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富士通とOKIなど、M2M技術を活用した住宅などのエネルギーマネジメントの実証実験を実施

2015-03-25

M2M技術を活用し、住宅・店舗・公共施設のエネルギーマネジメントを実証
27施設、28種類800個以上のデバイスを接続し、クラウド上のアプリケーションから制御を実現


 富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)、沖電気工業株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川崎 秀一、以下、OKI)、日本大学理工学部理工学研究所(所在地:東京都千代田区、研究所長:高野 良紀、以下、日本大学)、北陸先端科学技術大学院大学(所在地:石川県能美市、学長:浅野 哲夫、以下、JAIST)は、M2M技術を活用することで、ネットワークに接続した複数のデバイスにより総合的に施設内のエネルギーマネジメントを実現する実証実験を実施しました。
 富士通、OKI、日本大学、JAISTは、関東から関西、北陸までの広域にわたる住宅(戸建、集合住宅)、小規模店舗、学校の計27施設に対して28種類800個以上のデバイスを接続した実証実験を2013年7月から2015年1月まで実施し、それによりスマートコミュニティにおけるエネルギーマネジメントを実証しました。
 本実証実験は、総務省の平成24(2012)年度予算において「先端的ICT国際標準化推進事業『スマートコミュニティにおけるエネルギーマネジメント通信技術』」として委託され、2012年より各社、各大学で実証実験に向けた研究開発を行ってきました。最終的な実験結果は2015年3月末までに総務省へ報告する予定です。
 富士通、OKI、JAISTはここで実証した技術をもとに国際標準化を進めており、2015年中にはITU−T(注1)を含む国際標準化機関で標準化を完了する予定であり、研究成果を広く普及できるように取り組んでいきます。


【実証実験の概要】
 1.期間:
  2013年7月〜2015年1月(順次拡大して実施)

 2.場所:
  実験住宅iHouse(石川県能美市)、一般住宅15戸(関東、中部、関西、北陸)、小規模店舗3店舗(栃木、東京、愛知のガソリンスタンド)、学校8校(東京都内の小・中・高等学校7校、日本大学)の計27施設

 3.目的:
  地域(コミュニティ)単位でのエネルギー利用の効率化と安定供給・防災性を高めるエネルギーマネジメント技術と必要な通信技術の研究開発。

 4.実証実験のイメージ:
  スマートコミュニティに実在する様々な建物を想定し、実験住宅、一般住宅、小規模店舗、学校を広域から選択し、インターネット経由でデータセンター(名古屋)に設置されているサーバに接続し検証しました。

 5.役割分担:
  サービスプラットフォーム技術(富士通)、デバイス通信インターフェース共通化技術(OKI)、コミュニティにおけるエネルギー需給モデル化技術(日本大学)、コミュニティ・シミュレーション技術(JAIST)

  ※図1は添付の関連資料を参照

 6.実証実験の詳細:
  消費エネルギーを低減するときに重要視する観点は、各建物で異なり、住宅では快適性、店舗では業務に支障が出ない範囲でコストを抑えることなどが求められます。また、学校では教育環境としての温度や照度のような基準に適合していることが必要になります。これらを踏まえ、実証実験では以下の検証を実施しました。

  ●住宅
   18種類のセンサーや機器をネットワークに接続し、自然条件に合わせて電力消費を低減する室温の制御。
   夏季の間、住宅内に涼風を取り入れられる場合はエアコンを停止して、窓を開ける制御や、カーテンの遮光による直射日光を起因とした温度上昇の防止、冬季には採光により室内の上昇を制御。
  ●店舗(ガソリンスタンド)
   住宅用機器と同様に制御が可能なアダプタ接続で、デバイスの入出力インターフェースの仮想化を実現。さらに照明の自動制御による、無駄な消費電力の削減。特に、秋から冬は給油ラッシュと重なる日没の点灯直後に蓄電池から放電しピーク電力を低減。
  ●学校
   学習環境に適した温度、湿度、照度、CO2濃度などの基準に対する環境情報の見える化。CO2濃度上昇による集中力低下の防止や、インフルエンザ予防のため湿度を監視。

