド需要への対応など、市場を取り巻く環境は流動的であるものの、市場への好影響が期待される。
また、前年に続き、高機能、高付加価値、高価格帯製品の投入や市場への浸透が進んでいる。
<注目市場>
■ドリンク剤・ミニドリンク剤
2014年:398億円
2013年比:100.5%
2015年見込:402億円
2014年比:101.0%
容量100ml以上をドリンク剤、100ml未満をミニドリンク剤とする。なお、主に風邪や発熱時の栄養補給を訴求する製品は対象外である。
ドリンク剤は市場の縮小が続いているものの、ミニドリンク剤では高価格帯製品が、効果実感の高さからユーザーの定着がみられ拡大した。しかし、ユーザーの年齢層が高く、若年層の取り込みが進んでいないことから、販促強化に加え、需要の掘り起こしが重要となっている。
なお、医薬部外品分類のドリンク剤(上表対象外)も縮小を続けている。ドリンク剤は夏場の天候の影響を受けやすく、2014年は前年比4.6%減の866億円、ミニドリンク剤と合わせても医薬部外品分類の市場は3.3%減の1,130億円となった。
■外用消炎鎮痛剤
2014年:430億円
2013年比:100.5%
2015年見込:432億円
2014年比:100.5%
2000年代半ばまでは、インドメタシンやフェルビナクを配合した製品が積極的に投入され拡大していたが、需要の開拓が一巡し伸びが鈍化した。2009年にジクロフェナクナトリウムのスイッチOTC登場による市場活性化が期待されたが、第1類に区分されたことや、インドメタシンやフェルビナクを配合した安価なPB製品の拡充などにより、2010年以降は縮小が続いていた。
2013年にジクロフェナクナトリウムのリスク区分が第2類に引き下げられたことで、メーカーの同成分配合製品の投入意欲が高まり、2014年には新製品の投入、取扱店並びに店頭露出の増加、これに加えて発売80周年を迎えた「サロンパス」(久光製薬)の販促強化などにより、久々に拡大した。また、「ハリックス ほぐリラ」(ライオン)では“外出時の使用”という、これまでなかった使用シーンの提案などによる新たな需要の開拓が進んでいる。
■解熱鎮痛剤
2014年:398億円
2013年比:100.3%
2015年見込:399億円
2014年比:100.3%
解熱鎮痛剤としては26年ぶりとなるスイッチOTC「ロキソニンS」(第一三共ヘルスケア)が登場した2011年以降、参入メーカーが販促活動や新製品投入を積極的に行うことで市場拡大を続けてきた。
2014年は、「ロキソニンS」の伸びが鈍化したものの、スイッチ成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物は、市販後調査が終了し後続品が投入されている。また、イブプロフェン配合製品は、処方の組み合わせや配合量などを切り口としたバリエーション化が進んでおり、2014年には高付加価値型の「バファリン プレミアム」(ライオン)の投入など、需要開拓が活発化している。
市場をけん引するロキソプロフェンナトリウム水和物、イブプロフェンは共にスイッチ成分であり、解熱鎮痛剤におけるスイッチOTCの比率は7割を超えた(2014年)。
■鼻炎治療剤(内服)
2014年:169億円
2013年比:98.3%
2015年見込:190億円
2014年比:112.4%
花粉症対策としての需要が大きく、市場は花粉飛散量や飛散期間の影響を大きく受けるが、2011年の「アレジオン10」(エスエス製薬)、2012年の「アレグラFX」(久光製薬)の発売など、注目の医療用成分がスイッチOTC化されたこともあり、一般用医薬品による鼻炎治療が浸透している。
2014年は花粉飛散量の減少により市場の大幅な縮小が懸念されたが、新製品の登場や市場への浸透もあり、減少幅を最小限にとどめ前年比1.7%減となった。また、2015年は花粉飛散量の増加により前年比二桁増が見込まれる。
なお、鼻炎治療剤におけるスイッチOTCの比率は4割近い(2014年)。「アレジオン10」「アレグラFX」がけん引することで、スイッチOTC市場は花粉飛散量が前年より減少した2014年も拡大を続けている。
■目薬
2014年:456億円
2013年比:102.5%
2015年見込:478億円
2014年比:104.8%
2009年頃からの価格低下脱却を図るため、高機能型製品による需要開拓に注力した成果が表れつつあり、2012年以降拡大を続けている。
2014年は、新製品の投入や既存製品のリニューアルが続いたことに加え、日本の目薬は中国や台湾をはじめ海外でも評価が高いことから訪日観光客のインバウンド需要を獲得した。これにより、好調だった2013年の市場規模をさらに上回った。
パソコンやスマートフォンの使用による目の疲れや乾き、加齢による眼機能の低下への対応など、様々な切り口で需要喚起が行われ、目薬の使用が習慣化されていることから今後も市場の拡大が予想される。
■救急絆創膏
2014年:167億円
2013年比:103.7%
2015年見込:170億円
2014年比:101.8%
薬効分類上、殺菌剤などを配合し創傷保護剤に分類される医薬品と非医薬品である医療用具・医薬部外品の救急絆創膏(外皮用薬に分類される液状絆創膏を含む)を対象とする。
救急絆創膏は治癒促進タイプなど高付加価値製品のウエイトが高まっており、市場拡大が続いている。液体絆創膏はインバウンド需要を取り込み一気に売上を拡大させており、これまでの横ばいから2014年は前年比27.3%増の14億円となった。ただ、国内需要に大きな変化はなかったとみられ、今後もインバウンド需要に左右されるとみられる。
<調査対象>
※添付の関連資料を参照
<調査方法>富士経済専門調査員による参入企業及び関連企業・団体などへのヒアリング及び関連文献調査、社内データベースを併用
<調査期間>2014年12月〜2015年4月
以上
資料タイトル:「一般用医薬品データブック 2015 No.1、No.2」
体裁:A4判 No.1 354頁、No.2 385頁
価格:書籍版 150,000円+税
PDF/データ版 160,000円+税
書籍版・PDF/データ版セット 各170,000円+税
調査・編集:株式会社富士経済 東京マーケティング本部 第二部
TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
発行所:株式会社富士経済
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