ＮＥＣ、従来比１０倍以上の通信効率を実現したＯｐｅｎＦｌｏｗ利用の仮想化サーバ対応通信技術を開発

従来比１０倍以上の通信効率を実現したＯｐｅｎＦｌｏｗ利用の仮想化サーバ対応通信技術を開発



　ＮＥＣはこのたび、ＯｐｅｎＦｌｏｗ（注１）をＶＭ（仮想マシン、注２）が動作する仮想化サーバで利用する際、通信効率（速度×ＣＰＵ負荷）を従来比１０倍以上にする技術を開発しました。

　ＯｐｅｎＦｌｏｗは、ネットワークの通信単位を“フロー”として定義し、フロー単位できめ細かな経路制御や品質確保などが可能な技術です。また、ネットワーク制御などの処理をスイッチから制御サーバへ分離してソフトウェアで柔軟に行い、新しいＩＴ・ネットワーク制御を実現できる新世代ネットワークに向けた技術です。

　このたび開発した技術は、ＯｐｅｎＦｌｏｗを仮想化したサーバで利用する際、サーバに搭載した、米国Ｓｏｌａｒｆｌａｒｅ社製のフロー通信対応ネットワークインタフェースカード（ＮＩＣ、注３）を用いて、仮想化サーバ上の複数のＶＭそれぞれに適切なフローを対応できるソフトウェア技術です。本技術により、従来の、フロー未対応のＮＩＣによる通信と比較して、少なくとも１０Ｇｂｐｓと３倍以上高速化するとともに、ＣＰＵ負荷を約１／３に削減しました。これらにより、１０倍以上の通信効率を実現しました。

　本技術は、従来、サーバ上のプログラムで全てのデータ処理を行い、効率化、高性能化が難しかったＶＭとネットワークの通信における中継処理を必要に応じて省き、通信の出入り口であるＮＩＣとＶＭの直接の通信による処理に切り替えて（カットスルー）高速化します。本技術をＳｏｌａｒｆｌａｒｅ社のフロー対応のＮＩＣと組み合わせることで、通信の高速化、効率化を実現しました。

　近年クラウドコンピューティングの進展により、データセンタの効率化、高性能化が課題となっています。また、今後のクラウドサービスには、情報通信の流れをきめ細かく管理、制御し、セキュリティや高い品質を提供できる通信の制御が必要とされています。
　このため、現在、１台のサーバを複数台のように使う仮想化技術や、複数台のサーバの通信をサーバ上のプログラムである仮想スイッチでつなぐ技術が使われていますが、通信効率や性能に課題がありました。
　上記に対し、ＮＥＣは、このたび開発した技術により、ＯｐｅｎＦｌｏｗ技術を利用した際のサーバの高速化、効率化を実現し、今後のクラウドインフラの大規模化・高度化への対応に向けて前進しました。さらに本技術は、サーバの通信性能効率化の面で、クラウドサービスを支えるネットワークの効率化にも寄与しています。

　ＮＥＣは、今後も本研究開発成果のようなネットワークの仮想化技術、高速化技術の開発、ならびに本年３月９日に発表したＵＮＩＶＥＲＧＥ　ＰＦシリーズの製品強化（注４）に、積極的に取り組んでまいります。

　なお、本研究開発成果の一部は、平成２２年度総務省委託研究「グリーンネットワーク基盤技術の研究開発」によるものです。


※下記参考資料は、添付の関連資料を参照
　【別紙１】米国Ｓｏｌａｒｆｌａｒｅ社、米国シトリックス・システムズ社のコメント
　【別紙２】新技術の概要図


以上


（注１）
　米国Ｓｔａｎｆｏｒｄ大学が中心となり２００８年に設立された「ＯｐｅｎＦｌｏｗコンソーシアム（http://www.openflowswitch.org/）」が提唱している技術およびインタフェース仕様の総称。ＮＥＣは設立当初から同コンソーシアムに参加。

（注２）仮想化、仮想マシン
　１台のサーバコンピュータを、あたかも複数台のコンピュータであるかのように論理的に分割し、それぞれに別のＯＳやアプリケーションを動作させる「サーバ仮想化」の技術により実現される仮想的なコンピュータ。

（注３）
　＜製品名＞ｔｈｅ　Ｓｏｌａｒｆｌａｒｅ　ＳＦＮ５１２２Ｆ　Ｄｕａｌ−Ｐｏｒｔ　ＳＦＰ＋　１０　Ｇｉｇａｂｉｔ　Ｅｔｈｅｒｎｅｔ（１０ＧｂＥ）　ｓｅｒｖｅｒ　ａｄａｐｔｅｒｓ

（注４）
　本年３月９日発表の下記プレスリリース参照
　http://www.nec.co.jp/press/ja/1103/0901.html


参考

Ｓｏｌａｒｆｌａｒｅ社について
　Ｓｏｌａｒｆｌａｒｅ社は、高性能、低遅延な１０ＧｂＥサーバＩ／Ｏソリューションのパイオニアです。当社は、構造上のアプローチによって、ハードウェアとソフトウェアの統合を実現し、高性能アダプタ製品、様々なアプリーケーションにおいて優れたパフォーマンスを実現するアプリケーション高速化ミドルウェア、投資情報サービス、ハイパフォーマンスコンピューティング（ＨＰＣ）、クラウドコンピューティング、ストレージ、仮想化されたデータセンタを提供します。当社製品は、主要なディストリビュータをはじめ再販業者からも入手可能で、世界中で、多くの世界的な大企業に利用されています。