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帝国データバンク、主要百貨店92社の経営実態調査結果を発表
特別企画:第2回主要百貨店92社の経営実態調査
前期比減収、8割超を占める
〜東北地域の苦戦が浮き彫りに〜
はじめに
百貨店業界においては、外国人向け売上が二ケタ増(※)と好調に推移しており、9月には銀座三越が大規模なリニューアルを実施して増床オープンするなど、明るい話題も出てきた。
しかし、日本百貨店協会が発表した8月の「全国百貨店売上高概況」は、30カ月連続の前年同月比マイナス、特に関東、四国では38カ月連続のマイナスとなった。8月には四条河原町阪急が閉店、12月25日には西武有楽町店が閉店を予定しており、厳しい雇用環境や所得低迷の長期化による個人消費は停滞が続き、また、消費者の低価格・節約志向のなか、百貨店を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いている。
帝国データバンクは、企業概要データベースCOSMOS2(収録数134万社)から、全国主要百貨店92社(2009年度総売上高約6兆3500億円)を対象とした2008年度(2008年4月期〜2009年3月期)、2009年度(2009年4月期〜2010年3月期)の過去2期の決算内容(単体ベース)を調査、分析した。
◆売上高については、前期比が減収5%〜増収5%は「横ばい」として集計した。
◆損益については、純利益で集計した。
◆「5大系列」は、「三越伊勢丹ホールディングス」「高島屋」「J.フロント リテイリング(大丸、松坂屋)」、「エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急、阪神)」、「セブン&アイ・ホールディングス(そごう、西武)」の系列企業の総称とした。「その他」には、電鉄系列や5大系列以外の独立系などが含まれる。
調査結果
1.主要百貨店92社の2009年度の業況は、売上高の前期比減収企業が76社と全体の82.6%を占めていることが判明。昨年実施した2008年度調査に比べ、販売面で厳しい1年であったことが浮き彫りとなった。減収企業76社をみると、売上規模では年商500億円未満の中堅クラス、地域では「東北」「北陸」「中部」「中国」が苦戦。
2.収益面では、2008年度に比べて赤字企業が増加していたことが判明。なかでも、「5大系列」以外の「その他」の企業の半数超が赤字を余儀なくされ、「東北」「中国」「四国」では半数近くの企業が2期連続赤字になっていたことが分かった。
3.自己資本比率では、「30%以上」「10%以上30%未満」が減った一方、「5%未満」「5%以上10%未満」の企業が増加。「5大系列」22社中14社(構成比63.6%)が、売上1000億円以上の企業12社中6社(同50%)が、それぞれ「30%以上」となり、「5大系列」と事業規模の大きな企業が安定していることが数値面から裏づけられた。
※ 詳細は、関連資料参照