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日本ラッドと電通大、ビッグデータ領域でのFPGA活用推進で技術連携
日本ラッド、ビッグデータ領域でのFPGA活用推進で電通大と提携
日本ラッド株式会社(以下日本ラッド、JASDAQ上場、本社:東京都港区、代表取締役会長:大塚隆一)と国立大学法人電気通信大学(以下電通大、東京都調布市、学長:福田喬)は、今後ますます大容量、高速処理が要求されるビッグデータ領域において、FPGA(※1)を活用した高速処理装置の実用化に向けて、技術連携を行っていくことを決定致しました。
日本ラッドでは、今後の主要な事業領域の一つとして、ビッグデータ関連事業を強化してきており、そのなかのひとつとして、従前より、あらゆるものがネットでつながる本格的なIoT時代を迎えるにあたり、リアルタイムデータ処理の高速処理化への要求がますます高まるなか、リアルタイムデータ処理(ストリーミングデータ処理)領域の高速化手段としてFPGA(※1)の活用を進めておりましたが、このたび、同分野で研究を進めている電通大の吉永・吉見研究室が開発したFPGAを用いた高速処理基盤(アクセラレータ)の使用権を得、産学共同での実用化を進めることとなりました。
FPGAには、ハードウエア処理による高い性能をもちながら、その回路構成を自由に書き換えられるという特性があり、ソフトウェア処理だけでは限界が見えてきた大量・リアルタイムデータストリーミングに対して、このFPGAの特性を活かしてアクセラレータとして組み合わせる事により、極めて大きなパフォーマンスの向上が期待されます。
既に海外ではFPGAを使用した実装例があり、マイクロソフト社は検索エンジンの高速化、省エネルギー化などを目的に自社データセンターへのFPGA導入が進められており、更なる技術的ブレークスルーに最も期待値が高い分野の一つであることからも、この実用化によって、長年の開発実績に定評のある日本ラッドと電通大との産学連携によるビッグデータ分野でのICT分野への貢献を期待しております。
今後、日本ラッドでは、研究の成果をHadoop(※2)やApacheSPARK(※2)などのビッグデータ処理技術と組み合わせることにより、同社ビッグデータサービスの処理速度向上、サーバー台数の大幅な集約による省電力化などへの応用により、2015年度中の実用化、商品化を目指します。
またこれにより、新たなサービスの展開や既存顧客の利便性向上につながると期待しております。
※1.FPGA(Field Programmable Gate Array)
書き換え可能な論理回路が多数配列された大規模集積回路
※2.Hadoop(Apache Hadoop)、Apache SPARK
大規模データを効率的に分散処理・管理するためのオープンソースソフトウェア基盤
■本技術による性能検証結果
■例1:ストリームデータ処理への応用時の性能検証結果
*表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照
大規模で連続的に流れるデータに対してリアルタイム処理を実現するデータストリーム管理システム(DSMS)において、スライディング・ウィンドウ(※3)を伴う集約演算(DSMSの主要な計算処理の一つ)を、FPGAを利用して高速化し性能検証を行った例。
集約演算モジュールを大量にコピーする従来手法では、ウィンドウサイズの増加に伴い性能が大幅に劣化するのが一般的であるのに対し、本手法ではFPGAを利用してパイプライン処理を行うことで従来手法の問題点を解決し、ウィンドウサイズが増えても高い性能を維持できている。
本試験環境では実際に、10Gbpsを超える7千8百万入力タプル/s(タプルサイズ128bits)の実効スループットを実証した。
※3.スライディング・ウィンドウ
データ通信高速化のためのフロー制御の一つ
■例2:OLAP高速化への応用時の性能検証結果
*表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照
OLAP(オンライン分析処理)は、ストレージ(データウェアハウス)にあらかじめ蓄積された大量のデータを、多次元的にリアルタイム分析するシステムを指す。本検証は、OLAPをFPGAを利用して高速化を行った例。
データベースの読み込み経路で必要なフィールドの抽出および集約演算を実行し、OLAPの処理負荷を軽減する試験を4ノードの計算機を用いた実証環境で実行速度を計測した。
Impala(※4)での実行と比べて20倍以上の高速化を実証した。
※4.Impala
Hadoop File System(HDFS)上のデータを解析する分散クエリエンジン
■国立大学法人電気通信大学について
所在地:東京都調布市調布ヶ丘1−5−1
学長:福田喬
URL:http://www.uec.ac.jp/
1918年創設。情報・電気・通信を中核としつつ、物理工学、材料科学、生命科学、光科学、エレクトロニクス、ロボティクス、機械工学、メディアなど、理工学の基礎から応用まで広範な分野の教育研究を進めています。
■日本ラッド株式会社について
所在地:東京都港区虎ノ門2−2−5共同通信会館ビル
代表取締役会長:大塚隆一
JASDAQ上場(コード番号4736)
URL:http://www.nippon-rad.co.jp/
ソフトウェアの受託開発、システムインテグレーションを主業務とする1999年に公開したJASDAQ上場企業です。革新的なコア技術によるソリューション提供、フルターンキーのシステム構築・運用サービスを展開しています。近年は多次元ビジネス分析、地域交通インフラ、動画ネット配信等のソリューションに注力しています。