Article Detail
オリンパス、理研と共同で超解像蛍光顕微鏡法の新技術を開発
理化学研究所と共同開発
超解像蛍光顕微鏡法の新技術
〜生きた細胞内の微細構造を高速で捉え、生命現象の解明促進に貢献〜
オリンパス株式会社(社長:笹 宏行)は、科学事業の新技術として、国立研究開発法人理化学研究所と共同で、画像取得時間を大幅に短縮し生きた細胞内の微細構造の観察を可能にする、超解像蛍光顕微鏡法の新技術を開発しました。
顕微鏡を使った観察では、空間分解能(くうかんぶんかいのう)(※1)という対象物を細かく観察できる能力に限界があり、一般的な光学顕微鏡の空間分解能は最大で約200nm(※2)です。超解像顕微鏡とは、この限界を超え、より微細な構造を観察できる顕微鏡です。2014年のノーベル化学賞は、生命科学の研究を大きく進歩させる画期的な発明であるとして、超解像蛍光顕微鏡法の研究者らに贈られています。
今回開発した新技術は、超解像蛍光顕微鏡法の1つである「構造化照明法」(※3)と同等の約100nmの空間分解能を、100分の1秒の時間分解能(じかんぶんかいのう)(※4)で可能にします。これまでの超解像蛍光顕微鏡は、画像取得に約1秒〜数分程度かかっていていましたが、本技術を用いることで、これまでは困難であった、生きた細胞内で活発に動き回る細胞内小器官(※5)の挙動を捉えることができるようになります。これにより、生命現象の理解が飛躍的に進むことが期待されます。
また、従来の共焦点顕微鏡(※6)の応用で実現可能である本技術は、従来の超解像蛍光顕微鏡と比較して装置導入が容易にできることが期待されます。
本技術は、米国細胞生物学会の学会誌『Molecular Biology of the Cell』(5月1日号)に掲載されるのに先立ち、速報版がオンライン(2月25日付け)で公開されました。
※1 2点間または2線間を見分ける能力。値が小さいほど空間分解能が高く、微細な画像の観測が可能
※2 1nm(ナノメートル)は100万分の1ミリメートル
※3 縞状のパターンを投影した画像を9〜25枚撮像し、そのモアレパターンを解析することにより従来比2倍の空間分解能を得る方法
※4 観測する画像に識別可能な変化を生じさせる最小の時間変化量。値が小さいほど時間分解能が高く、高速度で変化する画像の識別が可能
※5 細胞内に存在する、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアなど一定の構造と機能を持つ複合体
※6 標本に対し励起光を集光し、焦点以外の蛍光をカットすることで三次元撮像が可能な顕微鏡
(科学事業とは)
主な製品は光学顕微鏡と工業用内視鏡および非破壊検査機器です。科学事業はこれらを通して、医療・生命科学・産業分野における研究開発、生産現場における品質向上、航空機や大型プラントなどの検査による社会インフラの安心・安全確保に貢献しています。
本リリースに掲載されている社名及び製品名は各社の商標または登録商標です。
(参考資料:研究概要)
*添付の関連資料を参照
<本件に関するお問い合わせ先>
●お客様相談センター
TEL:0120−58−0414
●ホームページ:
http://www.olympus.co.jp/