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ミック経済研究所、国内のデータセンタ市場と消費電力量に関する調査結果を発表
データセンタ市場売上高と消費電力量中期予測
情報・通信分野専門の市場調査機関である株式会社ミック経済研究所(本社:東京港区、社長:有賀 章)は、国内のデータセンタ市場と消費電力量に関する調査結果(調査期間:2014年12月〜2015年2月)を4月2日に発表した。
今回の調査は、日本国内のデータセンタ市場の売上高やデータセンタの消費電力量、延床面積、省エネ対策等について、主要データセンタ事業者25社の面接取材による個別実態調査とデスクワーク調査16社のデータにより全体を推計した資料となっている。
なお、データセンタ市場は「ハウジング、ホスティング、クラウド(SaaS・ASP、PaaS、IaaS)サービス関連売上」とする。また、データセンタの消費電力量は「IT機器系消費電力量:データセンタ内のサーバ、ストレージ、ネットワーク機器等の消費電力量」、「その他設備(ファシリティ)系消費電力量:データセンタ内の空調機、電源設備(UPS他)、照明、その他設備の消費電力量」とする。
調査結果の概略は下記の通りである。
【データセンタ市場の成長を上回るデータセンタの消費電力量増加】
国内データセンタ市場は、2014年度1兆6,929億円(6.6%増)となる見込である。ユーザ企業の選択でデータセンタを利用する意向は、2015年度も成長を継続し、1兆7,922億円(5.9%増)となる。今後もIT投資の回復とともに、クラウドファーストを中心に、データセンタ活用が拡張することで年平均成長率4.7%増で成長することが見込まれる。その結果、市場規模2兆円を突破し、2019年度で2兆1,310億円となる見通しである。
一方、国内データセンタの消費電力量は、2014年度で140.1億kWh(8.4%増)の見込である。データセンタ市場の成長率(6.6%増)と比較すると消費電力量の方が1.8ポイント分大きく伸びている。この要因はIT機器系消費電力量の増加にある。
IT分野において、クラウドや仮想化技術により、IT機器の集約化が進んでいる。これにより、ラックあたりの実効消費電力は僅かだが上昇傾向にある。これまではIT機器の集約化により、稼働ラックが減少することで省エネにつながるとみられていた。確かに集約化で稼働ラック数増加はこれまでよりも抑えられるが、
(1)空きラックはそのままにするのではなく、新規契約を結んで稼働させること。
(2)クラウドでユーザ企業のシステム全体をカバーできないため、コロケーションなどで追加ラック稼働となること。
から、総稼働ラック数は現在も減少していない。その結果、『稼働ラック増×実効消費電力増』となり、IT機器系消費電力量が増すことになる。
ファシリティ系消費電力量は、データセンタ事業者ごとのIT機器、設備系、空調系、電源系、その他設備の省エネ対策の効果により、消費電力量の増加はIT機器系に比べ抑えられてきている。
また、2011年以降、全国の各電力会社の電気量料金単価はアップが続いている。データセンタは特別高圧契約であるが、一般の電気量料金単価と同様にアップしたので、売上高に対するデータセンタ事業者が各電力会社に支払う金額は増加し続けている。エンドユーザ企業の値下げ意向が強いこともあり、現時点まで多くの事業者は値上げせず、値下げしながら消費電力量を抑えていく省エネ対策を行ってきた。ただし、2015年でのDCサービス価格がボトムという声も出ており、一層の省エネ対策を行いながら、電気量料金単価アップやサービスの高付加価値化を理由に値上げを検討しているDC事業者が増えつつある。
図表1に、データセンタ市場と消費電力量推移(2013〜2019年度)を示す。
なお、同資料の体裁はA4版428ページのファイル製本で、価格は205,200円(税込)、CD−ROM版410,400円(税込)となる。
<図表1>データセンタ(DC)市場とデータセンタ消費電力量の推移予測(2013〜19年度)
※図表1は添付の関連資料を参照