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東北大学など、貼ったり巻いたりして使える柔軟な酵素電極シールを開発

2011-03-18

貼ればバイオ電池
酵素を内部に閉じ込めた柔らかい電極シールを開発


 東北大学大学院工学研究科の西澤松彦 教授は,独立行政法人産業技術総合研究所産総研ナノチューブ応用研究センターの畠賢治 上席研究員と共同で,酵素とカーボンナノチューブ(CNT)が均一に複合化したフィルムを開発しました。これは,「貼ったり」「巻いたり」して使える柔軟な酵素電極シールで,触媒活性も従来の数倍以上です。果糖を分解する酵素と,酸素を分解する酵素を含むシール2枚で作ったバイオ電池は,果糖水溶液から過去最高の出力密度で発電しました。本研究はJST 戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環であり,成果の一部が2011年3月10日に米国化学会誌「Journal of The American Chemical Society」にオンライン掲載されました。

 バイオ電池やバイオセンサに必要な酵素電極(酵素を固定化した電極)の作製は,先ず炭素のナノ粒子やナノチューブを固めて電極を作り,そこへ“後から”酵素溶液を塗布する2段階の方法で行われてきました。
 電極を作る時の加熱などに酵素が耐えないためです。しかし,この2段階法では,電極内部の微細構造への十分な酵素導入が困難でした。今回の共同研究では,“酵素のサイズに合わせて電極が収縮する”という1段階のプロセスを実現して,この問題を解決しました。産総研のスーパーグロース法によるCNTフィルムは,16nm(nmはmmの100万分の1)の均一なCNT間隔を有し,酵素(7nm程度)の溶液が十分に浸透できます。さらに,乾燥によってCNTの間隔が“酵素のサイズまで縮む”という性質を見出しました。酵素がフィルム全体に高密度で閉じ込められるため,果糖水溶液からの発電で世界最高の出力密度を記録しました。閉じ込める酵素の種類を変えれば,ブドウ糖水溶液(ジュースや体液)の電池やセンサなども作製可能だと考えられます。
 バイオ電池やバイオセンサの応用は医療・食品・環境分野にわたり広大です。酵素電極は一般に,酵素の寿命のため1週間程度しか使い続けられませんが,「貼っても」「巻いても」活性が低下しない酵素電極シールであれば容易に交換できるメリットもあります。本共同研究グループはこの技術を特許出願しており,実用化に向けた研究開発に御協力頂けるパートナー企業を募集中です。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照

 本成果は以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)
  研究領域:プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製
  (研究総括:曽根純一(独)物質・材料研究機構 理事)
  研究代表者:西澤松彦(東北大学大学院工学研究科 教授)
          畠 賢治((独)産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センター 上席研究員)
  研究期間:平成20年10月〜平成26年3月


 ※詳細説明は添付の関連資料を参照

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