 7.実証実験結果
  クラウド環境から様々な機器の情報を取得、制御できることを前提に、学校を中心とした住宅1,000戸のコミュニティを想定した場合、約20%のエネルギーが削減可能なことをシミュレーションにより確認しました。
  本実証実験では様々なセンサーや機器のネットワーク接続を実施し、分野によって異なる通信インターフェースの機器を効率よく接続するアーキテクチャを開発しました。このアーキテクチャは建物内で機器を接続するゲートウェイとこのゲートウェイを集約するクラウド上のミドルウェアからなり、クラウド上のアプリケーションから建物内の機器を制御することを可能にします。
  開発したアーキテクチャは、建物内におけるネットワーク障害やデバイス障害を検出する機能の一部が備わっているため、利用者だけではなく、運用保守向けのM2Mプラットフォームとして活用することもできます。
  本アーキテクチャは、ITU−Tにおける国際標準Y.2070として標準化されました。M2Mプラットフォームにおける障害検出機能については、デバイス、ネットワーク機器などの機能要件のガイドラインをベンダー各社の協力により作成し、一般社団法人情報通信技術委員会(TTC、注2)の技術レポートTR−1057として2015年3月に発行される予定です。
  また、住宅におけるデバイスとゲートウェイ間の通信技術として920MHz無線の有効性を検証しました。さらに、HEMSなどの普及により数量増大が見込まれる920MHz無線対応システム間における、電波干渉を軽減する技術を開発しました。920MHz無線については、ITU−Tで標準化を推進しています。
  今後は、実験成果を標準化文書、技術レポートとして発行し、シミュレーターの一部はフリーウェアとして広く公開していきます。

  ※図2は添付の関連資料を参照


【各社の研究テーマ 役割分担】
 (1)サービスプラットフォーム技術:富士通
  建物内に設置される機器をデータモデルに基づいて共通フォーマット化し、統一されたWebインターフェースを通じてアプリケーションを動作させることが可能なサービスプラットフォームを開発し、そのアーキテクチャをITU−Tで国際標準化した。建物内の機器やネットワーク情報を遠隔から正確に把握し、保守を容易にする遠隔保守技術を開発した。
 (2)デバイス通信インターフェース共通化技術:OKI
  HEMSなどの標準規格であるECHONET Liteに対する920MHz無線通信方式を策定した。また、無線方式間で異なる6LoWPAN(注3)の共通化された通信インターフェース仕様をITU−Tで2015年中に標準化する。今後、920MHz無線を利用したHEMSなどが普及した場合でも、安定通信を維持しつつ周辺ノイズ量に応じて送信出力を制御することで、近隣システムへの電波干渉の影響を低減する技術を開発した。
 (3)コミュニティにおけるエネルギー需給モデル化技術:日本大学
  学校を中核とした地域コミュニティモデルの検討と、コミュニティ内の電力エネルギー最適化検討が実行可能な「電力配電網モデル」を作成した。都内の日本大学キャンパスおよび周辺の小中高等学校の電力量および室内環境の「見える化」により、学校施設を中心とした災害時防災に強い地域コミュニティを実現した。
 (4)コミュニティ・シミュレーション技術:JAIST
  機器やネットワークにおいて、実物と同様のプロトコルやプログラムが稼働するエミュレーションベースのシミュレーターを実現した。想定するコミュニティにおける居住者の行動を想定し、その行動により家電や設備が制御されるため、実際のコミュニティにおける実験で得られる想定の結果と近い評価が得られた。


【商標について】
 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


【注釈】
 (注1)ITU−T:電気通信に関する国際連合の専門機関であるITUの電気通信標準化部門。
 (注2)TTC:電気通信に関する日本国内標準を作成している標準化機関。
 (注3)6LoWPAN:IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networkの略称。省電力近距離無線規格IEEE 802.15.4においてIPv6のデータパケットを通信するプロトコル。


以上



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