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東京商工リサーチ、4月の「円安」関連倒産の調査結果を発表
〔特別記事〕
「円安」関連倒産
〜4月は17件、2カ月ぶりに前年同月を下回る〜
昨年10月の日銀の追加金融緩和以降は外国為替市場での円安に拍車がかかり、一時1ドル=121円台まで円安が進んだ。2015年に入って急速な進行は見られないが円安基調は続いている。
円安は輸出企業の収益を押し上げる要因になる一方で、海外からの輸入に頼るエネルギー、資源、食料品など幅広い分野の物価を押し上げ、中小企業の体力を消耗させる恐れがある。
こうしたなか、原油価格下落による燃料、石油化学製品の値下がり、製鉄原料下落による鉄鋼製品の価格低下など経営環境が変化し、4月の「円安」関連倒産は17件(前年同月32件)にとどまった。ただし、原油価格の下げ止まりが鮮明になってきていて、今後の円相場の推移と合わせて動向が注目される。
4月の倒産事例では、大正8年創業の服飾ベルトメーカーの岩崎(株)(*)(TSR企業コード:290013828、東京都)は、ベトナム、中国に関連製造工場を有して、ピーク時の平成19年11月期には売上高24億6,602万円をあげていた。しかし、最近は売上が減少し、原皮価格の高騰や海外工場の人件費上昇などもあって収益が圧迫されていた。さらに、円安による仕入コスト増加から資金繰りが悪化し、民事再生法を申請した。
4月の産業別では、卸売業が10件で最も多かった。次いで、製造業が4件と続く。
*企業名の正式表記は添付の関連資料を参照
※表・グラフ資料は添付の関連資料を参照