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東北大、古くて新しい感染症レプトスピローシス(ワイル病)が東北で再発生したことを発見
古くて新しい感染症レプトスピローシス(ワイル病)が東北で再発生
東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門・災害感染症学分野の研究グループは、宮城県で1970年代以前によく見られ、一旦は収まっていた感染症・レプトスピローシス(ワイル病)が、近年、東北地方で再発生していたことを発見しました。この発見から、将来東北地方でレプトスピローシスが再流行する可能性も懸念されます。今後、津波を含む災害が発生した際、急性腎障害・熱性疾患が見られた場合は、レプトスピローシスの可能性も考慮して病原体を注意深く検査する必要があります。
この研究は2015年5月1日発行のTohoku Journal of Experimental Medicineに掲載されました。
【参考】
・国立感染症研究所ホームページ
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/531-leptospirosis.html
・東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門ホームページ
http://www.irides-drid.med.tohoku.ac.jp/index.html
【詳細】
レプトスピローシスは、我が国にも古くから存在する人獣共通感染症です。重症型はワイル病として知られ、急性腎不全、肝不全、脳症などを起こし死に至ることもあります。感染原は感染したラットなどの動物由来の尿で、それがヒトに経皮的に感染すると考えられています。世界では年間30〜50万人の患者が存在し、温暖化による洪水などで増加し、WHOに拠れば、レプトスピローシスは代表的な災害感染症で2009年にはマニラの洪水のあとに大流行が起こったとされています。
レプトスピローシスは宮城県でも1970年以前にはよく見られた疾患でした。1959年には大流行があり、宮城県だけで800名以上の患者が発生しました。しかしその後、農業の機械化や衛生面の改善により、患者数は急激に減少しました。近年における東北地方でのレプロスピローシスの発生は、2008年に秋田県で1例の報告があるだけでしたが、2012〜2014年の間には、4例もの感染者の報告があり、今後、東北地方でこの病気が再燃する可能性も懸念されます。
今回の東北地方における発病と災害とは、直接の因果関係はありません。ただ、今回、ネズミに噛まれたことから発症した例がありました。災害時に被災者は自然界に近い生活を強いられ、洪水、動物などの接触が増えます。東北地方にお住まいの方々は、災害時、このような疾患が起こりうるとの知識を持っておくことが大切です。また、医療関係者も、発熱疾患を診た際は、この疾患の可能性を考えることが大事です。