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東芝、サタケとDNA検査キット「コメ品種識別用検査キット」を共同開発
約2時間で国内主要米の品種を識別できるDNA検査キットの販売について
精米機メーカーの株式会社サタケと共同開発
※参考画像は添付の関連資料を参照
当社は、株式会社サタケ(以下、「サタケ」)と約2時間で国内主要米の品種を識別できるDNA検査キット「コメ品種識別用検査キット」を共同開発しました。本製品は、専門知識がなくても、迅速で簡便なコメの品種識別を可能にするもので、本日から販売します。
本製品は、検査用DNAチップカードと増幅試薬等から構成され、コメから抽出した核酸サンプルを検査用DNAチップカードに添加し、当社のDNA検査装置「Genelyzer(TM)II」にセットするだけでコメの品種識別・混米判定を可能とします。従来、コメの品種識別には検査機関において数日を要していますが、本製品を使用することにより約2時間で国内主要米の品種を識別できます。
当社は、農林水産省食料産業局新規事業創出課の支援のもと、サタケと共同開発体制を組み、DNAチップを活用したコメ品種識別の技術開発を進めてきました。コメの品種識別を行うには、検査対象のコメがもつ品種特有のDNA配列(DNAマーカー)を複数検出し、判定する必要がありますが、本製品は、品種を識別するのに必要なDNAマーカーを21種に絞り、それらを同時検出することで、迅速な品種識別を可能としました。
昨今、コメの偽装表示や異品種混入問題などへの対策や、政府の掲げるクールジャパン戦略における付加価値の高い農産物の輸出拡大等のため、品種識別の科学的検証手段が生産現場から流通業界まで幅広く求められています。本製品は、コメから抽出した核酸サンプルを検査用DNAチップカードに添加し、DNA検査装置にセットするだけで、これらのニーズに応えることができます。
当社は、安心・安全・快適な社会「Human Smart Community」の実現への貢献を目指しており、東芝グループの持つ幅広い技術を結集し、ヘルスケア事業を積極的に強化しています。DNA検査システム事業においては、1月のDNA検査装置の販売開始と同時に食中毒原因菌を判定するDNA検査キットを製品発表しており、今後も多種多様な検査キットを開発し、食の安心・安全に貢献してまいります。
■新製品の概要
品名:コメ品種識別用検査キット
定価:8,500円(税別)
販売開始日:2015年3月25日
■コメ品種識別用検査キットの主な仕様
製品内容:検査用DNAチップカード、増幅試薬他
対象品種:国内主要米注1
検体数:1カード1検体(使い捨て)
サンプル:コメからの核酸抽出溶液
増幅方式:LAMP法
検出方式:電流検出型DNAチップ
注1 2015年3月25日時点で、国内主要米47品種について検出確認済。
■サタケとの共同開発経緯
当社は、農林水産省による平成24年度農山漁村6次産業化対策事業に係る輸出拡大サポート事業のうち「品種保護に向けたDNA品種識別技術確立対策」において、「品種識別用DNAチップ、及び簡易DNA検査システムの確立」が採択され、コメの総合分析におけるリーディングカンパニーであるサタケと共同開発を開始し、実証試験を経て製品化にいたりました。
■DNAチップについて
当社のDNAチップには、用途に応じ、検出対象となるDNAと相補的な配列のプローブDNA注2が複数種、電極の上に予め固定化されています。DNAチップ上に検出対象となるDNA(検体DNA)を添加することにより、検体DNAと相補的な配列のプローブDNAがハイブリダイゼーションします。その後、DNAチップ上に挿入剤を添加することで、ハイブリダイゼーションにより2本鎖になったDNAにのみ挿入剤が結合します。この状態でDNAチップに電圧をかけることにより挿入剤が酸化反応を起こすことで電極に電流が流れます。この電流を測定することにより、検体DNAを判定します。当社は2009年より子宮頸がん原因ウイルス判別用、実験動物微生物モニタリング用、生物剤検知用などの遺伝子検査システムを実用化し、2015年1月19日から新型DNA検査システム「Genelyzer(TM)II」を販売開始しました。
注2 検体DNA検出用の1本鎖DNA。プローブは探針の意味。